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●あたし、ドキドキさせられてます!?①
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______
________……
「……まどかさん……
まどかさん……!」
「ん…………」
あたしを呼ぶ声……
まどろむ意識を覚まそうと、眠い目を一生懸命開けてあたしは自分を呼ぶ声の方を見た。
「まどかさん。
もう起きないと、朝食の支度もあなたの仕事でしょう?」
朧気に目に映ったのは、真っ黒なスーツに真っ黒なサングラス。
あれ……?
この人は確か………
「サイ!
……バラさんっ」
一気に眠気も吹っ飛び、あたしの顔を覗き込むサイさんにビックリして身を起こした。
あれっ? あれっ?
えっと、ここは…っ!
いつものあたしの部屋じゃない。
窓から差し込むお日様の光は同じなんだけど、このベッド、この天井、この部屋の中にいるサイさんという状況!
そうだ!
あたし、理央クンの家にいるんだっけ!
思い出したように首もとに触ると、昨夜理央クンに付けられた首輪が今も頑丈に巻き付いていた。
チョーカーみたいって言ってただけあって、茶色い皮のようなものに金の装飾が付いていて、ホントに違和感ないオシャレなデザインだった。
「そ、そんな事より!
どうしてサイさんが、あたしの部屋にいるんですかぁ!」
「……これまではわたしがこの家の召使いだったのですが、今はまどかさんがその役になりました。
朝食の支度も、敢えてわたしは手を出さないでいるのですが」
「あ……朝ご飯。
あたしが作るんだよね……」
自分の置かれた状況を、今一度思い出した瞬間だった。
てゆーか、サイさんったら朝からサングラスなのね……。
ベッドから下りると、あたしはメイド服に着替えた。
「さってと、朝ご飯と言えば…」
キッチンに行き、自分が朝食べているものを思い出しながら冷蔵庫を開けて食材を探す。
__で、
結局作ったのは、ベーコンを敷いた目玉焼きに、昨日の余った食パンのトースト。
以上!
マグカップに牛乳を注ぐと、あたしはそれらをカートに乗せて理央クンの部屋へ運んだ。
「おはよう!……ございますっ」
ドアをノックして理央クンの部屋に入った。
もしかしたら「遅い!」って怒られちゃうかなぁ。
手順的には簡単な朝ご飯なんだけど、普段やらないからやたら手間取っちゃったんだよね。
「……あれ?」
ソファの前にあるテーブルに朝ご飯を置いたのだけど、肝心の理央クンの姿が見当たらない。
おかしいな。
トイレにでも行ってるのかな?
仕方ない、戻って来るまでこのまま待っとこう。
「…………………」
何となく、キョロキョロと部屋の中を見渡す。
ちょっぴり殺風景な気もする理央クンの部屋。
無駄にだだっ広い部屋、テーブルとソファ、机、テレビに本棚、それから……
「ん?」
部屋の奥の方に、カーテンで仕切られた箇所を発見した。
昨日は急な出来事に、部屋の中をよく見る余裕なんてものがなかったから気付かなかったな。
カーテンの隙間から、まだ部屋の奥があるように見える。
「何があるんだろう」
理央クンを待ってる間、手持ちぶさたも退屈なんで、あたしはそのカーテンの隙間から向こう側を覗いてみる事にした。
部屋のこっち側と違って斜光カーテンで窓からの朝陽を遮っているのか、ぼんやり暗いカーテンの向こう側。
そっと手でカーテンを開けながら、あたしは向こう側へと足を踏み入れた。
「……ぁ さん…」
「っ!!」
かすれたような声が聞こえ、ビクっと驚いてしまう。
それに、カーテンを開けた先で真っ先に見えたのはふかふかのお布団。
それがモゾモゾと動いたかと思うと、そこから覗いたのは無防備と言っていいほどの天使の寝顔をしている理央クンだった。
こ、ここって、理央クンのベッド……っ
理央クンの寝室だったのーーっ!?
眠っているのを良いことに、あたしは身を乗り出して理央クンを見た。
「…………っ」
今までツンツンした態度しか見たことなかったけれど、寝てる時はそんな事を微塵も感じさせない優しい寝顔。
まつ毛だって目を閉じてるとすごく長いのがわかるし、薄い唇が呼吸に併せて動いてるのが見ててドキドキするっ
あたしは単なる人質メイドで来てるだけなのに、こんなすごいの見てていいのかなっ
っていうか、朝からラッキーだぁ!!
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