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Side キリ (仕立て屋女子) 1
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オサド商会の主であるオサドさんから告げられた言葉に、わたしは思わず歓声をあげかけて、飲み込んだ。
かわりに優雅にほほ笑む。
あっぶない、あぶない。
こんなことで歓声をあげたら、それだけで大きなマイナスになっちゃう。
わたしといっしょにオサドさんに呼び出された商会員たちも、みんな同じような反応してる。
ここで声をあげちゃうような子は、ここに呼び出されてないってことだ。
それって、わりとすごいことだと思う。
だって、オサドさんてば、あの!レイモンド・ブロッケンシュタイン様に婚約者ができたようだ、なんて言うんだもの!
この領の元領主で、イケメンで、聖騎士で、おまけに癒し人。
きさくで、イケメンで、たぶんめっちゃくちゃお金持ちな、あのレイモンド・ブロッケンシュタイン様に、だよ!?
おまけに、わたしたちが集められたのは、今すぐ領主様のお屋敷に行って、その婚約者様の服を用意するためだ、だなんて!
はっきり言って、これってこの街では数年は大騒ぎになる大ニュースだ。
よく叫ばなかったよ、わたし。
偉い。
でもって、この場にいる他の子たちも、みんなえらい!と思う。
さっすが、オサド商会が誇る商会員だよ。
オサド商会は、規模こそ大きくはないけど、ご領主様一家に御用立ていただいてる一流の商会だ。
扱っている商品は、服飾品全般。
高級なドレスだけとか、帽子だけとか扱うような専門特化の商会よりは軽く見られがちだけど、オサドさんは元領主であるレイモンド・ブロッケンシュタイン様に気に入られている。
なかなかすごいとこなんだよ。
そんな商会で、わたしキリ・マックナーは働いている。
はっきり言って、これ、めっちゃ自慢。
ここのドレスとか、デザインめちゃくちゃかわいいんだもん。
お客さまであるご令嬢たちにお勧めするのにも、力が入るし、お客様がうちのドレスを着て、目を輝かせるのを見るのが、たまらなく好きだから。
わたしの実家であるマックナー家は、貴婦人のハンカチや扇子といった小物を扱う小さな商会だ。
母がいいとこのお嬢様だったおかげで、子どものころからマナーとか厳しくしつけられていたのと、オサド商会がかかえるデザイナーさんのファンだったので、ご縁をいただき、ここで働かせてもらってる。
28歳という年齢から、母にははやく結婚するように催促されるけど、やりがいはあるし、お給料はいいし…。
いい人がいれば結婚してもいいけど、いなければこのまま仕事に生きてもいいかなーと思ってるくらい仕事ラブ。
それが、わたしです。
なので、レイモンド様のご婚約者様にドレスをご用意する、その場に自分も参加できると聞いて、もう、たまらなく嬉しかった。
オサドさんから、私とクリス、ケイトの3人で協力するようにと言われた時も、力強く「はい」と返事した。
でも、そんな返事をしたのは、私だけだった。
クリスも、ケイトも、ふたりとも、オサドさんの言葉にすぐには返事ができなかった。
そして苦しそうに、「できません」と言った。
かわりに優雅にほほ笑む。
あっぶない、あぶない。
こんなことで歓声をあげたら、それだけで大きなマイナスになっちゃう。
わたしといっしょにオサドさんに呼び出された商会員たちも、みんな同じような反応してる。
ここで声をあげちゃうような子は、ここに呼び出されてないってことだ。
それって、わりとすごいことだと思う。
だって、オサドさんてば、あの!レイモンド・ブロッケンシュタイン様に婚約者ができたようだ、なんて言うんだもの!
この領の元領主で、イケメンで、聖騎士で、おまけに癒し人。
きさくで、イケメンで、たぶんめっちゃくちゃお金持ちな、あのレイモンド・ブロッケンシュタイン様に、だよ!?
おまけに、わたしたちが集められたのは、今すぐ領主様のお屋敷に行って、その婚約者様の服を用意するためだ、だなんて!
はっきり言って、これってこの街では数年は大騒ぎになる大ニュースだ。
よく叫ばなかったよ、わたし。
偉い。
でもって、この場にいる他の子たちも、みんなえらい!と思う。
さっすが、オサド商会が誇る商会員だよ。
オサド商会は、規模こそ大きくはないけど、ご領主様一家に御用立ていただいてる一流の商会だ。
扱っている商品は、服飾品全般。
高級なドレスだけとか、帽子だけとか扱うような専門特化の商会よりは軽く見られがちだけど、オサドさんは元領主であるレイモンド・ブロッケンシュタイン様に気に入られている。
なかなかすごいとこなんだよ。
そんな商会で、わたしキリ・マックナーは働いている。
はっきり言って、これ、めっちゃ自慢。
ここのドレスとか、デザインめちゃくちゃかわいいんだもん。
お客さまであるご令嬢たちにお勧めするのにも、力が入るし、お客様がうちのドレスを着て、目を輝かせるのを見るのが、たまらなく好きだから。
わたしの実家であるマックナー家は、貴婦人のハンカチや扇子といった小物を扱う小さな商会だ。
母がいいとこのお嬢様だったおかげで、子どものころからマナーとか厳しくしつけられていたのと、オサド商会がかかえるデザイナーさんのファンだったので、ご縁をいただき、ここで働かせてもらってる。
28歳という年齢から、母にははやく結婚するように催促されるけど、やりがいはあるし、お給料はいいし…。
いい人がいれば結婚してもいいけど、いなければこのまま仕事に生きてもいいかなーと思ってるくらい仕事ラブ。
それが、わたしです。
なので、レイモンド様のご婚約者様にドレスをご用意する、その場に自分も参加できると聞いて、もう、たまらなく嬉しかった。
オサドさんから、私とクリス、ケイトの3人で協力するようにと言われた時も、力強く「はい」と返事した。
でも、そんな返事をしたのは、私だけだった。
クリスも、ケイトも、ふたりとも、オサドさんの言葉にすぐには返事ができなかった。
そして苦しそうに、「できません」と言った。
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