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召喚された勇者が望むのは、婚約破棄された騎士令嬢

7: Side 勇者3

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 無重力装置を働かせて、ホールを飛び上がり、天井近くの窓から外へ出る。
はめ殺しのガラス窓だったので元素変換鉾で一瞬気体化し、外に出てから元に戻す。
ホールでどよめきが起こったけど、パフォーマンスのひとつです。

 さて、龍の卵はっと。
目的地の設定はh2@;k-でしてきたので、光学ガイドに従って卵のところまでいく。

 よし、目標物、発見。 
どす黒い卵に粒子鉾をうちつけると、卵はさらさらと粒状になって崩れていく。

 あ、これ、中身まで粉末っぽくなってる。
まぁいいか。

 粉末状の元龍の卵を手のひらにとって、再度固める。
証拠としては微妙だけど、現地民もこの場所は知っているみたいだし、不安ならここまで確認にくればいいだけだ。
グラ龍は生まれないんだし、問題ないよね。

 お仕事、終了。
とすれば、こんなところに用はない。
さっさとツガイのところに帰らないと。

 ホールには簡易転移陣を置いてきたので、ひょいっと戻る。

「もどったよ」

 またホールはざわめいているけど、ツガイがびっくりして目を丸くしているのがかわいすぎる。
俺は、ツガイにわらいかけながら、おじさんに卵のかけらを渡す。

「こ、これはグラ龍の……!まさかこの一瞬で……!?」

「破壊したよ。もうグラ龍は孵化しない。確認はしたければしていいけど、その前に報酬をもらおうか」

 やっと彼女に愛を乞える。
君とツガイになりたいんだと言えば、彼女は喜んでくれるだろうか。

 俺は、異星人だ。
この星は通常、異星人とは交流しない。
きっと普通に求婚しても、彼女は俺を愛してはくれない。
だからこその転移許可願いだ。

 この未開の地ではなしえない功績で、彼女の歓心を買おうとしているのだ。
じゃなきゃ、初めから相手にしてもらえないから。

 でも、最初のきっかけがなんであれ、俺は君だけを唯一の人として愛するから。
君も、俺を好きになってほしい。

 生まれて初めて緊張しながら、彼女の前へ立とうとする。

 なのに、なぜかおじさんが俺の前にたちふさがる。
そして、小さい女の子をぐっと差し出してきた。

「勇者よ、これがこの世界でいちばんの美女、わが娘アンリエール王女だ。貴殿の功績を称賛するため、報奨としてこの娘をさしあげよう」

「え?いや、いらないよ」

 めちゃくちゃ真剣な顔をしたおじさんと女の子が、俺の言葉にぽかんとした。

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