デ キ ちゃ っ た !?

むらさ樹

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オレ、きっと何かが変われたと思うよ!①

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週明けの月曜日から、由香は学校を休んだ。


さすがにクラスメイトに流産なんて知らせるわけにもいかないので、実習中に打ち所が悪くてしばらく安静 みたいな感じになっていた。

だから、由香の入院してるホントの理由を知ってるのはオレと高倉の2人だけだろう。



とりあえず何とか仕上げたレポートを提出し、今週は通常通りの授業を受けた。









それから週末の日曜日。
いつも通り21時ピッタリに仕事を終えてあがると、スタッフ用の通用口を開けて出た。


「あ、…陸!」

来客用と一緒に自転車を置いてる駐輪場の方へ向かっていると、その先に由香が手を振ってオレを呼んだ。


「由香!」

由香とは、とても会わす顔がなくて実習最終日である金曜日以来ずっと会っていなかった。

だから会うのは、1週間振り以上って事になるんだ。


「由香、病院は?
身体…どうなんだ?」

お見舞いに行こうと思えば行けた。
ただ、わざとバイトのシフトを入れてがむしゃらにバイトしてたんだ。

会いたくない、わけじゃない。
会わせる顔がない。
情けないけど、それが一番の理由だったから。


「もう退院したの。
ホントはあと1週間自宅安静なんだけど、退屈なんだもん」

「退屈って、でも…っ」

「…て言うか、早く陸に会いたかったから…来ちゃった」

「……………………」


ペロッと舌を出して笑う由香には、もう病院のベッドで泣いてた時のような面影もない。


「こんな時間に家から抜け出して来て、おばさんに怒られるぞ?」

「お母さん今日夜勤だから、大丈夫だよん。
ね、今から陸んとこ行っていい?」

「……………うん、いいよ」





すっかりヒーターもいらなくなった春の夜。

そうだ、あの日はまだ3月の初めで寒かったもんな。



「わぁ。
何か懐かしい、陸の部屋」

由香のおばさんの夜勤の都合に合わせて、週に1~2回は泊まりに来てたもんな。

春休みも挟んだから夜に由香がアパートに来るのは、実に1ヶ月振りだ。


「………………………」

「………………………」

荷物を置いて床に座ってみたものの、急に言葉が途切れてしまった。


しかもこうして向かい合って座ると、まるであの日に戻ったかのような緊張すら感じてきた。



『ねぇ、陸…?
あたし…デキちゃったかもしれないの…』

『デキたって…な ナニが…っ!?』


もし今また同じ事が起こったのなら、オレはもう動揺なんかしない。

答えも、1つだけだ。
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