デ キ ちゃ っ た !?

むらさ樹

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「ねぇ、陸っ
あたしの事、好きなんでしょ?
結婚も、してくれるよね…?」

「えぇっ、結婚って!
ちょ、由香?」


突然の話の飛び方に、オレは面食らった。
由香の事は好きだけど、結婚とか全然考えてもないってば!

そりゃ他の誰とも付き合う気もないけど、だからって由香と結婚するとか話の次元から違うと思ってるんだ。



「だから、オレたちまだ学生なんだってば!
卒業までだって、後1年残ってるんだぞ?」


もちろん、卒業した後の事だって考えてない。

就活もしなきゃなんないんだけど、面倒臭くてこのままバイト生活もアリだなとさえ思ってた。

卒業して得られる資格もあるんだけど、資格なんて使わなくたって消えやしないんだからさ。


「だいたい今のオレの生活、由香だって知ってるだろ?」



学費こそは親から出してもらってるけれど。

アパートの家賃から食費光熱費もろもろ全部の生活費、これらはオレが自分でバイトで稼いで自分でまかなっている。

洗濯だって節約して、3日に1回まとめてコインランドリー行ってんだぞ?



「今由香と結婚しても、バイトだけのオレに由香を養っていけないよ」

「それはわかってる!
陸にはちゃんと卒業してほしいし、ちゃんとした所で仕事もしてほしい」

「だったら…」


ちゃんとした所で仕事ってのが引っかかったけど、敢えて言わないでおこう。

卒業した後もホントはずっとバイトでも なんて、今は口が裂けても言えないや。


「だから結婚は後からでも、あたし待ってる。
ただこの赤ちゃんは、産みたいの!」

「…………………は?」


今、結婚なんてムリって言ったばかりなのに。
由香は、何を聞いていたんだ?


「産みたいって…まさか、そのお腹の子をか…?」

「そうよ。
だって、あたしと陸の赤ちゃんだもん!」


そんな事はわかってるよ!
別に相手が誰だとか、そういう事は疑ってないから。



「無茶な事を言ってるのはわかってる。
でも、エコー見たらおろすなんて考えられないんだもん!」

「だからって…っ」

「陸は…っ、あたしと陸の赤ちゃん、殺したいの…?」


こ こ 殺すとか、そんな言い方卑怯だぞ!!


「あたし…、学校やめてもいい。
生まれてきた命に、罪はないもの。
せっかく陸との間にできた赤ちゃん、産んであげたいよ…」

「……………………っ」


とんでもない結論を勝手に出した由香に、もうオレは何も返せなくなった。


とりあえず今は、それで話を終わらせたけど。
オレまだ卒業もしてないのに、子供とか結婚とか。


…これは、何とか由香を説得しなきゃだな…!


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