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何て言われるかと思うとちょっぴり恐くなって、わたしはうつむき加減にお兄ちゃんを見た。



「……………」



「────っ」



するとお兄ちゃんはようやくわたしの方を見て、わたしも思わずドキッとした。



「…ひとみ」



「っ」



ベッドサイドまで歩み寄りお兄ちゃんに名前を呼ばれると、わたしはビクッと肩を震わせながら目を閉じた。


お 怒られ……



「────────!」



だけど次の瞬間には、わたしの身体は身動きできないくらい強く抱きしめられていた。


それはもちろん、お兄ちゃんによって。




「お…兄…ちゃん?」



お兄ちゃんの体温が、わたしの身体に伝わってきてあったかい。


そしてほんのわずかだけど、小さく小さく震えていたの。



「………ひとみのバカヤロ!
オレが、どんなに…っ」



だんだんと、お兄ちゃんの身体が震えていくのが大きくなっていった。

やっぱり、怒ってるんだ!



「ごめんなさいっ
お兄ちゃんに迷惑かけたの、悪いって思ってる。
言う事もきかなかったし、わたし…」

「そんなんじゃねぇよ!」



両肩をグッと掴まれながら身体を引き離されたかと思うと、お兄ちゃんはわたしに顔を近付けて続けた。



「…ひとみまでいなくなったら、オレはどうしていいのかわからないだろっ
オレがどれだけひとみの事を大事に想ってるか、どれだけ大切な存在か…」



「───────…っ」



至近距離でのお兄ちゃんの想いに、胸の鼓動がドキドキ高鳴り始めた。


昨日の苦しいドキドキじゃない。

熱くて切ない、ヒミツの恋心のドキドキが────…



「──────────────好きだよ、ひとみ」


「お兄ちゃ……」



言い終わる前にわたしの唇はお兄ちゃんによって塞がれ、言葉が途切れた。


掴まれている両肩が、更に強く掴まれて少し痛い。


だけどそれ以上に触れた唇と唇の感触が熱くて、他は何も考えられなくなっていたの。








「───────ん…」



少ししてようやく唇が離れると、お兄ちゃんはわたしから視線をそらしながら俯いた。



「…………ごめん、こんな事して。気持ち悪いよな。
忘れてくれ…って、言うだけじゃ無理なのはわかってるんだけど…」


「お兄ちゃん!」



全身から感じるウズウズ感が、わたしをいっぱいにする。


誰にも言えなくて、ずっと胸の内にしまっていた気持ちが、今溢れそうになった。




してはイケナイ恋だと思って、ヒミツにしていたの。

口にしちゃイケナイって、わざと気付かないフリをしていたの。


でも、わたしだけじゃなかったんだ!



「お兄ちゃん。わたしも…わたしも、お兄ちゃんが好き。
大好きなのっ」



「ひ ひとみ…!?」



兄妹で恋なんて、普通じゃないよね。

でも好きって想うのは、ウソ偽りのない本当の気持ち。


そしてその気持ちを口に出して言える日が来た事が、何より嬉しい…!



「ずっとずっと言えなかったの。だってわたしたち、兄妹だもんね。
でもずっとずっと一緒にいられるなら、それでいいって。そう思ってた…」



「ひとみ………」



そう言うとお兄ちゃんはわたしの身体を、今度は優しく優しく抱きしめてくれた。

そして…



「ひとみは何も心配しなくていい。
オレたちはずっと、一緒なんだから」



もう一度、今度は優しいキスをしてくれた。





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