111 / 113
それがレイの望みだと言われましたが
しおりを挟む
肌が、綺麗になっている……?
びみょうに、びみょうに、だけど。
うっすらあった目の下のちりめん皺が薄れている気がする。
肌のくすみも、いつもより薄いような。
昨日からいろいろあって疲れ気味だし、肌のお手入れも万全とはいえないのに。
はっ。まさか、恋をすると綺麗になるってやつ?
いっしゅん期待したけど、そんなわけないよな。
そんな即効性のある俗説、聞いたことないよ。
現実的に考えたら、この鏡のうつりがいいんだろうな。
それか、室内の灯りの関係かで、綺麗に見えてるんだろう。
手持ちのファンデーションとかについている鏡で確認したいけど、もうすぐメアリーさんが戻ってきそう。
と思った瞬間、ドアが開いて、メアリーさんがお茶を持ってきてくれた。
あいかわらず、すごいタイミングだ。
メアリーさんが用意してくれたのは、マスカットみたいな香りのする紅茶だった。
それから指先ほどのサイズの小さな焼き菓子。
ミルクもおさとうもいれずにお茶をいただくと、バターとハチミツみたいな甘さのある焼き菓子が美味しさを増してくれる。
メアリーさんは、お茶をいれてくれた後は、壁際で控えてくれている。
うーん、なんか落ち着かないなぁ。
ひとりでお茶するのは、ふだんでもなくはないんだけど。
そういうときは、だいたい手元でスマホを見てたからなぁ。
ひとりで、なにもせずお茶だけをいただくって、ぜいたくな時間だと思うけど、落ち着かない。
「レイは、まだお仕事ですか?」
「そうですね。まだお仕事中のようです。……お食事はご一緒にということで、美咲様にもお待ちいただいていますが、先にすこしなにか召し上がられますか?」
「いえ、だいじょうぶです」
手持ち無沙汰だったので聞いたら、腹ペコ疑惑を受けた。
しょうじきちょっとお腹はすいているけど、夕食を待てないほどじゃない。
居候先で、家主をおいて、他人にごはん用意してもらうのって、ちょっと遠慮しちゃうよね。
「昨日から、レイには、私のことでお時間をいただいているので。お忙しいでしょうに、申し訳ないなと思って」
これも本心。
どう言ったって、私がレイに迷惑かけていることも、これからも迷惑をかけることも間違いないから、あんまり言うのもよくないと思ってるけど。
だけど、メアリーさんは頼もしい笑顔で言う。
「美咲様のことに時間を使うことは、レイ様の望みでしょう。なにしろ、ひとめぼれしたあげく、家にまでお招きするほど愛されているのです。美咲様は、その要望に応えているのだと堂々とされていらっしゃればよろしいかと」
おおぅ。
そういえば、そういう設定でしたね。
でも真実は、私は異世界人で、レイにごりごりに頼らせてもらっているだけっていう……。
あれ。でも、レイは私のこと、好きになってくれたんだっけ。
ここにずっといてほしいって、言われたし。
てことは、メアリーさんの言葉も、間違いではない?
でも、愛されて望まれているんだからって、相手に迷惑かけても堂々としてるっていうのは、私にはハードル高い。
びみょうに、びみょうに、だけど。
うっすらあった目の下のちりめん皺が薄れている気がする。
肌のくすみも、いつもより薄いような。
昨日からいろいろあって疲れ気味だし、肌のお手入れも万全とはいえないのに。
はっ。まさか、恋をすると綺麗になるってやつ?
