ひな*恋 〜童顔ひな子の年の差恋愛(ノベル版)

むらさ樹

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「…………………」



それにしてもあのおっさん、私の事いくつだと思って声をかけたんだろう。


夜だから、学校を終えてバイトに来た高校生だと思ってんのかな。

それとも、高校卒業した新社会人とか?


実はもうアラサーなんて聞いたら、ビックリするかしら。


そもそもあのおっさん、中年だけど独身?

仕事はしてるみたいだけど、晩ご飯はうちの惣菜でまかなってるみたいだしなぁ…。



初めての経験に、またしてもこの職場特有の詮索が始まってしまった。


だけど今回ばっかりは他人事じゃない。

だってあのおっさん、「また今度ね」って言ったもんねっ

じゃあまた声をかけてくる────!?











「………あの」


「はっ」



ついまたボーっとしてしまっていたらしく、カウンターの前でいくつかの惣菜を置いて待っている別のお客さんに呼ばれてしまった。



いけない いけない。
今は悩むより仕事しなきゃ!



「はいっ、すみません!
いらっしゃいませ、こんばん………」



いつもの営業スマイルでお客さんに向き合い、マニュアルの挨拶をしかけてハッとしてしまった。


だって今目の前にいるお客さんは、近くに住んでるんならまたどこかでバッタリ会えるかもしれないと思っていた、あの時の────…



「見つけた!」


「はぁ?」



彼がお客さんだという事をすっかり忘れていたとは言え、いきなり「見つけた!」はないだろう。


惣菜を買いに来ただけなのに、いきなり店員に「見つけた」呼ばわりされた彼は、案の定ポカンとした顔をしたわけだ。


うわーっ
何やってんだ、私!




そんな彼はこの前出会った時と同じように、白いカッターシャツに黒いズボンという制服姿。

チャラい容姿は相変わらずで、もう20時だってのに最近の高校生はこんな時間まで外に出てるのかなんて思う。




「あのっ、すみません。
先日、近くの本屋さんで傘を借りた者ですけど…覚えてますか…?」


「………………………………………あぁ!」



しばらくジッと顔を凝視されてドキッとしたが、彼もようやく私を思い出したようで、声をあげた。



て言うか…あんまり顔とかマジマジと見られるの苦手かも。


いつも鏡を見ては「これ28の顔じゃないよなぁ」って思ってたから、それを他人にも思われる事に恐怖感を抱いてる部分があるからだろうな。


もちろん年齢を公表しながら外を歩いてるわけじゃないから、誰もそんな風に思ってなんかいないんだろうけどね。


つまり…私の勝手な被害妄想か。


「あのっ
あの時は、ありがとうございました!
でも私のせいで、キミが濡れる羽目になっちゃって…」



そうなのだ。

いくら家が近いからって、あの大雨の中を傘も差さないで帰れば、さぞずぶ濡れになっただろう。


しかも、私は彼の友だちでもなければ知り合いでもない。


初対面の赤の他人に、そこまでしてくれるなんて。

あの時はチャラチャラしてて失礼な奴!なんて思っていたけれど、本当は若いのにスゴくイイ奴なんじゃあ……




「…あぁ!
帰ってから大風邪引いたよ」


「わぁ、やっぱり!」



「なんてウソ」


「…………」



「でも寒かったなぁ」


「ですよねっ」



「だからコレ、マケてくんない?」



ニマニマ変な笑みを浮かべては、カウンターに置いた惣菜をチョンチョンと指差す彼。



「お会計失礼します!!」



やっぱり失礼な奴だ!

人を心配させといて更に調子に乗るなんてっ


私は1つ1つ、それは丁寧に丁寧にバーコードをリーダーに通して小計を出して差 し 上 げ た!!



「1260円でご さ い ます!」



これだから若いもんはぁ!

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