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どんどん小屋の方へ歩いていく警察官を、まるで尾行するかのようについて行く。



警察に犯人の居場所を教えなきゃという思いと、強盗さんに警察が来る事を教えたいという思いが同時に私の中で葛藤している。


だって…強盗さんは私を逃がしてくれたんだもの。
私だって同じように逃がしてあげたい…。


ううん、ダメよ。

何の理由があるのか知らないけど、私は被害者なんだから逃げて当然の身。


強盗さんは犯罪者なんだから逃げちゃいけないのよ。


だけど…

強盗さんは何の犯罪を犯したんだろう。



銀行強盗って言ったって、結局お金は1銭も得ていない。


誘拐した私には食べ物を分けてくれたし、大雨の中迷子になったのを助けてくれた。


そして最後には私を逃がしてくれたのよ。


強盗さんは…悪くないよ。

悪いのは、もう1人の強盗犯だけじゃないの?



先を歩く警察官に、こっちは違うって言ってみようか。


でも、じゃあ私は何者かって逆に怪しまれちゃうよね。


多分私の顔は人質として誰も認識はしてないと思う。


住み始めたばかりのよそ者だもん。知った人だっていない。







そう考えているうちにどんどん警察官は先に進み、いよいよ小屋が見えてきてしまった。


まるで小屋までの道を知ってるかのように、まっすぐここまで来ちゃうなんて。

この人、本当に警察官…?




小屋の前に立った男を、私は離れた木の陰に隠れて様子を見ていた。



私は小屋のドアは開けっ放しで出たのに閉まっているって事は、あの後強盗さんが自分で閉めたんだろうな。



「まだ多少は熱があると思う。
大丈夫かな、強盗さん…」




ドアの前に立った男は、まわりに注意を払うと取っ手を持ちギィと音を立ててドアを開けた…!


男は小屋のドアを開けると、中の様子を見るかのように、しばらく立って見ていた。



そして小屋の中に入ると、後ろ手にバタンとドアを閉めてしまった。



困ったなぁ。

閉められちゃったら中の様子が見えないから、どうなっているのかわからないよ。


私は急いで小屋の側まで近付いて、壁の隙間から中の様子が見えないか試みた。



「……………」



うーん。
外よりも中の方が暗すぎて、ここからじゃ全然中の様子が見えない。


仕方ないので、私は壁に聞き耳を立ててみる事にした。





「…何してんだ、こんな所に寝ころんで。
そんなに寝不足だったのか?」



「…お前っ
どうしてここに!?」




中から聞こえてくる2人の会話。

どうやらお互い知り合いみたい?


でも良かった。
とりあえず警察ではないみたいね。


…良かったと言っていいのかわかんないけど。



「どうしてって、撒いたら来るって言ったろ?
まぁちょっと予定よりは遅れちまったけどな」



撒いたら…来る…?

撒いたら…


ま まさか、この男…強盗さんの仲間の南って人なんじゃあ…!!

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