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第二章〜フューズ王国〜
第19話 入学
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「ふぁーあ、うーん、良く寝れたわ」
「おはようございます!」
「ん、おはよ」
そう言いながらリアンは目を擦る。
「スースー」
「ん? トウマはまだ寝てるのかしら? イタズラしちゃおうかしら」
そう言いながらリアンはトウマの脇に狙いを定める。
「うわっ、あはっ、やめてやめて、死ぬ死ぬ」
ベットの上を転がるトウマを見てリアンとカンナがくすくす笑う。
「ご主人様おはようございますっ!」
「おはよ」
「はぁ、おはよう。今度からはもっと優しく起こしてくれよ?」
リアンはSっ気があるのか分からないけど、たまにイタズラをしようとしてくる。こちょこちょは割とくすぐったくて辛いわ!
俺はベットから降りると、顔を洗いに洗面所に行く。
ちなみに部屋について喋っておくと、玄関をぬけるとリビングがあり、さらにそこから3つの部屋に繋がっている。1番大きい部屋はベットが3つ並んでいる寝室だ。あとの2つは洗面所とキッチンだ。トイレとお風呂は洗面所から繋がっている。
家自体はコテージのようになっていて結構広い。これはSクラスだからなのだろうか?
ちなみにお風呂は井戸から汲んできて沸かすタイプだ。まあSクラスの生徒で魔術使える前提の設計だから使う時は魔術で湯を入れるけどな。
そのあとはカンナお手製の朝ごはんを食べて、昨日貰った制服に着替える。
女性用の制服は淡い夕焼け色のようなブレザーである。男性用は興味ないと思うので割愛する。
「見てください!」
そう言いながらカンナがクルクルと回る。かわいい。
「そろそろ出発しないと不味いわよ」
「おう、そうだな!」
結構時間が迫ってきていたので、急いで準備を済ませないとな!
✳ ✳ ✳ ✳
──ガヤガヤ
俺たちは寮を出て、学園の門から校舎へと続く広い道を歩いていた。整備された道の脇には、同じ丈に刈り揃えられた低木が左右対称に並んでいる。
「おい、あの子めっちゃ可愛いぞ」
「俺はあっちの赤い髪の子のほうが好きだな」
「見ない顔だけど、あれが昨日、編入してくるとか噂になってた人か?」
「多分そうだろ」
そんなようなことが聞こえてくる。カンナとリアンが可愛いのはいいんだが、学園で可愛い子を連れていたら、もう絡んでくれと言っているようなもんだ。完全にフラグがたっているのである。まあ俺は面倒なことに巻き込まれない事を願うしかないのだがな。
ただ、今回は絡まれなかったようだ。朝から絡まれるとか、起きてすぐギットギトのステーキ食べるのと同じくらいきつい。
「おぉー、近くまで来るとさらにデカく感じるな」
正面には、要塞のような巨大な校舎群がある。
見える範囲だけでも、5つ以上の建物が見えるな。昨日渡された地図を見ながら、恐らく俺たちの教室があるであろう建物に入っていく。
ちなみに学園内は土足OKらしい。制服は決まってるのに靴とかアクセサリーとかは別に人それぞれらしい。まあ服さえ同じだったらある程度統一感は出るけどな。
廊下は結構天井が高いし、幅も広い。分かりにくいかもしれないが、国会議事堂の廊下みたいな感じだ。
「えっと……Sクラス……Sクラスってどこだ?」
「ちょっと貸してみて。……うーん分かりにくいわね、この地図」
俺たちが行きたい教室は冒険科のSクラスの教室だ。この学園では学科ごとに別れており、その中でもクラス分けがされてる。渡された地図がちっちゃいせいか、書かれている文字が凄く見づらいのである。まあ紙は高価だから小さいものになってしまうと思うのだが。
「あら? 昨日の……。どうかしましたの?その様子を見ると無事編入出来たみたいですわね」
俺たちが困っていると昨日の髪型ドリルさんが話しかけてきた。名前なんだったっけな?いや、そういえば名前聞いてねーわ。
「実は教室が分からなくてですね」
「ああ、この学園は複雑ですから、初めての人は難しいかもしれませんわね。ところでどのクラスなんですの?この塔はSクラスとAクラスの教室しかありませんわよ?」
「やっぱり複雑ですよね。俺たちはSクラスに編入になりました」
「……やりますわね。Sクラスは選ばれし天才が集まるクラスですわ。ちなみに私もSクラスの生徒なのですわよ」
確かにSクラスは凄いのかも知れないけど、この人自分のこと天才って言っちゃったよ。
「ついてきなさい。案内してあげるわ」
「はぁ、どうも」
うーむ、高飛車なオーラがプンプンしてるなぁ。
俺たちは髪型ドリルさんの後をついて行った。何回か階段を登り降り、突き当たりを曲がったりでまるで迷路のようだった。これ、明日から自分で登校出来るかなぁ?ちなみにこんなに入り組んでるのは、度重なる増築や改築工事のせいらしい。
「着いたわ。ここよ」
髪型ドリルさんはそう言うと、静かに扉を開ける。扉開けると、そこには馴染みがある長方形の黒板が目につく。机は大学の講堂のように段々に配置されている。あれだ、階段教室ってやつだ。教室の中にいる人数は割と少ない。やっぱりSクラスだと少数精鋭みたいな感じなのだろうか?
「おう、おめーが編入生たちか、俺っちの名前はフィリップだ! よろしくな!」
「ああ、よろしく!」
なんだろう、この漂うバカキャラ臭は。
「あなたたちの席はこっちですわ」
髪型ドリルさんに案内されて席につく。
──ゴーンゴーン
席に座ったと同時に鐘が鳴った。
──ガララッ
「おーい、席につけよー」
恐らく教師であろう気だるそうに見える中年の男性が入ってきた。男性は紺色のローブを纏い、手には杖らしきものを持っている。
「……14、15……よし全員いるな。じゃあそこの君たち前に来てくれ」
「僕たちですか?」
「ああ、自己紹介してもらおうと思ってな」
「分かりました」
俺たちは席をたち、真ん中の黒板の方に向かって歩いていく。なかなかに視線を浴びるので緊張してしまう。
「交流生のトウマです。得意魔術は召喚魔術です!これから一ヶ月間よろしくお願いします!」
パチパチパチ
Sクラスとかだと人格ひん曲がった人とか、やべぇ奴もいっぱいいると思っていたがまともな人ばっかっぽくて安心したな。ちなみに召喚魔術のことも聞きたいので公開する事にした。まあLv2くらいだったら軽くすごいってなる範囲で不審がられることはないだろう。
「同じく交流生のカンナです! 剣術火魔術には自信があります!」
「リアンよ。得意な魔術は水魔術で基本四属性が使えるわ」
パチパチパチ
時々消え入るような声で可愛い……と聞こえてくる。見る目がある奴がいるようだ。まあうちのカンナとリアンは可愛いからな!
「まあ、みんな仲良くしてやってくれ」
ちなみにこの先生の名前はブレンダン先生らしい。前まではBランク冒険者をやっていたそうだ。ってことはカンナと同じくらい強いってことだよな?
──パンパン
「よし、とりあえず授業やるぞー」
ブレンダン先生はそう言いながら手を叩くと、黒板になにか書きながら喋り始めた。ん? これノートとか取らなくていいのかな? まあ皆持ってないし、多分聞いて覚えるものなんだろう。戦闘訓練とかをやると思ってたから初っ端座学は結構テンション下がるな。まあ中学校とかで習う将来使わないことじゃない分ましか。
「えーまず、今日から交流生の子もいるからとりあえず魔術理論のおさらいといこうか」
そう言うと、黒板に何やら書き始める。
「まず魔法には基本属性というのがあるのは知っているよな。火を司る火魔術や火炎魔術、水を司る水魔術や洪水魔術などの火、水、風、土が基本四属性と呼ばれている。それに闇、光、回復という3種の魔術が揃って七大魔術と呼ばれている」
そう言いながら先生は黒板に火、水、風、土という文字を書いていく。そう言えば、この世界は文字が違うのに普通に読むことも書くことも出来るのは女神様補正だろうか?ほんと女神さまさまである。
「まず、火魔術についてだがこれは魔力を熱に変換する方法だな。主に温度を上昇させ用いることが多い。このようにな! 篝火 《トーチ》」
──ボッ
先生が詠唱をすると、先生の手に火が灯る。
「んで、次に水魔術は魔力を水などの液体状の物質に変換する方法だな。1番身近でもあるし、冒険するなかでは火魔術と並ぶくらい使い勝手がいいから覚えておくと便利だ」
「次に、風魔術だな。この魔術は難しいが、応用が効く魔術だ。風魔術は目に見えない攻撃が出来るからその点、上手く魔素の乱れを感じれないものにはとても有効だ」
「最後に、土魔術だな。この魔術の特徴はとにかく防御に向いている点だ。土魔術には土壁《アースウォール》などの防御魔術があるのだが、この魔術は魔術耐性も物理耐性も兼ね備えているため戦闘においてとても使い勝手が良いのが特徴だ」
なるほど、魔術によって使える用途も変わってくるよな。
「次に派生魔術と無属性魔術だな。派生魔術は氷雪魔術や植物魔術が含まれるな。主に七大魔術から派生しているものを派生魔術と読んでいる。それ以外のものは無属性魔術と呼ばれている。主に契約魔術や、トウマが使える召喚魔術とかだな」
ここらへんはリアンに聞いたことと同じことだな。
「今日の授業は魔術の応用だ。今回は自分の得意な魔術で形状変換をしてもらう。例えば、普段なにも意識せずに石生成《クリエイトストーン》を使うと、歪な形の石が出来がるだろう? それを今回は意識して、丸や四角などに指定してだして貰おうと思う。これをすると魔力操作に慣れるからな」
なるほど、確かに意識して形状を変えることが出来るならば戦術の幅が広がりそうだな。
面白い……。すごい面白い!座学なんてつまらないものだと思っていたが魔術の話は凄い面白いな。特に術者の思考により、魔術の使用用途や、魔術の形状が変わるってのが面白かったな。すぐ試したくなってしまうものである。ただ教室内は原則魔術の行使は厳禁なので我慢していた。
「では今から外で魔術の訓練をするからローブに着替えるように」
おおー! 次はお待ちかねの魔術の訓練か! 楽しみだな。
「凄かったわね! 授業」
「ああ、新しいことを知るって楽しいな!」
「次は訓練ですね! 楽しみです!」
カンナはそう言いながら、両手でガッツポーズみたいなのをしている。可愛い。
そして俺たちはいそいそとローブを来て訓練所へと向かったのであった。
「おはようございます!」
「ん、おはよ」
そう言いながらリアンは目を擦る。
「スースー」
「ん? トウマはまだ寝てるのかしら? イタズラしちゃおうかしら」
そう言いながらリアンはトウマの脇に狙いを定める。
「うわっ、あはっ、やめてやめて、死ぬ死ぬ」
ベットの上を転がるトウマを見てリアンとカンナがくすくす笑う。
「ご主人様おはようございますっ!」
「おはよ」
「はぁ、おはよう。今度からはもっと優しく起こしてくれよ?」
リアンはSっ気があるのか分からないけど、たまにイタズラをしようとしてくる。こちょこちょは割とくすぐったくて辛いわ!
俺はベットから降りると、顔を洗いに洗面所に行く。
ちなみに部屋について喋っておくと、玄関をぬけるとリビングがあり、さらにそこから3つの部屋に繋がっている。1番大きい部屋はベットが3つ並んでいる寝室だ。あとの2つは洗面所とキッチンだ。トイレとお風呂は洗面所から繋がっている。
家自体はコテージのようになっていて結構広い。これはSクラスだからなのだろうか?
ちなみにお風呂は井戸から汲んできて沸かすタイプだ。まあSクラスの生徒で魔術使える前提の設計だから使う時は魔術で湯を入れるけどな。
そのあとはカンナお手製の朝ごはんを食べて、昨日貰った制服に着替える。
女性用の制服は淡い夕焼け色のようなブレザーである。男性用は興味ないと思うので割愛する。
「見てください!」
そう言いながらカンナがクルクルと回る。かわいい。
「そろそろ出発しないと不味いわよ」
「おう、そうだな!」
結構時間が迫ってきていたので、急いで準備を済ませないとな!
✳ ✳ ✳ ✳
──ガヤガヤ
俺たちは寮を出て、学園の門から校舎へと続く広い道を歩いていた。整備された道の脇には、同じ丈に刈り揃えられた低木が左右対称に並んでいる。
「おい、あの子めっちゃ可愛いぞ」
「俺はあっちの赤い髪の子のほうが好きだな」
「見ない顔だけど、あれが昨日、編入してくるとか噂になってた人か?」
「多分そうだろ」
そんなようなことが聞こえてくる。カンナとリアンが可愛いのはいいんだが、学園で可愛い子を連れていたら、もう絡んでくれと言っているようなもんだ。完全にフラグがたっているのである。まあ俺は面倒なことに巻き込まれない事を願うしかないのだがな。
ただ、今回は絡まれなかったようだ。朝から絡まれるとか、起きてすぐギットギトのステーキ食べるのと同じくらいきつい。
「おぉー、近くまで来るとさらにデカく感じるな」
正面には、要塞のような巨大な校舎群がある。
見える範囲だけでも、5つ以上の建物が見えるな。昨日渡された地図を見ながら、恐らく俺たちの教室があるであろう建物に入っていく。
ちなみに学園内は土足OKらしい。制服は決まってるのに靴とかアクセサリーとかは別に人それぞれらしい。まあ服さえ同じだったらある程度統一感は出るけどな。
廊下は結構天井が高いし、幅も広い。分かりにくいかもしれないが、国会議事堂の廊下みたいな感じだ。
「えっと……Sクラス……Sクラスってどこだ?」
「ちょっと貸してみて。……うーん分かりにくいわね、この地図」
俺たちが行きたい教室は冒険科のSクラスの教室だ。この学園では学科ごとに別れており、その中でもクラス分けがされてる。渡された地図がちっちゃいせいか、書かれている文字が凄く見づらいのである。まあ紙は高価だから小さいものになってしまうと思うのだが。
「あら? 昨日の……。どうかしましたの?その様子を見ると無事編入出来たみたいですわね」
俺たちが困っていると昨日の髪型ドリルさんが話しかけてきた。名前なんだったっけな?いや、そういえば名前聞いてねーわ。
「実は教室が分からなくてですね」
「ああ、この学園は複雑ですから、初めての人は難しいかもしれませんわね。ところでどのクラスなんですの?この塔はSクラスとAクラスの教室しかありませんわよ?」
「やっぱり複雑ですよね。俺たちはSクラスに編入になりました」
「……やりますわね。Sクラスは選ばれし天才が集まるクラスですわ。ちなみに私もSクラスの生徒なのですわよ」
確かにSクラスは凄いのかも知れないけど、この人自分のこと天才って言っちゃったよ。
「ついてきなさい。案内してあげるわ」
「はぁ、どうも」
うーむ、高飛車なオーラがプンプンしてるなぁ。
俺たちは髪型ドリルさんの後をついて行った。何回か階段を登り降り、突き当たりを曲がったりでまるで迷路のようだった。これ、明日から自分で登校出来るかなぁ?ちなみにこんなに入り組んでるのは、度重なる増築や改築工事のせいらしい。
「着いたわ。ここよ」
髪型ドリルさんはそう言うと、静かに扉を開ける。扉開けると、そこには馴染みがある長方形の黒板が目につく。机は大学の講堂のように段々に配置されている。あれだ、階段教室ってやつだ。教室の中にいる人数は割と少ない。やっぱりSクラスだと少数精鋭みたいな感じなのだろうか?
「おう、おめーが編入生たちか、俺っちの名前はフィリップだ! よろしくな!」
「ああ、よろしく!」
なんだろう、この漂うバカキャラ臭は。
「あなたたちの席はこっちですわ」
髪型ドリルさんに案内されて席につく。
──ゴーンゴーン
席に座ったと同時に鐘が鳴った。
──ガララッ
「おーい、席につけよー」
恐らく教師であろう気だるそうに見える中年の男性が入ってきた。男性は紺色のローブを纏い、手には杖らしきものを持っている。
「……14、15……よし全員いるな。じゃあそこの君たち前に来てくれ」
「僕たちですか?」
「ああ、自己紹介してもらおうと思ってな」
「分かりました」
俺たちは席をたち、真ん中の黒板の方に向かって歩いていく。なかなかに視線を浴びるので緊張してしまう。
「交流生のトウマです。得意魔術は召喚魔術です!これから一ヶ月間よろしくお願いします!」
パチパチパチ
Sクラスとかだと人格ひん曲がった人とか、やべぇ奴もいっぱいいると思っていたがまともな人ばっかっぽくて安心したな。ちなみに召喚魔術のことも聞きたいので公開する事にした。まあLv2くらいだったら軽くすごいってなる範囲で不審がられることはないだろう。
「同じく交流生のカンナです! 剣術火魔術には自信があります!」
「リアンよ。得意な魔術は水魔術で基本四属性が使えるわ」
パチパチパチ
時々消え入るような声で可愛い……と聞こえてくる。見る目がある奴がいるようだ。まあうちのカンナとリアンは可愛いからな!
「まあ、みんな仲良くしてやってくれ」
ちなみにこの先生の名前はブレンダン先生らしい。前まではBランク冒険者をやっていたそうだ。ってことはカンナと同じくらい強いってことだよな?
──パンパン
「よし、とりあえず授業やるぞー」
ブレンダン先生はそう言いながら手を叩くと、黒板になにか書きながら喋り始めた。ん? これノートとか取らなくていいのかな? まあ皆持ってないし、多分聞いて覚えるものなんだろう。戦闘訓練とかをやると思ってたから初っ端座学は結構テンション下がるな。まあ中学校とかで習う将来使わないことじゃない分ましか。
「えーまず、今日から交流生の子もいるからとりあえず魔術理論のおさらいといこうか」
そう言うと、黒板に何やら書き始める。
「まず魔法には基本属性というのがあるのは知っているよな。火を司る火魔術や火炎魔術、水を司る水魔術や洪水魔術などの火、水、風、土が基本四属性と呼ばれている。それに闇、光、回復という3種の魔術が揃って七大魔術と呼ばれている」
そう言いながら先生は黒板に火、水、風、土という文字を書いていく。そう言えば、この世界は文字が違うのに普通に読むことも書くことも出来るのは女神様補正だろうか?ほんと女神さまさまである。
「まず、火魔術についてだがこれは魔力を熱に変換する方法だな。主に温度を上昇させ用いることが多い。このようにな! 篝火 《トーチ》」
──ボッ
先生が詠唱をすると、先生の手に火が灯る。
「んで、次に水魔術は魔力を水などの液体状の物質に変換する方法だな。1番身近でもあるし、冒険するなかでは火魔術と並ぶくらい使い勝手がいいから覚えておくと便利だ」
「次に、風魔術だな。この魔術は難しいが、応用が効く魔術だ。風魔術は目に見えない攻撃が出来るからその点、上手く魔素の乱れを感じれないものにはとても有効だ」
「最後に、土魔術だな。この魔術の特徴はとにかく防御に向いている点だ。土魔術には土壁《アースウォール》などの防御魔術があるのだが、この魔術は魔術耐性も物理耐性も兼ね備えているため戦闘においてとても使い勝手が良いのが特徴だ」
なるほど、魔術によって使える用途も変わってくるよな。
「次に派生魔術と無属性魔術だな。派生魔術は氷雪魔術や植物魔術が含まれるな。主に七大魔術から派生しているものを派生魔術と読んでいる。それ以外のものは無属性魔術と呼ばれている。主に契約魔術や、トウマが使える召喚魔術とかだな」
ここらへんはリアンに聞いたことと同じことだな。
「今日の授業は魔術の応用だ。今回は自分の得意な魔術で形状変換をしてもらう。例えば、普段なにも意識せずに石生成《クリエイトストーン》を使うと、歪な形の石が出来がるだろう? それを今回は意識して、丸や四角などに指定してだして貰おうと思う。これをすると魔力操作に慣れるからな」
なるほど、確かに意識して形状を変えることが出来るならば戦術の幅が広がりそうだな。
面白い……。すごい面白い!座学なんてつまらないものだと思っていたが魔術の話は凄い面白いな。特に術者の思考により、魔術の使用用途や、魔術の形状が変わるってのが面白かったな。すぐ試したくなってしまうものである。ただ教室内は原則魔術の行使は厳禁なので我慢していた。
「では今から外で魔術の訓練をするからローブに着替えるように」
おおー! 次はお待ちかねの魔術の訓練か! 楽しみだな。
「凄かったわね! 授業」
「ああ、新しいことを知るって楽しいな!」
「次は訓練ですね! 楽しみです!」
カンナはそう言いながら、両手でガッツポーズみたいなのをしている。可愛い。
そして俺たちはいそいそとローブを来て訓練所へと向かったのであった。
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