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●あたし、友情も大事にしています!?①
しおりを挟む「……ぁさん…」
「ん……」
ご主人様の声で、目が覚めた。
視界はぼんやり薄暗い。
だけどこの感じ、夜じゃない。
むしろ朝だ。
「あっ」
あたしの身体に巻き付いた腕が、一気に眠気をぶっ飛ばした。
ご主人様に抱っこされながら、一緒に寝てたんだっけ!
でも男子と一緒に朝まで寝た事なんて今までないわけだから、それだけでもドキドキしちゃうよぉ!!
ずっとあたしの身体を抱きしめたまま寝ていたようで、昨日のままあたしはご主人様の腕の中にいた。
ていうか、ご主人様の腕の中ってホントあったかいなぁ。
こんな風に身体を寄せて寝た事自体初めてだから、抱っこがこんなにもあったかくて気持ちいいものだって知らなかったよぉ。
そっと枕元を覗くと時計が見えて、ちょっと早いけど起きてもいい時間になっていた。
今から朝ご飯の支度や洗濯もあるんだし、あたしは起きなきゃいけないかな。
「ご主人様、朝ですよー」
ご主人様の腕の中で声をかけるのだけど、まるで聞こえていないかのように反応がない。
そういえば、ご主人様は寝覚めの悪い方だったな。
あたしはゆっくりと身体に巻き付いたご主人様の腕を持ち上げると、身体を起こした。
「ぅ……ん……」
その勢いでご主人様の身体は仰向けになったのだけど、それでもまだ起きそうにない。
「……きっと昔からお寝坊さんだったんだね」
寝てる時はこんな無防備な顔してるのに、昨日は抱かせろなんて言ってきたんだからドキッとしたよっ
「…………」
起こした身体で上からご主人様の寝顔を見てると、またドキドキしてくる。
ご主人様だけど、でもクラスメイトの理央クン。
「………………」
スヤスヤと眠ってる理央クンに、あたしはゆっくりゆっくり顔を寄せた。
今だけは、まだ起きないでね。
「理央クン……」
そっと重ねた唇から、理央クンのぬくもりが伝わった。
今の今だけは、ペットのあたしじゃない。
美咲まどかの、密かな気持ち。
理央クン、すき____。
「ごちそうさま」
「はい、お粗末様でしたぁ」
朝ご飯は簡単なベーコンエッグに、トマトとトースト。
今日もペロリと完食頂きましたー!
「じゃあオレは支度するから」
「はい、あたしはお皿片付けてきます」
食べたお皿をカートに乗っけてキッチンへ運ぶ。
あ、昨日は授業で宿題が出てたんだったっけ。
ホントは寝る前にやるつもりだったんだけど、ご主人様に呼ばれたから置いたままだったんだ。
「大変だぁ!」
あたしは汚れたお皿をシンクに置くと、そのまますぐに自分の部屋に戻った。
簡単なプリント1枚だけだったから、ソッコーでやれば登校前までには間に合うハズ。
部屋に戻ってすぐに通学カバンを開いてプリントを探す。
確か教科書の間に……
――――ピラリ
1通の手紙がカバンから出てきた。
「あっ」
足下にまで落ちたその手紙を、あたしは慌てて拾った。
ヤバい。
コレ琴乃から預かったラブレターだ!
ご主人様に渡すように頼まれたのに。
昨日は渡すタイミングがなくてカバンに入れっぱなしだったよぉ。
あー……今からでも、渡す?
でも自分の好きな人に、他の女子からのラブレターを渡すなんて……。
「…………」
……断っちゃおうか。
受け取ってもらえなかったよって。
理央クンは見た目通り冷たい奴なんだから、やめときなよって………
……………言えるわけないか。
でも……
悩みに悩み、結局どうしたらいいか答えも出せないまま、時間ばかりが過ぎてしまっていた。
当然宿題も、できないまま。
「美咲!
何やってんだー!?」
「はっ、はいーっ」
琴乃のラブレターを持ったまま部屋の中を行ったり来たりしていると、とうとうご主人様を待たせてしまったようで呼び出しをくらってしまった。
あたしはラブレターを制服のポケットに入れると、通学カバンを持って慌てて部屋を飛び出した。
「ご、ごめんなさいっ
お待たせしましたぁ!」
部屋の前には制服に着替えたご主人様が立っていて、出て来たあたしをギロリと睨んだ。
「どうしたんだ?
いつもこんな事ないのに」
「あ、えーとですねっ
その……っ」
どうしよう。
渡すなら今かなっ
だけど読んでほしくもない!
あああっ
どうしたらっ
「……そういえば、昨夜は宿題できずじまいだったな。
もしかして、宿題やってたのか?」
あーそうだー、宿題やるつもりだったんだー!
ヤバいよーっ
それもやらなきゃなのにぃっ!
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