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気になったドレスはありますが
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「どれか気になったやつはあるかよ?」
きょろきょろドレスを見ていると、レイが私の顔を覗き込みながら、言う。
「どれも素敵なので、目移りしてしまいます。でも、そうですね。あちらのすみれ色のドレスが気になります」
私はブルー系のドレスとピンク系のドレスの真ん中にある紫系のドレスのゾーンに歩いていく。
「これ、着やすそうだなと」
私が選んだのは、ドレスっぽい服が多い化粧室のドレスの中では地味目な一着。
落ち着いたすみれ色に、シンプルなAラインのミモレ丈のワンピースだ。
同色のレースが全体に使われていて、そのレースの優美さは職人技を感じさせる。
だからかお高そうなんだけど、デザイン的には馴染みがあるというか。
結婚式にお招きされたときに着るドレスっぽい雰囲気なんだよね。
あと、袖のあたりがゆったりめで、動きやすそうなのもいい。
「あぁ、いいんじゃね?」
ドレスが飾られたトルソーの横に立つと、私とドレスを見比べて、レイがうなずいた。
「ちょっと地味だけどよー、お前の黒い髪に、そのすみれ色はよく似合うな。うるさがたとの茶会なんかによさそうだし。とりあえず、これは試着してみろよ。あと、他にも気になるのあるか?」
「この紺のドレスと、このピンクのドレスも気になります」
紺のドレスは、光沢のある厚めの生地で作られている膝丈のもの。
ウェストに共布で作られた大きなリボンがあって、それだけが飾りというシンプルなものだけど、カッティングが綺麗で気になる。
自分に似合うかは、あんまり自信ないけど。
ピンクのドレスは、くすみカラーのピンクが好きで選んだ。
スーツのジャケットっぽい襟と、ふわっと広がるスカートの対比もかわいい。
コートドレスっぽくて、暖かそうなのがすごくいいと思います。
「ああ、なるほど。じゃぁ、これも試着だな。後は、これとこれと……。オサド、これも頼む」
「はい。かしこまりました」
レイは私の選んだドレスにプラスして、何枚ものドレスの試着をオサドさんに頼む。
オサドさんはてきぱきとそれの受け取りを指示していたけど、レイを伺うように見ていた。
「ん?」
レイは、そんなオサドさんの視線に気づいて、はにかんで笑った。
「さっきよー、美咲に頼まれたんだよ。俺に、いっしょに服を選んでほしいってよ」
「あぁ、そうでしたか! これはこれは。仲がおよろしいことで」
「ははっ。まぁ美咲は遠いところから来てるから、こっちの服がわかりにくいからなんだけどよー」
レイは事情を付け加えたけど、オサドさんはほのぼのとした笑顔で流す。
ん?
なんかこの反応、へんじゃない?
「あ、これとこれも頼む」
ちょっと疑問に思ったけど、レイが次から次にドレスを選ぶから、すぐにそれどころじゃなくて、忘れてしまった。
きょろきょろドレスを見ていると、レイが私の顔を覗き込みながら、言う。
「どれも素敵なので、目移りしてしまいます。でも、そうですね。あちらのすみれ色のドレスが気になります」
私はブルー系のドレスとピンク系のドレスの真ん中にある紫系のドレスのゾーンに歩いていく。
「これ、着やすそうだなと」
私が選んだのは、ドレスっぽい服が多い化粧室のドレスの中では地味目な一着。
落ち着いたすみれ色に、シンプルなAラインのミモレ丈のワンピースだ。
同色のレースが全体に使われていて、そのレースの優美さは職人技を感じさせる。
だからかお高そうなんだけど、デザイン的には馴染みがあるというか。
結婚式にお招きされたときに着るドレスっぽい雰囲気なんだよね。
あと、袖のあたりがゆったりめで、動きやすそうなのもいい。
「あぁ、いいんじゃね?」
ドレスが飾られたトルソーの横に立つと、私とドレスを見比べて、レイがうなずいた。
「ちょっと地味だけどよー、お前の黒い髪に、そのすみれ色はよく似合うな。うるさがたとの茶会なんかによさそうだし。とりあえず、これは試着してみろよ。あと、他にも気になるのあるか?」
「この紺のドレスと、このピンクのドレスも気になります」
紺のドレスは、光沢のある厚めの生地で作られている膝丈のもの。
ウェストに共布で作られた大きなリボンがあって、それだけが飾りというシンプルなものだけど、カッティングが綺麗で気になる。
自分に似合うかは、あんまり自信ないけど。
ピンクのドレスは、くすみカラーのピンクが好きで選んだ。
スーツのジャケットっぽい襟と、ふわっと広がるスカートの対比もかわいい。
コートドレスっぽくて、暖かそうなのがすごくいいと思います。
「ああ、なるほど。じゃぁ、これも試着だな。後は、これとこれと……。オサド、これも頼む」
「はい。かしこまりました」
レイは私の選んだドレスにプラスして、何枚ものドレスの試着をオサドさんに頼む。
オサドさんはてきぱきとそれの受け取りを指示していたけど、レイを伺うように見ていた。
「ん?」
レイは、そんなオサドさんの視線に気づいて、はにかんで笑った。
「さっきよー、美咲に頼まれたんだよ。俺に、いっしょに服を選んでほしいってよ」
「あぁ、そうでしたか! これはこれは。仲がおよろしいことで」
「ははっ。まぁ美咲は遠いところから来てるから、こっちの服がわかりにくいからなんだけどよー」
レイは事情を付け加えたけど、オサドさんはほのぼのとした笑顔で流す。
ん?
なんかこの反応、へんじゃない?
「あ、これとこれも頼む」
ちょっと疑問に思ったけど、レイが次から次にドレスを選ぶから、すぐにそれどころじゃなくて、忘れてしまった。
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