8 / 68
④
しおりを挟む
__その2日後。
「あ、凛っ」
仕事に入る前の控え室で、凛が来るのを待っていた。
先に来ていたあたしはすっかり支度を終えている。
来たばかりの凛はバッグを置くと、早速ドレスに着替え始めた。
「愛さん、今日は早ーい。
やる気満々なのぉ?」
「そうじゃないわよっ
それより、昨日の話を聞かせてよ。
どうだった?
どんなものにお金をつぎ込んだの?」
「昨日?
……あー、ホストクラブの話かぁ」
「やっぱり、あのグラスのタワー?
あれ1つで、結構売り上げの貢献になるのよね」
お店全体で行われるイベントみたいになっちゃってるから、きっと相当な金額だろうし、他のお客の目も引いてさぞ本人だけじゃない指名を受けてたホストさえも気分もいいんだろうな。
…所が凛の返ってきた反応がやけにイマイチで、でもその理由を聞いて納得した。
「昨日はあんまり遊べなかったのぉ…」
「えっ、どうして?
ガッツリ遊ぶって言ってたのに」
お気に入りの子に貢献して、自分の手でナンバーワンにしてあげるのが楽しい育成ゲームって言ってたのだ。
さぞ派手なパフォーマンスのあるお酒を注文したんだと思ってたんだけど。
「だってぇ…昨日いなかったんだもん」
「え、目当てのホストが?」
「そう!
もう超クヤシいから他の子でガマンしたけどー!」
ガマンだなんて、そのホストが聞いたらかわいそうに。
だけど、年中無休のホストクラブなら、ホストたちも交代でバラバラに休みをもらってるんだろうな。
それはあたしらだって同じだから仕方ないって言うか、納得するしかないわよね。
「はぁ…アタシ今日は仕事する気になれない~」
なんて言いながら鏡の前で突っ伏した凛。
せっかく休みの日に気合い入れて行ったのに、いなかったんなら落ち込みたくもなるわよね。
「まぁまぁ、次があるわよ」なんて気休めになればと凛を励ましながらあたしは考えていた。
…そういえば。
紫苑はオーナーだから、いつもいるとは限らないみたいな事を聞いた。
実は明日、あたしは休み。
凛の結果報告を聞いて、参考にしようと思ってたのだ。
紫苑がいるかどうかわからないけど…。
凛の話が聞けそうにないなら、明日あたしが改めて練習のつもりで行ってみよう。
敢えてランクの低いホストなら、口も軽くていろいろ裏話を聞かせてもらえるかもしれないものね。
__そんなわけで、翌日の休み。
あたしは1人、“club-shion”へと向かった。
前の時、“club-shion”へ来ていたお客は派手な衣装の女が多かった。
ニオイでわかる。
あれは多分、あたしらと同じような仕事をしてる女なんだわ。
それ以外なら、元々のお金持ちか、親のスネかじってるような奴か。
何にしても、行くからにはあたしだって負けてらんない!
持っている服の中で一番高くてセクシーなものを着て。
仕事のお客からもらったブランドの時計やバッグを身に着ける。
予習とは言え、お金もやや多めに持って行っとこう。
あたしはすっかり気合いを入れ、本気モードで“club-shion”へと立ち向かった。
「あ、凛っ」
仕事に入る前の控え室で、凛が来るのを待っていた。
先に来ていたあたしはすっかり支度を終えている。
来たばかりの凛はバッグを置くと、早速ドレスに着替え始めた。
「愛さん、今日は早ーい。
やる気満々なのぉ?」
「そうじゃないわよっ
それより、昨日の話を聞かせてよ。
どうだった?
どんなものにお金をつぎ込んだの?」
「昨日?
……あー、ホストクラブの話かぁ」
「やっぱり、あのグラスのタワー?
あれ1つで、結構売り上げの貢献になるのよね」
お店全体で行われるイベントみたいになっちゃってるから、きっと相当な金額だろうし、他のお客の目も引いてさぞ本人だけじゃない指名を受けてたホストさえも気分もいいんだろうな。
…所が凛の返ってきた反応がやけにイマイチで、でもその理由を聞いて納得した。
「昨日はあんまり遊べなかったのぉ…」
「えっ、どうして?
ガッツリ遊ぶって言ってたのに」
お気に入りの子に貢献して、自分の手でナンバーワンにしてあげるのが楽しい育成ゲームって言ってたのだ。
さぞ派手なパフォーマンスのあるお酒を注文したんだと思ってたんだけど。
「だってぇ…昨日いなかったんだもん」
「え、目当てのホストが?」
「そう!
