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スマホとかだけでも自分で持ち歩けるのは助かるのですが
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ラナンキュラスの間に戻ると、お部屋はすっかり片付いていた。
あんなにたくさんのドレスとかがあったのに、メイドさんたちのお片付け能力がすごい。
メアリーさんによると、ぜんぶがぜんぶこの部屋に置いてあるわけじゃなく、別の場所で管理してくれているものもあるみたいだけど。
靴とか帽子とか、かさばるものも多いしね。
でも私が自分で着替えられるようにと、部屋着はもちろんお出かけにも着られる服もクローゼットに入れてくれてある。
「美咲様は、ご自分でなさりたいときもおありでしょうから」
にこやかにメアリーさんが言ってくれて、感謝しかない。
着替えひとつ、自分ではできないような環境って、ちょっとストレスだもんね。
私がもとの世界から持ってきたバッグも、クローゼットにきちんとおさめられている。
家の中でずっとバッグを持ち歩くわけにもいかないから、部屋に置いていたのだけど、あるのを確認するとほっとする。
このお屋敷の中で、荷物を盗られることを疑ってるとかじゃない。
だけど、これは私ともとの世界を繋ぐよすがみたいなものだから。
スマホとカメラだけは、さすがに手元から離せなくて、ハンカチとかと一緒に小さなバッグに入れて持ち歩いているんだけどね。
これだけでも、持ち歩くのを止められなくてよかった。
荷物は基本、メイドさんとかが持ってくれることになってて、私が大きな荷物を持ち歩くのは、こちらの常識にそぐわないそうだ。
でもこのお屋敷では、世間一般の常識より住人の利便がふだんから優先されるのだそう。
レイも、レイのお姉さまであるダイアモンド様も、仕事の資料なんかを自分で抱えて運ぶことも多いんだって。
だから私が大きなバッグを抱えて歩いても止められはしないんだろうけど、一泊旅行ができそうなサイズのバッグを家の中で常に持ち歩くというのは、さすがのメアリーさんも想定外だったみたい。
「もしご自分で持ち歩きたいお荷物がおありなら、こちらをお使いください」
って、持ち歩き用に小さなバッグを用意してくれた。
自分でも、あの大きなバッグを持ち歩くのは、このお屋敷の人を信用していないみたいで感じ悪いかなと思っていたので、お礼を言って、そのバッグを使うことにした。
サイズは、ランチトートぐらい。
ゴブラン織で、クリーム色の地に、ヒョウっぽい動物と熱帯っぽい樹が描かれている。藤色で。
うん、綺麗だし、いい色だと思いますよ……。
それはともかく、置いていたバッグの中も確かめたいなぁ、なんて。
いや、ほんとに盗られるとかを心配しているわけじゃないんだけど。
ただ、なんとなく落ち着かないっていうか。
でも、メアリーさんの前で、もとの世界の荷物を確認はしづらい。
異世界っぽいものもあるし、メアリーさんたちを疑っているみたいでもあるし。
と思ったら、メアリーさんがタイミングよく、聞いてくれた。
「美咲様。ご夕飯まで、まだしばらくお時間がございます。お茶をご用意してまいりましょうか?」
「あ、はい。お願いします」
言われてみれば、のどが渇いている。
そう答えると、メアリーさんは一礼して、部屋を出てくれた。
……思考が読まれている、わけじゃないよね?
あんなにたくさんのドレスとかがあったのに、メイドさんたちのお片付け能力がすごい。
メアリーさんによると、ぜんぶがぜんぶこの部屋に置いてあるわけじゃなく、別の場所で管理してくれているものもあるみたいだけど。
靴とか帽子とか、かさばるものも多いしね。
でも私が自分で着替えられるようにと、部屋着はもちろんお出かけにも着られる服もクローゼットに入れてくれてある。
「美咲様は、ご自分でなさりたいときもおありでしょうから」
にこやかにメアリーさんが言ってくれて、感謝しかない。
着替えひとつ、自分ではできないような環境って、ちょっとストレスだもんね。
私がもとの世界から持ってきたバッグも、クローゼットにきちんとおさめられている。
家の中でずっとバッグを持ち歩くわけにもいかないから、部屋に置いていたのだけど、あるのを確認するとほっとする。
このお屋敷の中で、荷物を盗られることを疑ってるとかじゃない。
だけど、これは私ともとの世界を繋ぐよすがみたいなものだから。
スマホとカメラだけは、さすがに手元から離せなくて、ハンカチとかと一緒に小さなバッグに入れて持ち歩いているんだけどね。
これだけでも、持ち歩くのを止められなくてよかった。
荷物は基本、メイドさんとかが持ってくれることになってて、私が大きな荷物を持ち歩くのは、こちらの常識にそぐわないそうだ。
でもこのお屋敷では、世間一般の常識より住人の利便がふだんから優先されるのだそう。
レイも、レイのお姉さまであるダイアモンド様も、仕事の資料なんかを自分で抱えて運ぶことも多いんだって。
だから私が大きなバッグを抱えて歩いても止められはしないんだろうけど、一泊旅行ができそうなサイズのバッグを家の中で常に持ち歩くというのは、さすがのメアリーさんも想定外だったみたい。
「もしご自分で持ち歩きたいお荷物がおありなら、こちらをお使いください」
って、持ち歩き用に小さなバッグを用意してくれた。
自分でも、あの大きなバッグを持ち歩くのは、このお屋敷の人を信用していないみたいで感じ悪いかなと思っていたので、お礼を言って、そのバッグを使うことにした。
サイズは、ランチトートぐらい。
ゴブラン織で、クリーム色の地に、ヒョウっぽい動物と熱帯っぽい樹が描かれている。藤色で。
うん、綺麗だし、いい色だと思いますよ……。
それはともかく、置いていたバッグの中も確かめたいなぁ、なんて。
いや、ほんとに盗られるとかを心配しているわけじゃないんだけど。
ただ、なんとなく落ち着かないっていうか。
でも、メアリーさんの前で、もとの世界の荷物を確認はしづらい。
異世界っぽいものもあるし、メアリーさんたちを疑っているみたいでもあるし。
と思ったら、メアリーさんがタイミングよく、聞いてくれた。
「美咲様。ご夕飯まで、まだしばらくお時間がございます。お茶をご用意してまいりましょうか?」
「あ、はい。お願いします」
言われてみれば、のどが渇いている。
そう答えると、メアリーさんは一礼して、部屋を出てくれた。
……思考が読まれている、わけじゃないよね?
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