23 / 41
第二章〜フューズ王国〜
閑話 クラスメイト
しおりを挟む
私の名前はジェシカ、ラノリア王立学園の冒険科Sクラスの生徒よ。
今日も授業が終わり帰ろうとしていたのだけれど……
「あら?何用かしら?ここをラノリア王立学園と知ってのことかしら?」
何やら学園をずっと見つめている怪しげな三人組を見つけた。王立学園に入学したいのなら、試験はもう1か月前に終わったですし、アホでもない限り間違えないわ。あるとしたら編入生なのですけど、どうみても冒険者のような身なりなのでとても貴族の推薦状を持っているとは思えませんわ。
「ええ、実はファウンダー辺境伯にラノリア王立学園への推薦を受けたんです。推薦状をお渡ししたいんですけど、どうすればいいかわからなくて」
驚きましたわ。あのファウンダー辺境伯が推薦状を渡すなんて。あの方が少々変わっていますが、一代で男爵から辺境伯へと成り上がった天才と聞いておりますわ。
これは丁重に案内しないと行けませんわね。
「そうだったのね、ついてらっしゃい」
私は動揺を悟られないように声をかけ、その三人組を学園内の学園長室へと案内した。
──コンコンッ
私はドアノブを捻り、ドアを開ける。
──ガチャ
「失礼します」
「フォッフォッフォ、なにようじゃ?」
「学園長先生、この人達がファウンダー辺境伯から推薦状を貰って来たそうです」
「おう、どれじゃ?ほれ、見せてみぃ」
「えっと、商人の……おじさん?」
商人のおじさん……ああ、学園長の弟さんと間違えているのね。弟さんと面識があるのに学園長を知らないのは不思議だけれど、もしかしたら、この三人を驚かそうとしていたのかしらね?
「フォッフォッフォ、お主らはローガンにあったのか。あれは儂の弟じゃ。儂の名前はモーガン・フルーマンじゃ」
1回だけ見かけたことがあるけど、凄い似ているから間違えるのも無理ないわ。
「そうだったんですか!? すみません。あ、これ推薦状です」
「ふむふむ、確かにファウンダー辺境伯直筆のようじゃな。よし、軽い試験をやってから見極めてやろう」
さて、これで私の仕事は終わりかしらね。三人は学園長に連れられて演習場へと連れてかれた。
✳ ✳ ✳ ✳
「おーっす、ジェシカ」
「おはようございます、フィリップ」
「おいおい、今日もお堅いなぁ、敬語じゃなくていいってのに」
「じゃあ、うるさいから黙ってくださる?話しかけないでほしいわ」
私は笑顔でフィリップに言う。
「うっ……そういうことじゃないよ……」
目に見えるようにフィリップがシュンとする。
はぁ、朝から疲れますわね。フィリップは魔術も座学も出来て優秀なのですけど、たまにうざいですわね。
「おはようございます、ユーユ」
「おはよ……これ」
「これは……なんですの?」
「……魔物と話す道具……」
「相変わらず、凄いですわね」
「……作ったけど、魔物いない……理論上は可能なはず……」
この子はユーユ、小柄で可愛いらしい女の子だけれど、見た目に反して、かなり魔物の研究にのめり込んでるわね。その上魔術士としても一角の才能がある天才だわ。まあ、本人は魔物の研究にしか興味がみたいだけれど。
「そういえば、今日編入生が来るらしいね、ジェシカ君」
彼はそう言いながらメガネをクイッとあげる。彼の名前はグラッグ、同じクラスメイトにして、このクラスの委員長的存在だわ。性格は真面目な方でこのクラスの数少ないまともな人ね。
「あら? もしかしたら昨日私が案内した人たちかも知れませんわね?」
「え? ジェシカはもう会ったのか? どんな奴だったんだ?」
「えっと、男1人、女2人の三人組でしたわね。見た目は冒険者っぽくて、ファウンダー辺境伯の推薦を受けたと言っていましたわ」
「女……女の子かぁ……楽しみだなぁ」
そう、フェルトが言う。
「あら、貴方が付け入る隙は無さそうだったわよ?」
「フェルトだったら、無理やり奪いかねないなー」
「失礼なっ!俺は紳士だからちゃんと口で口説いてみせますよ!」
「はいはい、そう言って成功した試しがないでしょ?」
「……ダメだよジェシカ、現実見せたら可哀想……」
「うぅ、なんで皆そんなこというんだよぉぉー!!!」
そう言いながらフェルトは廊下へと走っていった。
「にしても遅いな」
「ええ、もしかしたら迷ってるのかしらね?」
「ああ、そうかも知れないな。すまないがジェシカ君が連れてきてくれないか?僕達はみんな面識がないから分からないのでね」
「ええ、分かったわ」
確かにこの学園は迷路みたいになっているし、迷うのも無理ないわ。ホームルームまでに連れてこないといけないわね。
私は来た道を戻って入口まで歩く。
(いたわね……さてどうやって話しかけようかしら。ここはやっぱり偶然を装って話しかけるのがいいかしらね)
「あら? 昨日の……。どうかしましたの?その様子を見ると無事編入出来たみたいですわね」
今日も授業が終わり帰ろうとしていたのだけれど……
「あら?何用かしら?ここをラノリア王立学園と知ってのことかしら?」
何やら学園をずっと見つめている怪しげな三人組を見つけた。王立学園に入学したいのなら、試験はもう1か月前に終わったですし、アホでもない限り間違えないわ。あるとしたら編入生なのですけど、どうみても冒険者のような身なりなのでとても貴族の推薦状を持っているとは思えませんわ。
「ええ、実はファウンダー辺境伯にラノリア王立学園への推薦を受けたんです。推薦状をお渡ししたいんですけど、どうすればいいかわからなくて」
驚きましたわ。あのファウンダー辺境伯が推薦状を渡すなんて。あの方が少々変わっていますが、一代で男爵から辺境伯へと成り上がった天才と聞いておりますわ。
これは丁重に案内しないと行けませんわね。
「そうだったのね、ついてらっしゃい」
私は動揺を悟られないように声をかけ、その三人組を学園内の学園長室へと案内した。
──コンコンッ
私はドアノブを捻り、ドアを開ける。
──ガチャ
「失礼します」
「フォッフォッフォ、なにようじゃ?」
「学園長先生、この人達がファウンダー辺境伯から推薦状を貰って来たそうです」
「おう、どれじゃ?ほれ、見せてみぃ」
「えっと、商人の……おじさん?」
商人のおじさん……ああ、学園長の弟さんと間違えているのね。弟さんと面識があるのに学園長を知らないのは不思議だけれど、もしかしたら、この三人を驚かそうとしていたのかしらね?
「フォッフォッフォ、お主らはローガンにあったのか。あれは儂の弟じゃ。儂の名前はモーガン・フルーマンじゃ」
1回だけ見かけたことがあるけど、凄い似ているから間違えるのも無理ないわ。
「そうだったんですか!? すみません。あ、これ推薦状です」
「ふむふむ、確かにファウンダー辺境伯直筆のようじゃな。よし、軽い試験をやってから見極めてやろう」
さて、これで私の仕事は終わりかしらね。三人は学園長に連れられて演習場へと連れてかれた。
✳ ✳ ✳ ✳
「おーっす、ジェシカ」
「おはようございます、フィリップ」
「おいおい、今日もお堅いなぁ、敬語じゃなくていいってのに」
「じゃあ、うるさいから黙ってくださる?話しかけないでほしいわ」
私は笑顔でフィリップに言う。
「うっ……そういうことじゃないよ……」
目に見えるようにフィリップがシュンとする。
はぁ、朝から疲れますわね。フィリップは魔術も座学も出来て優秀なのですけど、たまにうざいですわね。
「おはようございます、ユーユ」
「おはよ……これ」
「これは……なんですの?」
「……魔物と話す道具……」
「相変わらず、凄いですわね」
「……作ったけど、魔物いない……理論上は可能なはず……」
この子はユーユ、小柄で可愛いらしい女の子だけれど、見た目に反して、かなり魔物の研究にのめり込んでるわね。その上魔術士としても一角の才能がある天才だわ。まあ、本人は魔物の研究にしか興味がみたいだけれど。
「そういえば、今日編入生が来るらしいね、ジェシカ君」
彼はそう言いながらメガネをクイッとあげる。彼の名前はグラッグ、同じクラスメイトにして、このクラスの委員長的存在だわ。性格は真面目な方でこのクラスの数少ないまともな人ね。
「あら? もしかしたら昨日私が案内した人たちかも知れませんわね?」
「え? ジェシカはもう会ったのか? どんな奴だったんだ?」
「えっと、男1人、女2人の三人組でしたわね。見た目は冒険者っぽくて、ファウンダー辺境伯の推薦を受けたと言っていましたわ」
「女……女の子かぁ……楽しみだなぁ」
そう、フェルトが言う。
「あら、貴方が付け入る隙は無さそうだったわよ?」
「フェルトだったら、無理やり奪いかねないなー」
「失礼なっ!俺は紳士だからちゃんと口で口説いてみせますよ!」
「はいはい、そう言って成功した試しがないでしょ?」
「……ダメだよジェシカ、現実見せたら可哀想……」
「うぅ、なんで皆そんなこというんだよぉぉー!!!」
そう言いながらフェルトは廊下へと走っていった。
「にしても遅いな」
「ええ、もしかしたら迷ってるのかしらね?」
「ああ、そうかも知れないな。すまないがジェシカ君が連れてきてくれないか?僕達はみんな面識がないから分からないのでね」
「ええ、分かったわ」
確かにこの学園は迷路みたいになっているし、迷うのも無理ないわ。ホームルームまでに連れてこないといけないわね。
私は来た道を戻って入口まで歩く。
(いたわね……さてどうやって話しかけようかしら。ここはやっぱり偶然を装って話しかけるのがいいかしらね)
「あら? 昨日の……。どうかしましたの?その様子を見ると無事編入出来たみたいですわね」
0
お気に入りに追加
1,713
あなたにおすすめの小説
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
異世界転生 剣と魔術の世界
小沢アキラ
ファンタジー
普通の高校生《水樹和也》は、登山の最中に起きた不慮の事故に巻き込まれてしまい、崖から転落してしまった。
目を覚ますと、そこは自分がいた世界とは全く異なる世界だった。
人間と獣人族が暮らす世界《人界》へ降り立ってしまった和也は、元の世界に帰るために、人界の創造主とされる《創世神》が眠る中都へ旅立つ決意をする。
全三部構成の長編異世界転生物語。
田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。
けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。
日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。
あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの?
ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。
感想などお待ちしております。
最弱ステータスのこの俺が、こんなに強いわけがない。
さこゼロ
ファンタジー
俺のステータスがこんなに強いわけがない。
大型モンスターがワンパン一発なのも、
魔法の威力が意味不明なのも、
全部、幼なじみが見つけてくれたチートアイテムがあるからなんだ!
だから…
俺のステータスがこんなに強いわけがないっ!
~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。
破滅の女神
ファンタジー
18歳の誕生日…先月死んだ、おじぃちゃんから1冊の本が届いた。
小さい頃の思い出で1ページ目に『この本は異世界冒険記、あなたの物語です。』と書かれてるだけで後は真っ白だった本だと思い出す。
本の表紙にはドラゴンが描かれており、指輪が付属されていた。
お遊び気分で指輪をはめて本を開くと、そこには2ページ目に短い文章が書き加えられていた。
その文章とは『さぁ、あなたの物語の始まりです。』と…。
次の瞬間、僕は気を失い、異世界冒険の旅が始まったのだった…。
本作品は『カクヨム』で掲載している物を『アルファポリス』用に少しだけ修正した物となります。
ಂ××ౠ-異世界転移物語~英傑の朝
ちゃわん
ファンタジー
どこにでもいる普通の高校生、端溜翔太は唐突に、何の準備もなく、剣と魔法の異世界ヴィドフニルに転移した。彼が転移した先は、空に浮かんでいる…島!?帰れない、どこにも行けない。そんな中出会ったのは、一匹の妖精と…羽の生えた死にかけの少女…?。生きる目的もない、生きてててもつまらないそんな人生を送っていた少年は、少女の世話をすることで変わっていく。日本初異世界介護物語スタート!
※なろう、カクヨムにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる