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つかつかと速い足取りで石造りの床を鳴らすのは、カルダとキートス、それから後ろに付いている近衛騎士たちだ。カルダは久しぶりにニコと昼食を取る為に、小食堂へ向かっているところだった。
「明日の処刑で罪人に言い渡す文言です。」
歩みを進めながらキートスは1枚の紙をカルダに渡す。カルダはそれに簡単に目を通し、問題ない、とキートスに返した。するとキートスはまた別の紙をカルダに渡す。同じように返す。それを何度か繰り返すと、キートスはまた別の仕事へと向かった。
ニコは先に小食堂で待っていたらしく、護衛が扉の前に立っていた。カルダも近衛騎士を扉の前に待機させて中へ入った。
ハープナーの処刑の決定を伝えた時、ニコは既に覚悟をしていたようで、そうですか、と静かに頷くだけだった。明日が来れば、カルダはニコの血縁者全てを手にかけることになる。憎まれても仕方がない。
それなのに今、ニコはカルダの姿を確認してふわりと微笑んだ。
「カルダ様。こうしてランチをご一緒できるのはお久しぶりですね。」
なぜ笑える。カルダは言葉に詰まった。
「…スヴェリオがいないようだが。」
「私用にて少しの間外れております。私が許可しましたので、責めないであげてくださいね。」
護衛よりも私用を優先したのか、とカルダは思ったが、そんなことを責められる立場ではなかった。今あの男にそんなことを追及すれば、剣より鋭い言葉で突き刺されることだろう。今1番ニコにとって害悪なのは、他でもない余であると。
「また来てくれたんだね、番犬君。」
その声は、まるで先の未来を知らないかのように穏やかに放たれた。
「またニコのお使いで来たのかい?」
「ニコ様はとっくにあんたを切り捨ててるよ。」
「それじゃあ、君の意思で来てくれたのか。嬉しいな。」
否定できない。ニコとよく似ているからなのか、それともあまりに掴みどころのない態度のせいなのか、スヴェリオはなぜだかハープナーが気になって仕方が無かった。処刑される前に、もう1度話がしたいと思ったのだ。
それにしても随分と落ち着いている。とても死刑囚には見えなかった。
「斬首刑を言い渡されると、髪が白くなるヤツもいるって聞いたことがあるけど…。」
相変わらず見事な黒髪だ。ちゃんと手入れが施されれば、ニコのように美しく輝くに違いない。
「死ぬのは怖くないからね。アイローイ王を説得できなかったのは残念だけれど。」
それよりも、と軽くそんな言葉を続けるハープナーに、スヴェリオは呆れた。
「ニコは体調を崩したりしていない?」
「…なぜそんなこと訊く?」
「病は気からというだろう?私のせいで、心に負担を掛けてしまっているのではないかと心配でね。」
そんな心配するくらいなら最初からこんな事態を起こすなよ。スヴェリオはそう思ったが、どうせ口に出したところでまた笑って誤魔化すだけだろう。別のセリフを用意した。
「あんたのことはとっくに切り捨ててると言っただろ。気にも留めてねぇよ。」
攻撃をしたつもりだった。少しは傷付け、と思って吐き捨てたセリフだったのだが、ハープナーは心から安心したように胸に手を充てて微笑んだ。
「良かった。あの娘が強い娘で。」
ふと、スヴェリオの頭にニコの言葉が浮かぶ。
"叔父様は…本当はこんなことするような人じゃないのよ…。"
ニコは幼い頃からハープナーと一緒だったと言っていた。共に遊び、共に学んだハープナーは、ニコにとって兄のような存在だったのだろう。自分にとってのバーバリオと同じなのかもしれない。スヴェリオはそう考えて、いや、と頭の中ですぐに否定した。
もし俺とバーバリオに置き換えるのなら、気が狂うのは自分の方だ。堅実なバーバリオが問題を起こすわけがない。
思い出されるのは、スヴェリオが牢に入った時の記憶だ。スヴェリオは、まさかバーバリオが危険を冒して城の牢獄までやってくるとは思わなかった。
そういえば随分イライラしていたな、と今さら気が付く。あの時のバーバリオは、今のニコ様と同じような心情だったのだろうか、と。
「…医師になりたかったと聞いた。」
あぁ、とハープナーが自身の髪に指を通す。
「懐かしいな。そんな頃もあったね。」
「あんたの母親は、どんな病気だったんだ?」
「………治療法の無い病だよ。最初は胸にしこりができたと聞いた。それから身体中痛みが走り、どんな治療も効果なく亡くなるまであっという間だったそうだよ。私が3つの時だから、私は覚えていないけれどね。」
それで、とハープナーは続ける。
「君の母君はどのような病気だったんだい?」
スヴェリオが目を見開くと、ハープナーは小首を傾げた。
「私の母親は、と訊くから、君の母君も、という意味かと思ったのだけれど、違ったかな?」
スヴェリオは自分の母のことを誰かに話したことがなかった。知っているのは同郷のバーバリオだけだ。話せばどのような目で見られるか、嫌というほど分かっている。
それでも話してもいいかと思えたのは、自分と同じく不治の病の母を持った者への親近感だろうか。どうせすぐに死ぬ男だ、という思いもあった。
「らい病だ。」
ハープナーの髪を梳いていた手が止まった。じっとスヴェリオを見つめる。
ニコから離れろとか、そういうことを言うつもりかとスヴェリオは思ったが、ハープナーは身に纏う穏やかな空気を崩すことなく、それは人に言わない方がいいよ、と注意を挙げただけだった。
「あんたが訊いたんだろ。」
「訊かれても、答えない方がいい。」
そう言って憂いを帯びた息を吐く。
「本当は、差別をする者たちの意識改革をできるなら、それが1番なのだけれどね。」
「意識改革?」
「身内にらい病患者がいたのなら、君も差別を受けただろう?私もフェリディルにいた頃、何人ものらい病患者と会ったから、その境遇の酷さは少しは理解しているつもりだよ。」
もちろん本人の苦痛は計り知れないけれどね、と眉尻を下げて微笑むハープナーは、嘘を言っているようには見えない。
スヴェリオは、組んだ腕に力が入った。
「何人もの患者と会った、だと?」
「うん。私がいたのはフェリディルの中でも辺境の田舎の地だったからね。そういう場にはね、行く当てもなくさ迷っているらい病患者が、時々現れるんだ。それで、どの村でも疎まれるものだからあまりに哀れと思って、その患者たちを1ヶ所に集めたんだ。せめて安心して住める場所を提供したくてね。」
そう話すハープナーは、笑みを浮かべながらもどこか物憂げだ。スヴェリオは静かにハープナーの話に耳を傾ける。
「そうしていると、自然と無免だけれど治療師や世話係、患者たちの家族も訪れたりしてね、1つの集落のようになったんだ。」
番犬君は知ってるかな、とハープナーが視線をスヴェリオに向ける。
「らい病は伝染しないんだ。」
スヴェリオはエイソンの剣を真正面から受けた時のような大きな衝撃を受けた。そんなわけがない。それだったら、母も自分もあんな扱いは受けなかったはずだ。びりびりと指先が痺れる。
「病気自体、よくわかっていないから、必ずしもそうとは言いきれないけれどね。でも、私も部下の騎士や兵たちも、時々その集落へ行って手伝いや看病をしたけれど、誰1人としてうつった者はいないんだよ。」
「う…そだろ…。」
「本当だよ。だから、伝染はしないんじゃないかっていうのが僕の見解。」
それじゃあ何の為に俺は故郷を離れたんだ。その言葉はスヴェリオの喉につっかえて出てこなかった。出してしまったら重い罪悪感が降りかかってくると、なんとなく気がついている。
「…俺がフェリディルの北西部を見に行った時、…そんな集落は、無かった。」
スヴェリオがそう言うと、ハープナーの表情に影がかかった。
「私が………クァンザ族に襲わせてしまったからね。」
スヴェリオの両の二の腕を掴む手が、僅かに震える。
「…あんたほどの外道を罵る言葉を、俺は知らねぇ。」
ハープナーはくすりと笑った。だから言っただろう、死は恐くない、と。
「近隣の村々の王への不信感を煽る為に、私はその集落を犠牲に選んだんだ。命に優劣を付ける最低な行為をした自覚がある。死は当然の報いだろう。」
けれど、とハープナーはまた自身の黒髪を触り始めた。
「もし、君にとってらい病が感染しないという事実が有用な情報だったなら、私の頼みを聞いてはもらえないかな?」
「…あんたの頼みを聞く道理はねぇが、ニコ様のよしみだ。内容を聞いてから考えてやる。」
ハープナーはふわりと微笑んだ。恐らくこれが最後の心からの笑顔になるだろう。ハープナーは初めてスヴェリオの名を呼び、頭を下げて感謝の意を伝えた。
「明日の処刑で罪人に言い渡す文言です。」
歩みを進めながらキートスは1枚の紙をカルダに渡す。カルダはそれに簡単に目を通し、問題ない、とキートスに返した。するとキートスはまた別の紙をカルダに渡す。同じように返す。それを何度か繰り返すと、キートスはまた別の仕事へと向かった。
ニコは先に小食堂で待っていたらしく、護衛が扉の前に立っていた。カルダも近衛騎士を扉の前に待機させて中へ入った。
ハープナーの処刑の決定を伝えた時、ニコは既に覚悟をしていたようで、そうですか、と静かに頷くだけだった。明日が来れば、カルダはニコの血縁者全てを手にかけることになる。憎まれても仕方がない。
それなのに今、ニコはカルダの姿を確認してふわりと微笑んだ。
「カルダ様。こうしてランチをご一緒できるのはお久しぶりですね。」
なぜ笑える。カルダは言葉に詰まった。
「…スヴェリオがいないようだが。」
「私用にて少しの間外れております。私が許可しましたので、責めないであげてくださいね。」
護衛よりも私用を優先したのか、とカルダは思ったが、そんなことを責められる立場ではなかった。今あの男にそんなことを追及すれば、剣より鋭い言葉で突き刺されることだろう。今1番ニコにとって害悪なのは、他でもない余であると。
「また来てくれたんだね、番犬君。」
その声は、まるで先の未来を知らないかのように穏やかに放たれた。
「またニコのお使いで来たのかい?」
「ニコ様はとっくにあんたを切り捨ててるよ。」
「それじゃあ、君の意思で来てくれたのか。嬉しいな。」
否定できない。ニコとよく似ているからなのか、それともあまりに掴みどころのない態度のせいなのか、スヴェリオはなぜだかハープナーが気になって仕方が無かった。処刑される前に、もう1度話がしたいと思ったのだ。
それにしても随分と落ち着いている。とても死刑囚には見えなかった。
「斬首刑を言い渡されると、髪が白くなるヤツもいるって聞いたことがあるけど…。」
相変わらず見事な黒髪だ。ちゃんと手入れが施されれば、ニコのように美しく輝くに違いない。
「死ぬのは怖くないからね。アイローイ王を説得できなかったのは残念だけれど。」
それよりも、と軽くそんな言葉を続けるハープナーに、スヴェリオは呆れた。
「ニコは体調を崩したりしていない?」
「…なぜそんなこと訊く?」
「病は気からというだろう?私のせいで、心に負担を掛けてしまっているのではないかと心配でね。」
そんな心配するくらいなら最初からこんな事態を起こすなよ。スヴェリオはそう思ったが、どうせ口に出したところでまた笑って誤魔化すだけだろう。別のセリフを用意した。
「あんたのことはとっくに切り捨ててると言っただろ。気にも留めてねぇよ。」
攻撃をしたつもりだった。少しは傷付け、と思って吐き捨てたセリフだったのだが、ハープナーは心から安心したように胸に手を充てて微笑んだ。
「良かった。あの娘が強い娘で。」
ふと、スヴェリオの頭にニコの言葉が浮かぶ。
"叔父様は…本当はこんなことするような人じゃないのよ…。"
ニコは幼い頃からハープナーと一緒だったと言っていた。共に遊び、共に学んだハープナーは、ニコにとって兄のような存在だったのだろう。自分にとってのバーバリオと同じなのかもしれない。スヴェリオはそう考えて、いや、と頭の中ですぐに否定した。
もし俺とバーバリオに置き換えるのなら、気が狂うのは自分の方だ。堅実なバーバリオが問題を起こすわけがない。
思い出されるのは、スヴェリオが牢に入った時の記憶だ。スヴェリオは、まさかバーバリオが危険を冒して城の牢獄までやってくるとは思わなかった。
そういえば随分イライラしていたな、と今さら気が付く。あの時のバーバリオは、今のニコ様と同じような心情だったのだろうか、と。
「…医師になりたかったと聞いた。」
あぁ、とハープナーが自身の髪に指を通す。
「懐かしいな。そんな頃もあったね。」
「あんたの母親は、どんな病気だったんだ?」
「………治療法の無い病だよ。最初は胸にしこりができたと聞いた。それから身体中痛みが走り、どんな治療も効果なく亡くなるまであっという間だったそうだよ。私が3つの時だから、私は覚えていないけれどね。」
それで、とハープナーは続ける。
「君の母君はどのような病気だったんだい?」
スヴェリオが目を見開くと、ハープナーは小首を傾げた。
「私の母親は、と訊くから、君の母君も、という意味かと思ったのだけれど、違ったかな?」
スヴェリオは自分の母のことを誰かに話したことがなかった。知っているのは同郷のバーバリオだけだ。話せばどのような目で見られるか、嫌というほど分かっている。
それでも話してもいいかと思えたのは、自分と同じく不治の病の母を持った者への親近感だろうか。どうせすぐに死ぬ男だ、という思いもあった。
「らい病だ。」
ハープナーの髪を梳いていた手が止まった。じっとスヴェリオを見つめる。
ニコから離れろとか、そういうことを言うつもりかとスヴェリオは思ったが、ハープナーは身に纏う穏やかな空気を崩すことなく、それは人に言わない方がいいよ、と注意を挙げただけだった。
「あんたが訊いたんだろ。」
「訊かれても、答えない方がいい。」
そう言って憂いを帯びた息を吐く。
「本当は、差別をする者たちの意識改革をできるなら、それが1番なのだけれどね。」
「意識改革?」
「身内にらい病患者がいたのなら、君も差別を受けただろう?私もフェリディルにいた頃、何人ものらい病患者と会ったから、その境遇の酷さは少しは理解しているつもりだよ。」
もちろん本人の苦痛は計り知れないけれどね、と眉尻を下げて微笑むハープナーは、嘘を言っているようには見えない。
スヴェリオは、組んだ腕に力が入った。
「何人もの患者と会った、だと?」
「うん。私がいたのはフェリディルの中でも辺境の田舎の地だったからね。そういう場にはね、行く当てもなくさ迷っているらい病患者が、時々現れるんだ。それで、どの村でも疎まれるものだからあまりに哀れと思って、その患者たちを1ヶ所に集めたんだ。せめて安心して住める場所を提供したくてね。」
そう話すハープナーは、笑みを浮かべながらもどこか物憂げだ。スヴェリオは静かにハープナーの話に耳を傾ける。
「そうしていると、自然と無免だけれど治療師や世話係、患者たちの家族も訪れたりしてね、1つの集落のようになったんだ。」
番犬君は知ってるかな、とハープナーが視線をスヴェリオに向ける。
「らい病は伝染しないんだ。」
スヴェリオはエイソンの剣を真正面から受けた時のような大きな衝撃を受けた。そんなわけがない。それだったら、母も自分もあんな扱いは受けなかったはずだ。びりびりと指先が痺れる。
「病気自体、よくわかっていないから、必ずしもそうとは言いきれないけれどね。でも、私も部下の騎士や兵たちも、時々その集落へ行って手伝いや看病をしたけれど、誰1人としてうつった者はいないんだよ。」
「う…そだろ…。」
「本当だよ。だから、伝染はしないんじゃないかっていうのが僕の見解。」
それじゃあ何の為に俺は故郷を離れたんだ。その言葉はスヴェリオの喉につっかえて出てこなかった。出してしまったら重い罪悪感が降りかかってくると、なんとなく気がついている。
「…俺がフェリディルの北西部を見に行った時、…そんな集落は、無かった。」
スヴェリオがそう言うと、ハープナーの表情に影がかかった。
「私が………クァンザ族に襲わせてしまったからね。」
スヴェリオの両の二の腕を掴む手が、僅かに震える。
「…あんたほどの外道を罵る言葉を、俺は知らねぇ。」
ハープナーはくすりと笑った。だから言っただろう、死は恐くない、と。
「近隣の村々の王への不信感を煽る為に、私はその集落を犠牲に選んだんだ。命に優劣を付ける最低な行為をした自覚がある。死は当然の報いだろう。」
けれど、とハープナーはまた自身の黒髪を触り始めた。
「もし、君にとってらい病が感染しないという事実が有用な情報だったなら、私の頼みを聞いてはもらえないかな?」
「…あんたの頼みを聞く道理はねぇが、ニコ様のよしみだ。内容を聞いてから考えてやる。」
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