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43話
しおりを挟む残酷描写チョイありです。
飛ばしても大丈夫です。
__________
「...先輩」
先輩が死んでからもう8カ月。私は先輩のことを忘れられずにいた。
もともとあまり先輩に対して好きとか嫌いとか感情はなかったし、直属の先輩だったから関わることが多かっただけ。
だけど、褒めてくれる回数は誰よりも多かったしいろいろ相談をさせてもらって正直依存に近い状態だったと思う。その先輩ロスが酷く...酷く残り続けている。
オエッ
私が先輩のことを忘れられないのは他にも理由がある。
直で先輩が死んだところを見てしまったところだ。
その日は部活がなく、友人と共に帰っていた。
「スタバの新作むっちゃよかったよ」
「マジ?なら行こうかな~」
「なら私も行きたい!」
しょうもないこと話して駅まで向かっていた。
「あ...前先輩だ」
「先輩?部活の?」
「そうそう。こういうときって追い抜かすか迷うよね」
「「わかるわ~」」
あの時私が追い越していたらどれだけよかっただろうと思う。
先輩に気が付いた後、先輩が先に横断歩道を渡った。
その時、信号無視した車が...先輩を轢いていった。轢き逃げで今も捕まっていないらしい。
「先輩!先輩!?」
酷く醜い姿になった先輩に私は駆け寄った。
「えっと、えっと、、きゅうきゅうしゃ?けいさつ??」
「117だっけ?なんだっけ?え?」
友人もあたふたしている。
「あさひ...なさん?」
「せんぱいっ!私です!」
「いつも...ありがとうね」
「やめてください!らしくないじゃないですか!」
先輩らしくない...最期だった。
そこから先輩は応えなくなり、救急車で行ったころにはもうすでに遅かったらしい。
「私が守れなかったから...」
部活を見ると先輩を思い出してそこから学校に行かなくなり信号や軽バンを見るだけで吐きそうになってしまうので外にも出れなくなり、今では自責の念にずっと駆られている。
このとき、先輩がいたらどう答えてくれるんだろう。きっと、
『朝比奈さんは悪くないよ。運が悪かったんだ』
って言ってくれるかな。それとも
『お前のせいで俺は...』
なんて...言ってくるかも...
気持ち悪い...
今死んだら先輩に会えるかな。きっと先輩は天国で待ってるよね。
私は地獄でも...もう命でしか罪は償えないよね...
「先輩。今、いきますね」
###
「そういえば奏音が死んだときってどんな感じだったんだ?」
「あんま覚えてないんだよね。ただ、最後に人と話した気がする」
「へえ。誰と?」
「うーん...家族でも友達でもないけど...大事だった人な気がする」
「彼女とか?」
「いや、俺は彼女いなかったから」
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