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婚約式も終え、私と公爵様の婚約が正式に発表されたというのに、城の庭園で開かれたアリスの誕生日パーティーで1人ぽつんと過ごすはめになるとは。
アリスが婚約するまではずっと2人でくっついていたものだったが、婚約して王妃殿下に気に入られてからはなかなかそうもいかない。
今回は公爵様のエスコートを受けて参加できるだろうと楽しみにしていたのに、その計画も台無しだ。
婚約者はどうしたのかと訊いてくる令嬢達には、困ったような愛想笑いを返し、気を使ってなのか分からないが、ガーデンパーティーには似合わないお方ですものねなどとフォローしようとする者へ、公爵様は領地で植物園を経営なさっているのよ!もはやお花のフェアリーでしょうが!なんて言葉も、飲み込む外ない。
退屈だ。
事は2周間前に起きた。婚約式をした3日後だ。
私は結婚式の日まで、いや、もしかしたらそれ以降も継続されるかもしれないが、公爵夫人になる為の教育を受けることになっていた。
その為、本格的に公爵邸に入り、幸せな新婚気分を味わっていたところだった。
そこに水を差してきたのは1つの贈り物だった。
婚約式の翌日から、お祝いの手紙や贈り物が次々と届けられたのだが、その中に奇怪な物が混ざっていたのだ。
遊びに来ていたアリスと一緒に順番に箱を開けていくと、他の箱と同じように綺麗に包装されたそれの中には、液体の入った洒落た小瓶と紫の花、それからネズミの死骸が入っていた。
私もアリスも、きゃっ、と可愛らしい悲鳴は出なかったが、異臭で顔を歪めた。不愉快極まりない。
公爵様が手配してくれた専属メイドの方が可愛らしい悲鳴を上げて、煙を上げる勢いで公爵様を呼びに行った。
「触っていませんか?」
それを見るなり公爵様は慌てたように私の手を取った。
「はい。私もアリスも、さすがにネズミの死骸を触ったりしませんよ。」
「いえ、問題は花の方です。トリカブトという毒草の花です。絶対に素手で触らないでください。」
はい。そんなことよりも、公爵様の両手が私の手を包んでいる。
「聴いていますか?」
「あ、はい。」
返事したつもりが、声に出ていなかったようだ。ぷくっと後ろでアリスが笑った。
すると公爵様が訝しげな顔をして、私とアリスを交互に見た。
「こういうことに慣れているのですか?」
アリスがきょとんと首を傾げる。
「そんなわけありません。」
そうか!と私はそこで気が付いた。反応を間違えたのだ。こんな平常心でいる場合ではない。もっと庇護欲を掻きてるべきだ。
私は公爵様が握ってくれている手をふるふると震わせた。急ピッチで怯える表情を作る。
「その花がトリカブトということは、その小瓶は…毒、ということですか?」
上手く声も震わせることができた。その証拠に、私の手を握る公爵様の手に力が入った。
フローラ、と低く優しい声が落ちてくる。落ち着いてください、と。
にやけ顔を隠す為に俯くと、ふんわりと頭を撫でられた。遠慮がちに僅かに浮く手が耳を掠り、声が出そうになる。
「小瓶の中身は私が調べてきますので、フローラは休んでいてください。」
もう少し慰めて欲しかったが仕方がない。私はこくりと頷いた。
「レディ・アリス、フローラに付いていてもらえますか?」
「もちろんです。」
アリスはためらうことなく了承し、私の肩に手を添えた。
公爵様が箱を持って退室するなり、ふふふ、と肩を揺らす。
私とアリスはソファに腰かけ、私は火照った頬を冷ますように手を充てた。
「ふふふ、見事な転身だったわね、フローラ。」
「柔軟な対応、と言ってもらえるかしら。」
その日アリスが、私のことが心配だからという理由で泊まってくれたが、内心は面白がっているに違いなかった。
翌日、午前の内に公爵様が調査の途中報告をしてくれた。
小サロンもやはり厳格な雰囲気を漂わせるチョコレート色の家具で統一してあり、私とアリスが2人掛けソファに並んで座り、公爵様はテーブルを挟んだ正面に座った。
夜遅くまで調査をしていたのか、隈がいつも以上に濃い気がした。
「まず誰から届いた物なのかリストに記載が無く、まだ特定できていない状況です。こちらの不手際です。この邸に来たばかりで不安にさせてしまい、申し訳ありません。」
「執事が記入していたリストに記載が無いということは、誰かがこっそり置いて行ったということですか?」
「その可能性が高いでしょう。ですがこの邸に侵入者というのは考えにくいところでもあります。しっかり騎士団に守らせていますので。」
もしかして、とアリスが声を出した。
「閣下は使用人をお疑いですか?」
「不安の種は残しておきたくないので、徹底的に調査させております。」
「犯人にお心当たりはありますか?」
公爵様はちらりと私を見て、すぐに逸らした。
「…いえ、まだはっきりとは。」
「フローラは?」
「分からないわ。アルヴィエ家に敵対心を持っていることも考慮して、お父様にも相談するべきかしら?」
「私からお話しさせて頂きます。お詫びもかねて。」
「なぜ公爵様が謝るのですか?悪いのは犯人であり、公爵様が詫びる必要はありません。」
「…そう、ですね。」
公爵様の歯切れの悪さが気になったが、疲れているのかもしれないと思い特に触れなかった。
「フローラ、しばらくは食事に毒味係をつけさせて頂きます。散歩にも護衛をつけてください。」
それから、と続いた言葉は私の脳をフリーズさせた。
「私たちが上手く行っていないようだと、噂を流しましょう。」
「…え?」
あまりの衝撃に、嫌ですとも答えられなかった。
「予防策です。犯人は私たちの婚姻を邪魔したいのでしょうから、そんな噂が耳に入れば油断するでしょう。」
それでも嫌です。アリスまで、いいかもしれないと言い出したものだから、そんなことを言える空気ではないけれど。
「噂を流しておけば、社交の場で敵から近づいてくるかもしれないわ。2週間後には私の誕生日パーティーもあるし、王妃様が王宮の庭で開こうと仰っていたからたくさんの貴族たちが集まると思うわ。その中に犯人もいるかも。」
公爵様も賛同する。
「その場で仲違いしている様子を見せれば、仮に犯人が釣れなくとも、私たちの不仲を喜ぶ者たちは明らかになりそうですね。」
とても反対などできやしない。怒りでわなわなと手が震えた。凄まじい崖をよじ登るように、武装した血が頭に登って来た。笑顔を作ろうと努力はしたが、ぴくぴくと右目が痙攣し、引きつっているであろうことは想像できた。
おのれ、犯人許すまじ。
「ええ、ええ、良いですね。私たちに喧嘩を売ろうなんて身の程知らずな虫けらは、ぎったぎったにぶった切ってすり身に…。」
しまった。公爵様の前だった。血が一斉に下山する。
「ええと…縄を首にかけて、吊っちゃうぞ!えへ。」
「…フローラ、可愛い子ぶっても内容が大して可愛くなっていないわよ。」
公爵様は目を猫のように丸くして呆然としていた。
終わった。やってしまった。
私はしおしおと肩をすぼめ、両手で顔を覆った。
すると、ふふっ、と息の漏れる音が聞こえた。恐る恐る顔を上げると、公爵様の口角が持ち上がっているのが見えた。
「ふふっ、ふっふっふっふっ。」
公爵様が声を上げて笑っている。今度は私の目が丸くなる番だった。たぶんアリスも同じだろう。
2人で過ごしているうちに笑顔を向けてくれることは増えていたが、笑い声を聞いたのは初めてだった。笑い声というにはずいぶんと静かではあるが、確かに肩を揺らして目を細め、愉快そうに歯を見せていた。
奇跡のような光景をしばらく呆然と眺めていると、落ち着いてきた公爵様が、失礼、と言いながら乾いた咳をした。しかしまだ笑いは尾を引いている。
笑いなれていないせいで表情筋が疲れたのか、公爵様は歯をみせたまま、眉間を指先でぐりぐりと指圧した。
「こんなに笑ったのは久しぶりです。ふっふ。」
「私は公爵様の笑い声を聞いたのは初めてです。」
「私も。」
アリスの目はまだ丸い。
「私も覚悟を決めました。ふふ、すり身にしてやりましょう。」
かぁっと顔が熱くなる。
「縄で吊るんです!」
私がそう言うと、公爵様は一層笑った。
そして今、一人ぼっちでいるはめになったわけだ。
この状況が不服ではあったが、あの日の公爵様の笑顔を思い出すと心が温かくなった。恥ずかしくて顔が熱くなっているだけかもしれないが、とにかく素敵だったことは間違いない。
ぼうっと公爵様の笑顔に浸っていると、不意に声を掛けられた。
アリスが婚約するまではずっと2人でくっついていたものだったが、婚約して王妃殿下に気に入られてからはなかなかそうもいかない。
今回は公爵様のエスコートを受けて参加できるだろうと楽しみにしていたのに、その計画も台無しだ。
婚約者はどうしたのかと訊いてくる令嬢達には、困ったような愛想笑いを返し、気を使ってなのか分からないが、ガーデンパーティーには似合わないお方ですものねなどとフォローしようとする者へ、公爵様は領地で植物園を経営なさっているのよ!もはやお花のフェアリーでしょうが!なんて言葉も、飲み込む外ない。
退屈だ。
事は2周間前に起きた。婚約式をした3日後だ。
私は結婚式の日まで、いや、もしかしたらそれ以降も継続されるかもしれないが、公爵夫人になる為の教育を受けることになっていた。
その為、本格的に公爵邸に入り、幸せな新婚気分を味わっていたところだった。
そこに水を差してきたのは1つの贈り物だった。
婚約式の翌日から、お祝いの手紙や贈り物が次々と届けられたのだが、その中に奇怪な物が混ざっていたのだ。
遊びに来ていたアリスと一緒に順番に箱を開けていくと、他の箱と同じように綺麗に包装されたそれの中には、液体の入った洒落た小瓶と紫の花、それからネズミの死骸が入っていた。
私もアリスも、きゃっ、と可愛らしい悲鳴は出なかったが、異臭で顔を歪めた。不愉快極まりない。
公爵様が手配してくれた専属メイドの方が可愛らしい悲鳴を上げて、煙を上げる勢いで公爵様を呼びに行った。
「触っていませんか?」
それを見るなり公爵様は慌てたように私の手を取った。
「はい。私もアリスも、さすがにネズミの死骸を触ったりしませんよ。」
「いえ、問題は花の方です。トリカブトという毒草の花です。絶対に素手で触らないでください。」
はい。そんなことよりも、公爵様の両手が私の手を包んでいる。
「聴いていますか?」
「あ、はい。」
返事したつもりが、声に出ていなかったようだ。ぷくっと後ろでアリスが笑った。
すると公爵様が訝しげな顔をして、私とアリスを交互に見た。
「こういうことに慣れているのですか?」
アリスがきょとんと首を傾げる。
「そんなわけありません。」
そうか!と私はそこで気が付いた。反応を間違えたのだ。こんな平常心でいる場合ではない。もっと庇護欲を掻きてるべきだ。
私は公爵様が握ってくれている手をふるふると震わせた。急ピッチで怯える表情を作る。
「その花がトリカブトということは、その小瓶は…毒、ということですか?」
上手く声も震わせることができた。その証拠に、私の手を握る公爵様の手に力が入った。
フローラ、と低く優しい声が落ちてくる。落ち着いてください、と。
にやけ顔を隠す為に俯くと、ふんわりと頭を撫でられた。遠慮がちに僅かに浮く手が耳を掠り、声が出そうになる。
「小瓶の中身は私が調べてきますので、フローラは休んでいてください。」
もう少し慰めて欲しかったが仕方がない。私はこくりと頷いた。
「レディ・アリス、フローラに付いていてもらえますか?」
「もちろんです。」
アリスはためらうことなく了承し、私の肩に手を添えた。
公爵様が箱を持って退室するなり、ふふふ、と肩を揺らす。
私とアリスはソファに腰かけ、私は火照った頬を冷ますように手を充てた。
「ふふふ、見事な転身だったわね、フローラ。」
「柔軟な対応、と言ってもらえるかしら。」
その日アリスが、私のことが心配だからという理由で泊まってくれたが、内心は面白がっているに違いなかった。
翌日、午前の内に公爵様が調査の途中報告をしてくれた。
小サロンもやはり厳格な雰囲気を漂わせるチョコレート色の家具で統一してあり、私とアリスが2人掛けソファに並んで座り、公爵様はテーブルを挟んだ正面に座った。
夜遅くまで調査をしていたのか、隈がいつも以上に濃い気がした。
「まず誰から届いた物なのかリストに記載が無く、まだ特定できていない状況です。こちらの不手際です。この邸に来たばかりで不安にさせてしまい、申し訳ありません。」
「執事が記入していたリストに記載が無いということは、誰かがこっそり置いて行ったということですか?」
「その可能性が高いでしょう。ですがこの邸に侵入者というのは考えにくいところでもあります。しっかり騎士団に守らせていますので。」
もしかして、とアリスが声を出した。
「閣下は使用人をお疑いですか?」
「不安の種は残しておきたくないので、徹底的に調査させております。」
「犯人にお心当たりはありますか?」
公爵様はちらりと私を見て、すぐに逸らした。
「…いえ、まだはっきりとは。」
「フローラは?」
「分からないわ。アルヴィエ家に敵対心を持っていることも考慮して、お父様にも相談するべきかしら?」
「私からお話しさせて頂きます。お詫びもかねて。」
「なぜ公爵様が謝るのですか?悪いのは犯人であり、公爵様が詫びる必要はありません。」
「…そう、ですね。」
公爵様の歯切れの悪さが気になったが、疲れているのかもしれないと思い特に触れなかった。
「フローラ、しばらくは食事に毒味係をつけさせて頂きます。散歩にも護衛をつけてください。」
それから、と続いた言葉は私の脳をフリーズさせた。
「私たちが上手く行っていないようだと、噂を流しましょう。」
「…え?」
あまりの衝撃に、嫌ですとも答えられなかった。
「予防策です。犯人は私たちの婚姻を邪魔したいのでしょうから、そんな噂が耳に入れば油断するでしょう。」
それでも嫌です。アリスまで、いいかもしれないと言い出したものだから、そんなことを言える空気ではないけれど。
「噂を流しておけば、社交の場で敵から近づいてくるかもしれないわ。2週間後には私の誕生日パーティーもあるし、王妃様が王宮の庭で開こうと仰っていたからたくさんの貴族たちが集まると思うわ。その中に犯人もいるかも。」
公爵様も賛同する。
「その場で仲違いしている様子を見せれば、仮に犯人が釣れなくとも、私たちの不仲を喜ぶ者たちは明らかになりそうですね。」
とても反対などできやしない。怒りでわなわなと手が震えた。凄まじい崖をよじ登るように、武装した血が頭に登って来た。笑顔を作ろうと努力はしたが、ぴくぴくと右目が痙攣し、引きつっているであろうことは想像できた。
おのれ、犯人許すまじ。
「ええ、ええ、良いですね。私たちに喧嘩を売ろうなんて身の程知らずな虫けらは、ぎったぎったにぶった切ってすり身に…。」
しまった。公爵様の前だった。血が一斉に下山する。
「ええと…縄を首にかけて、吊っちゃうぞ!えへ。」
「…フローラ、可愛い子ぶっても内容が大して可愛くなっていないわよ。」
公爵様は目を猫のように丸くして呆然としていた。
終わった。やってしまった。
私はしおしおと肩をすぼめ、両手で顔を覆った。
すると、ふふっ、と息の漏れる音が聞こえた。恐る恐る顔を上げると、公爵様の口角が持ち上がっているのが見えた。
「ふふっ、ふっふっふっふっ。」
公爵様が声を上げて笑っている。今度は私の目が丸くなる番だった。たぶんアリスも同じだろう。
2人で過ごしているうちに笑顔を向けてくれることは増えていたが、笑い声を聞いたのは初めてだった。笑い声というにはずいぶんと静かではあるが、確かに肩を揺らして目を細め、愉快そうに歯を見せていた。
奇跡のような光景をしばらく呆然と眺めていると、落ち着いてきた公爵様が、失礼、と言いながら乾いた咳をした。しかしまだ笑いは尾を引いている。
笑いなれていないせいで表情筋が疲れたのか、公爵様は歯をみせたまま、眉間を指先でぐりぐりと指圧した。
「こんなに笑ったのは久しぶりです。ふっふ。」
「私は公爵様の笑い声を聞いたのは初めてです。」
「私も。」
アリスの目はまだ丸い。
「私も覚悟を決めました。ふふ、すり身にしてやりましょう。」
かぁっと顔が熱くなる。
「縄で吊るんです!」
私がそう言うと、公爵様は一層笑った。
そして今、一人ぼっちでいるはめになったわけだ。
この状況が不服ではあったが、あの日の公爵様の笑顔を思い出すと心が温かくなった。恥ずかしくて顔が熱くなっているだけかもしれないが、とにかく素敵だったことは間違いない。
ぼうっと公爵様の笑顔に浸っていると、不意に声を掛けられた。
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