もう超クヤシいから他の子でガマンしたけどー!」
ガマンだなんて、そのホストが聞いたらかわいそうに。
だけど、年中無休のホストクラブなら、ホストたちも交代でバラバラに休みをもらってるんだろうな。
それはあたしらだって同じだから仕方ないって言うか、納得するしかないわよね。
「はぁ…アタシ今日は仕事する気になれない~」
なんて言いながら鏡の前で突っ伏した凛。
せっかく休みの日に気合い入れて行ったのに、いなかったんなら落ち込みたくもなるわよね。
「まぁまぁ、次があるわよ」なんて気休めになればと凛を励ましながらあたしは考えていた。
…そういえば。
紫苑はオーナーだから、いつもいるとは限らないみたいな事を聞いた。
実は明日、あたしは休み。
凛の結果報告を聞いて、参考にしようと思ってたのだ。
紫苑がいるかどうかわからないけど…。
凛の話が聞けそうにないなら、明日あたしが改めて練習のつもりで行ってみよう。
敢えてランクの低いホストなら、口も軽くていろいろ裏話を聞かせてもらえるかもしれないものね。
__そんなわけで、翌日の休み。
あたしは1人、“club-shion”へと向かった。
前の時、“club-shion”へ来ていたお客は派手な衣装の女が多かった。
ニオイでわかる。
あれは多分、あたしらと同じような仕事をしてる女なんだわ。
それ以外なら、元々のお金持ちか、親のスネかじってるような奴か。
何にしても、行くからにはあたしだって負けてらんない!
持っている服の中で一番高くてセクシーなものを着て。
仕事のお客からもらったブランドの時計やバッグを身に着ける。
予習とは言え、お金もやや多めに持って行っとこう。
あたしはすっかり気合いを入れ、本気モードで“club-shion”へと立ち向かった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
じれったい夜の残像
ペコかな
恋愛
キャリアウーマンの美咲は、日々の忙しさに追われながらも、
ふとした瞬間に孤独を感じることが増えていた。
そんな彼女の前に、昔の恋人であり今は経営者として成功している涼介が突然現れる。
再会した涼介は、冷たく離れていったかつての面影とは違い、成熟しながらも情熱的な姿勢で美咲に接する。
再燃する恋心と、互いに抱える過去の傷が交錯する中で、
美咲は「じれったい」感情に翻弄される。
ひな*恋 〜童顔ひな子の年の差恋愛(ノベル版)
むらさ樹
恋愛
端から見れば、普通の高校生カップルかもね
「ひな、何食う?」
「あ、ゲーセン寄ってかね?」
もうすっかり忘れていた若い頃の遊び方
「うち来なよ。
しばらく親、帰って来ねーから」
「初めて?
じゃ、バージンもらい!」
その年の差
12歳
もっと遅くに生まれてればよかったって思った
…ううん
せめて年相応の姿ならば、諦める事ができたのかもしれないね
*******
「…よかったら、途中まで送らせてもらえませんか。
今度は、個人的な理由かもしれませんが…」
「かわいい人だなって、思って見てました。
僕も…男ですから」
お互い結婚適齢期を過ぎちゃってるかな
童顔な私を子ども扱いせず、オンナとして見てくれる
「ずっと、ずっと僕があなたを守っていきます。
だから…ずっと、ずっと僕の側にいて下さい」
その年の差
9歳
─W 年の差 恋愛─
私も真剣に考えなきゃならない
結婚
だけど…っ
「俺、ひなとずっと一緒にいたい」
ダメ
ダメなの
私はキミとはつり合わない
見た目はキミのようにヒナだけど
心はキミ以上にオトナなの!
「好きだよ、ひな。
俺やっぱ、ひながいい」
好きになっちゃ、ダメ
だって私は
キミの母親になろうとしているのよ…!
※既出漫画コンテンツ、ひな*恋のノベルバージョンです!
むしろこちらが原作で、そこから漫画をアップしました。もしよかったら、どちらもドゾー!
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
好きな人がいるならちゃんと言ってよ
しがと
恋愛
高校1年生から好きだった彼に毎日のようにアピールして、2年の夏にようやく交際を始めることができた。それなのに、彼は私ではない女性が好きみたいで……。 彼目線と彼女目線の両方で話が進みます。*全4話
さよならと、その先で【切ない恋の短編集】
天野蒼空
恋愛
ちょっと切ない短編集。色んな『切ない』『叶わない』恋のお話を詰め合わせました。お好きなところからどうぞ。
「雨上がりの忘却曲線」……会えない人を待ち続けていた女の子のお話。奇跡はどこかで起きるかも。
「白」……ずっとお付き合いしている彼氏は、難病持ち。今日も病室で眠っている彼のお見舞いにいく。切なくも愛を感じる短編。
「詰められない距離」……叶わない幼なじみモノ。どうしてその距離を詰められないのかは本編へ。
「最後の一時間」……最愛の彼氏、俊が乗る電車まで、あと一時間。あなたと一緒で本当に幸せだった。愛を噛み締める、切ない物語。
「もう花束も届けられないけれど」……高校時代に好きだった君。そんな君にひまわりの花束を届けにいく。届けに行く先は……。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる