男女比：1:450のおかしな世界で陽キャになることを夢見る

34話

「マネージャーとしての仕事はこんな感じ。大体大丈夫？」


「はい！」


　思ってたより楽そうだな。もっとモップがけとかチームの体調管理とかあるのかなとか思ってたんだけど。


「でも部活体験時間まだあるんだよね～。一回だけプレイしてみる？」


「いいんですか？」


　男の保護的観念からプレイさせてもらえないのかと考えてたけどそういうわけじゃないんだ。


「プレイヤーになれないのは大会に出れないからっていう理由だけだしね。涼宮～！一条くんに教えてあげて～！」


「わかりました～」


　ｷｭｯｷｭｯｷｭｯｷｭｯ


　涼宮先輩...確か入学式に行く途中で会った姉さんの後輩だよな。


「一条お姉様の弟くんの奏音くんよね。覚えてるかしら？電車で会ったのだけれど...」


「はい。涼宮京華お姉様、ですよね」


　多分京華さんで合ってたはず。間違ってたらやばいけど。


「そう！よかった覚えていただいていて。今日は部活体験かしら？」


「そうです。姉様にバスケ部の体験に誘われまして」


「楓お姉様に！ふふ、案内するわね」


「お願いします」


　少し怖いけど恐らく涼宮先輩は良い先輩だと思う。


「バスケットボールをやったことはあるのかしら？」


「えぇ。少しだけ」


　前世の体育とスポッチャでちょっとやったくらい。ほんとに少しだけ。


「楽しみね。今日は中等部三年一人と体験二人のチームの3on3をするわ」


　なるほどね。でも3on3はやったことないんだよなあ。


「すみません、3on3やったことなくてルール知らないのですが…」


「大丈夫よ。今回はお試しだからルールは基本的に関係なしでやるわ」


「承知いたしました」


「じゃあ少し待っといてくれるかしら」







　______







　え、やばいかもというかやばいやばい。

　あの奏音様と1対1で喋っちゃったんだけど


「あ、京香さん。奏音みませんでした？」


　奏音様のお姉様、楓お姉様がそう言ってきた。


「奏音さんはあちらにいらっしゃいます。私は奏音さんとその他の子の3on3をセッティングしてきますので」


「は？」


　一瞬空気が酷く凍りついた。


「奏音が、3on3を？」


「え、えぇ。奏音さんたってのご希望です」


「そうですか。ありがとうございます」


　はじめてあんなに楓お姉様が怒っているのを見た。

　あれ、もしかしてわたくしここで人生終わってしまったりするのかしら？