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それを聞いてあたしは、弾かれたようにご主人様から離れてしまった。
「何だよ。
逃げたら外せないだろ?」
「ぁ………っ」
ご主人様のペットである事を示す、チョーカー型の首輪。
まさかそのカギがご主人様がネックレスにしていた事は知らなかったけど。
でも、これを外すという事は、いよいよあたしはご主人様のペットじゃなくなっちゃう!
「ほら、こっち寄れったら。
自分じゃ外しにくいカギなんだぞ」
イライラしたような顔で、あたしにチェーンでぶら下がったカギを向けるご主人様。
ご主人様は……ご主人様は……
「あたしがペットじゃなくなっても平気なんですか!?」
「は?」
ここんとこ、ずっと冷たかった。
まるで避けてる風にも見えた。
あたしはサイさんみたいにお料理も上手じゃないもん。
お母さんとそっくりな顔に、おんなじ味を出すサイさんのお料理。
きっと、あたしなんか必要ないって思ったから。
まだ借金の返済が済んでないうちは、勝手に家に返すわけにもいかなくて。
それで、仕方なくあたしを部屋に閉じ込めたんだ。
だってもう、いらないから!
「……美咲がもうじき家に帰る事は、先週父さんに聞いた。
だから、少しでも早く美咲を忘れられるよう、仕事をやめさせた」
「……………っ」
忘れられるよう……。
わたしの事は、忘れたい存在だったの?
「……急にいなくなったら、ツラくて、切なくて、胸が張り裂けそうになるだろ」
「!?」
「もう二度とそんな風に、大好きな存在を急に失いたくないから。
だから、わざと避けて慣れようとしてたんだっ」
大好きな 存在。
それは、ご主人様のお母さんの事と……
「やっと心地いい存在を見つけたってのに、またオレの前から消えていくなんてっ
クソッ、どんだけ人の心をいたぶったら気が済むんだよ!!」
「ぁっ」
急に視界が揺らいだ。
それは、勢いよくご主人様に抱きしめられていたからだったんだ。
てゆーか……
心地いい存在って、あたし……?
「美咲っ」
力強く抱きしめるご主人様の腕が、あたしの身体を離さなくする。
「行っちゃ、嫌だっ
命令だぞっ!」
「ご主人様っ
く、苦しっ」
ギュウギュウと食い込むご主人様の腕で、熱く呼吸が止まりそうになる。
でもこんなにもご主人様に近付いたのは、きっと今が初めてだ。
「……………ごめん。
ご主人様ゴッコも、もう終わりだったな」
キュッと掴まれた腕が、ゆっくりと力を抜いていった。
だけどあたしは、そのまま離れてしまいそうになる腕を掴み返すと、ご主人様の顔を見て言ったの。
「今日はまだ、あたしはご主人様のペットです。
首輪は今は外さないでください。
でも……」
「美咲っ」
「……明日からはペットじゃなく、クラスメイトの美咲まどかでよかったら、また一緒にいさせてほしいです」
あたしがそっと目を閉じると、ご主人様は……
「美咲……大好きだ」
優しく優しく、唇を重ねてくれた。
どんなスイーツよりも甘い甘い、ご主人様とのキスを____……
「何だよ。
逃げたら外せないだろ?」
「ぁ………っ」
ご主人様のペットである事を示す、チョーカー型の首輪。
まさかそのカギがご主人様がネックレスにしていた事は知らなかったけど。
でも、これを外すという事は、いよいよあたしはご主人様のペットじゃなくなっちゃう!
「ほら、こっち寄れったら。
自分じゃ外しにくいカギなんだぞ」
イライラしたような顔で、あたしにチェーンでぶら下がったカギを向けるご主人様。
ご主人様は……ご主人様は……
「あたしがペットじゃなくなっても平気なんですか!?」
「は?」
ここんとこ、ずっと冷たかった。
まるで避けてる風にも見えた。
あたしはサイさんみたいにお料理も上手じゃないもん。
お母さんとそっくりな顔に、おんなじ味を出すサイさんのお料理。
きっと、あたしなんか必要ないって思ったから。
まだ借金の返済が済んでないうちは、勝手に家に返すわけにもいかなくて。
それで、仕方なくあたしを部屋に閉じ込めたんだ。
だってもう、いらないから!
「……美咲がもうじき家に帰る事は、先週父さんに聞いた。
だから、少しでも早く美咲を忘れられるよう、仕事をやめさせた」
「……………っ」
忘れられるよう……。
わたしの事は、忘れたい存在だったの?
「……急にいなくなったら、ツラくて、切なくて、胸が張り裂けそうになるだろ」
「!?」
「もう二度とそんな風に、大好きな存在を急に失いたくないから。
だから、わざと避けて慣れようとしてたんだっ」
大好きな 存在。
それは、ご主人様のお母さんの事と……
「やっと心地いい存在を見つけたってのに、またオレの前から消えていくなんてっ
クソッ、どんだけ人の心をいたぶったら気が済むんだよ!!」
「ぁっ」
急に視界が揺らいだ。
それは、勢いよくご主人様に抱きしめられていたからだったんだ。
てゆーか……
心地いい存在って、あたし……?
「美咲っ」
力強く抱きしめるご主人様の腕が、あたしの身体を離さなくする。
「行っちゃ、嫌だっ
命令だぞっ!」
「ご主人様っ
く、苦しっ」
ギュウギュウと食い込むご主人様の腕で、熱く呼吸が止まりそうになる。
でもこんなにもご主人様に近付いたのは、きっと今が初めてだ。
「……………ごめん。
ご主人様ゴッコも、もう終わりだったな」
キュッと掴まれた腕が、ゆっくりと力を抜いていった。
だけどあたしは、そのまま離れてしまいそうになる腕を掴み返すと、ご主人様の顔を見て言ったの。
「今日はまだ、あたしはご主人様のペットです。
首輪は今は外さないでください。
でも……」
「美咲っ」
「……明日からはペットじゃなく、クラスメイトの美咲まどかでよかったら、また一緒にいさせてほしいです」
あたしがそっと目を閉じると、ご主人様は……
「美咲……大好きだ」
優しく優しく、唇を重ねてくれた。
どんなスイーツよりも甘い甘い、ご主人様とのキスを____……
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