いっしゅん期待したけど、そんなわけないよな。
そんな即効性のある俗説、聞いたことないよ。
現実的に考えたら、この鏡のうつりがいいんだろうな。
それか、室内の灯りの関係かで、綺麗に見えてるんだろう。
手持ちのファンデーションとかについている鏡で確認したいけど、もうすぐメアリーさんが戻ってきそう。
と思った瞬間、ドアが開いて、メアリーさんがお茶を持ってきてくれた。
あいかわらず、すごいタイミングだ。
メアリーさんが用意してくれたのは、マスカットみたいな香りのする紅茶だった。
それから指先ほどのサイズの小さな焼き菓子。
ミルクもおさとうもいれずにお茶をいただくと、バターとハチミツみたいな甘さのある焼き菓子が美味しさを増してくれる。
メアリーさんは、お茶をいれてくれた後は、壁際で控えてくれている。
うーん、なんか落ち着かないなぁ。
ひとりでお茶するのは、ふだんでもなくはないんだけど。
そういうときは、だいたい手元でスマホを見てたからなぁ。
ひとりで、なにもせずお茶だけをいただくって、ぜいたくな時間だと思うけど、落ち着かない。
「レイは、まだお仕事ですか?」
「そうですね。まだお仕事中のようです。……お食事はご一緒にということで、美咲様にもお待ちいただいていますが、先にすこしなにか召し上がられますか?」
「いえ、だいじょうぶです」
手持ち無沙汰だったので聞いたら、腹ペコ疑惑を受けた。
しょうじきちょっとお腹はすいているけど、夕食を待てないほどじゃない。
居候先で、家主をおいて、他人にごはん用意してもらうのって、ちょっと遠慮しちゃうよね。
「昨日から、レイには、私のことでお時間をいただいているので。お忙しいでしょうに、申し訳ないなと思って」
これも本心。
どう言ったって、私がレイに迷惑かけていることも、これからも迷惑をかけることも間違いないから、あんまり言うのもよくないと思ってるけど。
だけど、メアリーさんは頼もしい笑顔で言う。
「美咲様のことに時間を使うことは、レイ様の望みでしょう。なにしろ、ひとめぼれしたあげく、家にまでお招きするほど愛されているのです。美咲様は、その要望に応えているのだと堂々とされていらっしゃればよろしいかと」
おおぅ。
そういえば、そういう設定でしたね。
でも真実は、私は異世界人で、レイにごりごりに頼らせてもらっているだけっていう……。
あれ。でも、レイは私のこと、好きになってくれたんだっけ。
ここにずっといてほしいって、言われたし。
てことは、メアリーさんの言葉も、間違いではない?
でも、愛されて望まれているんだからって、相手に迷惑かけても堂々としてるっていうのは、私にはハードル高い。
0
お気に入りに追加
94
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました
ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。
名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。
ええ。私は今非常に困惑しております。
私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。
...あの腹黒が現れるまでは。
『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。
個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
関係を終わらせる勢いで留学して数年後、犬猿の仲の狼王子がおかしいことになっている
百門一新
恋愛
人族貴族の公爵令嬢であるシェスティと、獣人族であり六歳年上の第一王子カディオが、出会った時からずっと犬猿の仲なのは有名な話だった。賢い彼女はある日、それを終わらせるべく(全部捨てる勢いで)隣国へ保留学した。だが、それから数年、彼女のもとに「――カディオが、私を見ないと動機息切れが収まらないので来てくれ、というお願いはなんなの?」という変な手紙か実家から来て、帰国することに。そうしたら、彼の様子が変で……?
※さくっと読める短篇です、お楽しみいだたけましたら幸いです!
※他サイト様にも掲載
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
私の手からこぼれ落ちるもの
アズやっこ
恋愛
5歳の時、お父様が亡くなった。
優しくて私やお母様を愛してくれたお父様。私達は仲の良い家族だった。
でもそれは偽りだった。
お父様の書斎にあった手記を見た時、お父様の優しさも愛も、それはただの罪滅ぼしだった。
お父様が亡くなり侯爵家は叔父様に奪われた。侯爵家を追い出されたお母様は心を病んだ。
心を病んだお母様を助けたのは私ではなかった。
私の手からこぼれていくもの、そして最後は私もこぼれていく。
こぼれた私を救ってくれる人はいるのかしら…
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 作者独自の設定です。
❈ ざまぁはありません。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
一緒に召喚された私のお母さんは異世界で「女」になりました。【ざまぁ追加】
白滝春菊
恋愛
少女が異世界に母親同伴で召喚されて聖女になった。
聖女にされた少女は異世界の騎士に片思いをしたが、彼に母親の守りを頼んで浄化の旅を終えると母親と騎士の仲は進展していて……
母親視点でその後の話を追加しました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる