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第二部 魔狼フェンリル篇

第12話

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 歩くこと数時間が経過した。この森の周りをぐるりと見渡して歩き終える。

 奥の方にいるであろうフェンリルらしき魔力は、未だに動かないでいた、私たちは周辺の森を把握し終えた。

 そして目的であったフェンリルさんの所に行こうと思い、森の奥へと進んでいく。

 進むにつれて、魔力を帯びた霧が当たりを覆う。私は来た時の違和感を思い出す。それは何らかの封印がこの空間内にかけられているということ、私たちではなくこの中に潜む何か

 それは少なからず私たちは分かっていた。間違いなくこの森の主であるフェンリルだろうと

 そしてその霧はある一定の位置までいくと途絶え周りが晴れていく。

 そこからの察知では、鈍くどれ程の魔力量なのかがはっきりと分かるようになった。

 それも会ってかここの中心地近くの空間の、魔力が限りなく少ない事に気が付く。そしてこの結界がどのようにして組まれているのかも、理解することが出来た。

 一定数の魔力がこの空間内に隔離されている。

 この封印したような空間とこの檻のような結界を貼って閉じ込めるようなことをするのは、強大な魔力を持った人間もしくは、魔族の幹部に魔王と言った感じだろう。

 だけど、この瘴気に近いのは魔王だと思う。
 他の魔族だとここまでの瘴気は出せないと思うし、何かここのフェンリルと揉めて閉じ込められたと推測した方がやばそうだ。

 そして私達は、森の奥へと足を運ぶ。
 オリビエはというと、私がこの結界の中に入る前から私の手を繋いで、離さないように、きっちりと恋人繋ぎをしてニコニコしている。

 もはや結界のことなんてお構い無しだ。

 そんなオリビエも近づくにつれて少し、何かを思ったのか、段々とニコニコした表情が、真剣なものへと変わっていく。

 改めて思うけど、なんでオリビエは淡々と、恥ずかしげもなく私に好意やら恥ずかしいと思うことを平然と行えるのか。

 今も真剣な表情はするものの、手は離さないようにきっちりと握りしめてるしで、こっちはドキドキしてるのバレてるのは分かってるだろうけどね!少しは遠慮というものを学びなさいよ!!

 そんなことを心の中で思いつつも、私たちは手を繋いだまま歩き続けること数十分

 ようやくフェンリルがいる場所まで到着する。

 それから私は、この状況で手を握っていては危ないので、無理やり繋いでいた手を振りほどいて、フェンリルがいる所へと向かう。

 オリビエは、私の2歩ほど後ろにいて、なんだか寂しそうに掌を見つめている。
 だからそんな顔されると、私も凄く堪えるんだからやめて欲しいものだ。

 私はフェンリルがいる方へと向かうと底には、白銀の毛並みをした。王者前とするように寝るように佇むフェンリルがいた。

 私は少しだけ、想像していたものと比べて見てしまったが、アニメや漫画ゲームでよく見るフェンリルよりも眩い白銀の毛並みを見て興奮しそうになった。

 映像とリアルでは比較にならないほどの圧倒的美しさ、私は見に来たことを後悔せずに良かったと思えた。オリビエもいつの間にか隣にいてへぇーといった感じてフェンリルを見ていた。

 そして私たちにもう気づいていたのか、少し睨むようにこちらの様子を伺いながら、フェンリルが言葉を話す。

『お前たちは何用だ?』

 そう呟くフェンリル、私たちはある程度理解していたが、人語話せるとは助かると思いつつ、私はフェンリルに目的をちゃんと告げる。

「私達は、珍しい魔物である。貴方を見る為に少し立寄っただけよ。強いて言えば言葉を話せるのなら頼みたい思って、きたの。」

『何?ここにある財宝を狙いに来たのでは無いのか?』

「いやそんなモノいらないいらない!私たちの目的はあくまで見に来たこと、それにもし良かったらでいいのだけど、あなたのその毛並みを触らせて欲しいなって思っててね。///」

 そう言って私は照れたように何百年と生きるフェンリルに奥せずに頬を染めて少しもじもじする。

 前世の時から、何故か動物に好かれなかったのよね。犬や猫、はたまた他の動物に警戒されてしまうからモフモフした事はもはや皆無。

 だからもしも魔物で、モフモフできる存在がいるのなら是非ともペットもしくは好きなだけもふもふして堪能しつつ別れて行きたいと思っていた所存!!

 それを、口にした時には、フェンリルはそれに対して舐められたと思ったのか怒ってしまい、私へと高速でくる。

 それに対して私はある言葉をいう―――

重力魔法グラビティ

 そう唱えたらフェンリルは地面へと叩きつけられて身動きが取れない状態へとなる。
 それにもがきながら、必死に抵抗するが、力尽きたのか、もしくは抵抗しても無意味と判断したのか、力を抜いた。

 それからフェンリルが

『我は、どうなるのだ?殺すなら一思いにやってくれ....』

 そう言って弱った声で私に尋ねてきたので

「私たちただ貴方が本当にいるかを確かめたかっただけなので、それ以外何も無いですよ。ね?オリビエ?」

「ええ、エレイルの言う通りですね。ただ危険がないかを確かめるだけだったので、この様子だと、強さはあの悪魔よりか強いと言った程度って所ですし、大丈夫でしょう。」

 そう言って告げると、フェンリルは唖然としたように、驚いた顔をして私たちを見つめてくる。

 まぁ、同程度よりもかなり強い部類なのは確かだから、そんなに卑下しなくても良さそうだと思うけどね。

 まぁ私たちが異常と言うのはもはや言うまでもないことだし、そこはおいおいフェンリルにも話してあげようとは思っている。

 それから私達は、もう一つの疑問に応えてもらうべくあることを聞く。



◆◇◆◇◆◇◆

〈あとがき〉

誠に投稿が遅れて申し訳ございませんでした!!!m(*_ _)m

他の作品にかまけてしまって書くことを忘れていました。本当に申し訳ない....

それからあの2話ほどでこの二部を終えようと思っていますので、よろしくです。
次回の更新ですが、今週中には、二部を終わらせようと思っているので、いつになるかは分かりませんが、楽しみに待っててください。

オリ×エレがもっとみたいという方は、応援の程よろしくお願いします。
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