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17.再び婚姻の義

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成瀬:ギルドの部屋


 翌朝。剣地は朝の準備をすぐに終わらせた後、ヴァリエーレさんの家に行くと言って出て行った。その時、剣地は綺麗に整えられた服を着ていた。


「ケンジ、楽しそうだね」


 ルハラが歯磨きをしながらこう言った。あいつが喜ぶのも当たり前だと思う。

 ヴァリエーレさんは本当にスタイルのいい人。性格もいいし、母性が溢れ出ている。そんな人と結婚できるなんて、あいつもうれしいのだろう。


「ねぇ、私たちもあとでヴァリエーレを迎えに行こうよ。一緒に住むことになるから」

「そうね。じゃあ、さっさと支度をしましょう」


 その後、私たちは朝の支度を始めた。




剣地:ヴァリエールの屋敷


「いやー。待っていたよ、ケンジ君。君みたいな子がヴァリエーレの旦那になるなんて、本当にうれしいよー。ヒック」


 と、ヴァリエーレの親父さんが酔っぱらってこう言った。守衛曰く、もう昨日から飲んでいるらしい。この光景を見ていたヴァリエーレさんは、父親の本性を見て、少し呆れていた。


「お父様、もうお酒はおやめになったら……」

「こんなめでたい日、飲んで祝うしか……」


 この時、ヴァリエーレの親父さんの顔が青く染まった。それからすぐに、千鳥足でトイレに向かって中に入った。そこから、親父さんの苦しむ声が響いた。


「まさかお父様が、私のことをちゃんと考えていたなんて、思ってもいなかったわ」

「娘の前だと、立派な父親を演じていたって言っていました。本当は気楽で、俺みたいなスケベの人でしたよ」


 この言葉を聞き、ヴァリエーレさんは笑い始めた。しばらくし、親父さんがふらつきながら姿を見せた。


「じゃ……じゃあこれから婚姻の儀に行ってきなさい。ケンジ君。もうヴァリエーレは君の嫁さんだから、乳揉みしだこうが、太ももに顔突っ込もうが君の自由だ」

「お父様ったら!」


 ヴァリエーレさんは顔を真っ赤にしてこう言った。その直後、親父さんは人類皆スケベと叫んで飲むのを始めた。


「はぁ……ケンジ、教会へ行きましょう」

「はい」


 その後、俺とヴァリエーレさんは家から出て、教会へ向かった。その途中、成瀬とルハラと遭遇した。


「挨拶はもう済んだの?」

「ああ。と言っても、今親父さんは酔っているから挨拶しても意味ないと思う」

「こんな朝早くから飲んでいるの?」

「正確に言うと昨日の夜かららしい。娘が嫁に行くのを喜んでいるみたい」


 会話後、成瀬とルハラと合流した俺達は、教会に着いた。だが、今日に限って大勢の人が婚姻の儀のカウンターに並んでいた。


「混んでるねー」


 ルハラは何度もジャンプしながら列の様子を見ていた。ここで待っていても意味はないし、並ぶとするか。

 どうやら、俺とヴァリエーレさんの婚姻の儀を行うのはかなり先になること。その待ち時間二時間ぐらい。どっかの夢の遊園地のアトラクションみたいだ。

 二時間後。ようやく俺たちの番になった。神父さんは俺を見てこう言った。


「二回目だね。また嫁さんができたのですか」

「はい。まぁ事情があって」

「まぁいいや。じゃあ婚姻の儀を行います」


 そして、俺とヴァリエーレさんの婚姻の儀が始まった。ヴァリエーレさんの右手の甲に光が放たれ、俺や成瀬、ルハラの右手の甲と同じ紋章が現れた。これで、ヴァリエーレさんは俺の妻になったのだ。


「じゃあ、ギルドに行ってこのことを伝えてくるか」

「ええ」


 ヴァリエーレさんは俺の手を握り、こう言った。




ルハラ:ギルドの部屋


 いやー。あの後は大変だったねー。ケンジがヴァリエーレと結婚したことをギルドに報告した途端、ギルドの野郎連中は騒ぎ始めた。当然だね。

 私とナルセが結婚した時も騒いでいたけど、あれ以上に野郎連中がケンジをいろいろ茶化していた。短期間で三人の美少女を嫁にしたから、野郎連中も騒ぎのも当然か。


「あーくそ、あいつら……いろいろいじりやがって……」


 私が部屋でくつろいでいると、ヴァリエーレと共に髪がくしゃくしゃになったケンジが戻ってきた。


「髪の毛がくしゃくしゃね」

「野郎たちにもみくちゃにされた。そんでもって何故か胴上げされたし……」


 大変そうだね。まぁ皆から祝福されたならいいか。


「で、これからどうするの?」

「皆で飯食いに行こうぜ。野郎たちがおごってくれるって」


 おごってくれるのか。人の金で食う飯はおいしいからね。というわけで、私たちはご飯を食べに下に行った。

 食事後、しばらく私たちは食休みをしていた。ナルセは本を読んでいて、ヴァリエーレは荷物の整理をしていた。で、ケンジはまたもみくちゃにされたので、お風呂に入っていた。


「ふー。やっと終わったー」


 ヴァリエーレの整理が終わったみたい。私はヴァリエーレに近付き、こう言った。


「ケンジがお風呂に入っているから、一緒に入ってくれば?」


 私のこの言葉を聞いたヴァリエーレは、驚いて目を開いた。


「いやあの……それは……」

「シムケン山で一緒になりたいって言っていたよね」

「それはそうだけど……あの時はそういう心情だったから」

「私とナルセは告白した次の日に一緒に風呂に入ったよ」


 この時、ナルセが私の口をふさいだ。


「ヴァリエーレさん。あいつとお風呂に入るのはヴァリエーレさんの好きなタイミングでいいので」

「ちなみに私はどんなタイミングでもオッケーだよ。それか、私と入る? いろいろとマッサージしてあげるよ。ゲヒヒヒヒヒ」

「えっと……その……」


 ヴァリエーレは覚悟を決めたのか、お風呂場へ向かった。おっ、やる気だね。




剣地:ギルドの部屋


 野郎は加減というのを知らないのかよ。もみくちゃにするのはいいけど、体に煙草の臭いはつくし、髪はくしゃくしゃだ。風呂に入ってスッキリしよう。

 体は洗ったから煙草の臭いは消えたし、髪は出た後で整えればいい。しばらく湯船に浸かっていると、扉の外でヴァリエーレさんの姿を見た。


「ねぇケンジ、一緒に入っても……いい?」

「どうぞ」


 俺の返事の後、ヴァリエーレさんが入って来た。


「桶はこれ使っていい?」

「はい」


 ヴァリエーレさんは桶に湯を組み、体にかけた。水滴がナイススタイルのヴァリエーレさんの体をさらに魅力的に彩る。俺は思わず見とれてしまった。エッチな感情よりも、美術品を見るかのように美しいと思う感情の方が強かった。


「じゃあ……失礼します」


 ヴァリエーレさんは俺の横に移動した。おおっ。巨乳が俺の体に当たる。その感触が、体中に徐々に広がる。まずい、ムラムラしてきた。


「誰かとこうして風呂に入るのは、本当に久しぶりだわ」

「俺はこの前成瀬と一緒に入りましたが……あの時は久しぶりだったな。九歳のころまで成瀬と一緒に入っていたのに……いつからか一緒に入らなくなったな」

「私はよくメイドと入ったわ。異性と入るのはケンジが初よ」

「俺が一番でよかったのですか?」

「ええ」


 ヴァリエーレさんは俺の方を向き、そのまま俺の唇を奪った。


「風呂から上がった後……一緒に寝ましょう」

「もしかしたら、成瀬とルハラが混じるかもしれませんが」

「皆で寝るのね、構わないわ」


 その後、俺とヴァリエーレさんは風呂から上がった。
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