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第十八話 記念枠をやろう!
しおりを挟むゲリラコラボから、何ごともないまま2日が過ぎ家でのんびりとお昼を待っていた時の事。
「ん?LINEに連絡って珍しいな」
基本的にディスコードで連絡が来るから、未だにあまり活用しないアプリ。あれ……なんだかかなしくなってきた……。
まっまあ、最近だと偶にアリアとかイズモとかメメから何気ない日常の写真やら会話が来るし、使ってないわけじゃないし……ッ!
「なんで言い訳してるんだろう……メッセージは誰からだろう」
相手はイズモからで、何やら日時が記載されていた。
「えっと、土曜日の午前11時に3期生みんなで向かいます。そのまま午後は湍ちゃんの所で全員の記念枠をやるので準備をしておいてください。詳細は以下の通り…………」
んんんんん?
なにやら摩訶不思議な文字が入っていたぞ?
「ちょっと目が悪くなったのかな……最後の方は……あと、お泊りしようと思っているので親御さんに確認を取っておいてください…………ミャアアアアアア!!!!!」
はっ半日以上一緒に居て、なおかつ、おっおっおっおっおっおっお泊りぃぃぃいいいいいいいい!?
「あら、大声出してどうしたの。大体は聞こえてたから知ってるけど、お友達がお泊りに来るなんてやったじゃない♪もちろん私は良いわよ、いつでもいらっしゃいって伝えておいてね♪」
「おっおっお母さん~~~ッ!」
向かいのキッチンからお昼ご飯を持ってきたお母さんは、気軽にそんなことをのたまってくる。
「もう、ただお友達が遊びに来るだけじゃない。そんな涙目で見詰められるとヨシヨシしたくなっちゃうわ」
「それ、もうしてるじゃん……」
既にヨシヨシしている手を甘んじて受けながら言い返す。
「初めてのお友達が遊びに来てお泊りなんて、いっぱいお持て成ししなきゃ!楽しみだわ♪」
「うぅぅぅぅぅ……」
完全に退路が塞がれて僕は項垂れながら昼食を食べた。
LINEにお泊りの許可が下りたことを伝えると、早速Twitterで枠の告知がされた。
↺九津々海さんと九坂かかえさんと執仕ベルさんとその他がリツイート
世闇イズモ@Vワールド3期生 @izumo_yoyami 1分前
《重大告知》
土曜日20時より3期生全員の記念枠をリレー形式で放送します!
内容は、収益化記念・5万人突破記念を祝して4人オフコラボ
タイムスケジュールは以下の通り
20時~20時59分 世闇イズモ5万人突破・収益化記念
21時~21時59分 音町アリア 〃
22時~22時59分 花咲メメ 〃
23時~24時 振上シロネ 5万人突破記念枠
待機所は後程出します!
そのあとはシロネちゃん家でお泊り会じゃい!
@33 ↺611 ♡792
九坂かかえ@シロネちゃんとコラボしたい @kakae_kokozaka 今
Replying to @izumo_yoyami
私もお泊りしたい!!!!!!!!!
@10 ↺222 ♡319
この先輩、なんてものを書いているの…………。
というか反応が早すぎて、ちょっと怖い……狙われている的な感じで。
僕は若干の恐怖を感じながら、対策の為に枠を取ることにした。
『《振上シロネ/Vワールド3期生》みんな助けて!《緊急会議》』
9,527人が待機中 ↑500 ↓0
僕はその日の夜に急遽告知して、枠を取った。内容はタイトル通り。
リスナーから知恵を借りて、どうすれば乗り切れるのか相談するのだ!
いつも何もできずに終わる僕。それなら事前に対策を練って置けば、なんてことはないはず!ないはず……!
コメント:枠名が物騒な
コメント:察しは付く
コメント:これが毎回襲われた末路
コメント:推し同士4人のお泊り、何もない訳もなく
コメント:↑百合の花が舞い散る
コメント:誰がうまいことを言えと
「こんミャアーーー!」
コメント:こんミャア!
コメント:こんミャア!
コメント:こんミャア!
コメント:いつになく力強い挨拶
コメント:こんミャア!
「今日の枠はズバリ、土曜日のイズモ達襲来の為にどうしたらやり過ごせるのか、シロ友のみんなから案を募集しようと思って枠を取りました!……たすけてぇ……こんなの絶対耐えきれないよ……」
コメント:草
コメント:草
コメント:本人にとっては死活問題なんだろうけど草
コメント:陽キャに絡まれた陰キャの末路
コメント:シロネたん不憫可愛い
「うぅぅぅ、みんな言いたい放題で酷いよぉ……だって僕、コミュ障ぞ……クソザコメンタルぞ……推しに挟まれて半日以上一緒とかどうすればいいの……グスッ」
コメント:あっ
コメント:あっあっ
コメント:アーアーなーかした
コメント:ちょっと男子~
コメント:ごめん茶化し過ぎた
コメント:ちゃんと考えるわ
コメント:泣き止んで
【¥50,000 泣き止んで】
「ミャア!?なっ泣いてなんかないし……ズズッ、匿名さんスパチャありがとうございます……そんなに出して大丈夫?」
コメント:君が泣き止んでくれたなら良いんだよ
コメント:↑イケメソすぎ
コメント:惚れた
コメント:ホモはおかえり
コメント:それよりも対策どうする
コメント:無抵抗に蹂躙される未来しか見えない
「ぜっ絶対にアリアとかイズモが抱き着いてくる……」
初対面でも抱き着いて来たのだ、この間抱き着く宣言までしていたから絶対にしてくる。
うっ嬉しいけど……やっぱり耐えられないよ…………。
コメント:普通ならご褒美なんだよなぁ
コメント:普通は・・・な
コメント:でもこの子クソザコメンタルなうえにコミュ障なの
コメント:そんな子が推しに抱きしめられて無事なわけがなく
コメント:イズシロ推しのワイにとってはこのままでも構わん
コメント:↑シッ、大体の人が思ってるから!
コメント:↑お前がバラしてるんだよなぁ
コメント:草
「えっ、シロ友さんは僕の味方じゃないの……」
なんてこった、せめてシロ友の中になら味方が居ると思ったのに……!
コメント:闇墜ち不可避
コメント:まっまあ、基本てぇてぇの民だし?
コメント:告知されてるから居留守とかできないしなぁ
コメント:そこの所どうなの?
「お母さんが……ノリノリで歓迎の準備するって…………」
コメント:もうおわた
コメント:\(^o^)/オワタ
コメント:潔く諦めて
「そっそんなーーー!他に何かないの!?もっと考えてみよ、ねえっねえっ、お願いお願い……!」
コメント:このおねだりは効く・・・
【¥10,000 おねだり代】
【¥5,000 かわいい】
【$200.00 cute】
コメント:おねだりしている物が違うんだよなぁ
コメント:これには海外ニキもニッコリ
コメント:抱き着かれる瞬間身代わりの術をする
コメント:早く動いて残像を
コメント:抱き着く腕を取って一本投げ
「どれも無理だよーーーー!上2つなんて出来たら忍者だよ……」
コメント:忍者ニキ、相手は子猫よ
コメント:忍者ニキ湧いてて草なんだが
コメント:でもそれぐらいしないと無理そう
コメント:ぬいぐるみとかクッションを抱えといて、抱きしめられそうになったら押し付けるとか
コメント:一番無難なのはそれぐらいじゃね
コメント:大き目のぬいぐるみを持ったシロネちゃん
コメント:可愛すぎ
コメント:かわいい
コメント:かわいいな
コメント:お持ちかえりしたい
コメント:prprしたいお
コメント:↑おまわりさんこいつらです
「ぬいぐるみ……そういえば前にプレゼントで貰った大きいシロクマのぬいぐるみがあるから、それでやってみるよ!」
そうだよ、あのぬいぐるみを押し付ければ僕を抱きしめる余裕はないよね!
「みんなありがとう!これで凌げそうだよ♪」
コメント:シロネちゃんが嬉しそうで何より
コメント:にっこにこ
コメント:やだこの猫可愛すぎ
コメント:お礼にチューして
「やっやだよ恥ずかしい!なにチューしてって、画面に向かってやるとか恥ずかしすぎるでしょ!」
コメント:拒否られてて草
コメント:チューニキ成仏して
コメント:どんまい
【¥50,000 代わりに悲鳴はよ】
「ミャア!?えっなっ、なんでそんな大金投げてるの!?」
【¥50,000 お代わり】
【シロ友有識者¥50,000 今来た、遅れたお詫び代】
【てぇてぇ侍¥50,000 土曜日のコラボ代】
【世闇イズモ¥5,000 まだ給与が入らないからこれだけだけど、土曜日はよろしくね!】
【¥38,888 悲鳴はよ】
【¥10,000】
【¥30,000】
【¥20,000 息子の治療代】
「ミ゛ャ゛ア゛゛ア゛゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!?みっみっみんな大金投げすぎいいいいい!シロ友有識者さん謝らなくていいんだよ!って、イズモもいるじゃん!?そんな無理しないで!あと息子の治療代をなげるなーーー!」
【¥3,888】
【¥388】
【¥3,888】
【¥388】
【¥388】
【¥3,888】
【¥3,888】
コメント:悲鳴スパチャの嵐w
コメント:治療代って悲鳴の事では
コメント:シロネニウム=悲鳴は万病に効く
コメント:これが特効薬
コメント:あぁ^~濁音悲鳴が一番効くんじゃ^~
コメント:やっぱりこの手に限る
コメント:↑この手しか知りません
コメント:無慈悲に飛び交う高額スパチャと悲鳴スパチャ
「ミャぁぁぁ……きょ、今日はこの辺でおしまいにします。おつかれさまでした、ばいミャア!」
コメント:ばいミャア!
コメント:ばいミャア!
コメント:ばいミャア!
【¥8,138 ばいミャア!】
コメント:有料挨拶草
【この放送は終了しました】
30分程度の放送だったのに、最後で凄い疲れた……。
「ふぅ……とりあえず、折角の記念枠だし……記念イラスト描こう…………喜んでくれるかな」
準備の為に早速ペイントソフトを立ち上げて、来る日に備えて準備を進める。
当日を迎えるまでに、イズモから企画に使うから音声を頂戴と言われて、ちょっと恥ずかしいセリフなど送った。何に使うんだろう……ちょっと怖くて聞けない。
先輩の枠を気晴らしに覗いたりすると、僕たちの記念コラボに触れられており宣伝までしてくれていた。
1名だけ、自分もオフコラボしたいと嘆いていた先輩がいたけど……。
そして、気が付けば時間は過ぎ去り土曜日を迎えた。
時間は11時。イズモ達がやって来る時間になった。
そう、ここが運命の分かれ道。ここで失敗すれば、たぶん1日中抱き着かれている可能性が高い……ゴクリッ。
ピーーーポーーン。
「はっはーーーい」
片手には例のシロクマのぬいぐるみを構えながら玄関を開ける。
「湍ちゃーーーーーん!」
さっそく飛びかかって来た人影にぬいぐるみを押し付けてやった!どうだ!!!
「ムギューーーーーッ…………あれ、湍ちゃん見ない間に毛深くなった?」
などとアホな事を言っている明奈。
ありがとうシロ友さん、成功したよ!
「フッフッフッ……あまいよ、湍ちゃんッ!ギューーーー」
「ミ゛ャ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!」
はっ背後から!?
だっだだだだだ誰ぇええええええええ!
「うわーーー湍ちゃんやっぱり軽い。私でも抱き上げられちゃうよ。ほーら、たかいたかーーーーーい♪」
「ミャーーーーー!やっやめれぇぇえええ!」
「くぅぅぅぅ!那月、あんた知ってて先頭を私に譲ったわね!」
「フォッフォッフォッ、情報は武器じゃよ武器」
「明奈もぉ、譲られた時に怪しめばよかったんですよ」
「だってぇぇぇ……」
「ミャァァァァ、おろしてぇぇぇぇぇ……」
二段構えなんてズルいよ……ガックシ。
こうして僕はあえなく那月の腕の中に納まったのであった。
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『《振上シロネ/Vワールド3期生》みんな助けて!《緊急会議》』
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