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二章 聖女という存在について

8 聖女から見た聖女の話

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 優秀な……人間、か。

 そういえば聖女を始めてからクロード以外の人ににそういう事を言われたのって初めてかもしれない。
 いや、かもしれないじゃない……初めてだ、うん。初めて。

 そしてどこか報われたような気分の私に視線を向けたまま、ユイは思考を巡らせるように間を空けてから言う。

「しっかし……アンタは聖女を辞めたんすよね? なんというか……良く辞められたっすね」

「聞いただけで意味わからねえ位にブラックな扱いみてえだからな。そんな扱いをしていた国家がこれだけの人材を手放すとは思えねえ。多分無理矢理にでも引き留めてくるだろ」

 これだけの人材……。
 なんだろう、一度に複数人からそんな事を言われると夢でも見てるんじゃないかなって思ってしまう。
 まあありがたい事に夢じゃないんだけどね。
 本当にありがたい事に……元居た国の人達とは全然違う。

「辞められたっていうか、辞めさせられたんだ。解任されて国外追放って感じ」

「辞めさせられた!? 国外追放……は? ちょっとどういう事っすか!?」

「し、失礼なのは重々承知だが、お前何かやったのか!?」

 驚く二人に私は言う。

「何かやったというか、やるべき事をやれていなかったんだ……私は無能扱いされてたから」

「無能扱いって……一人で聖結界を維持してたんすよね!?」

「だけど月に1匹2匹ペースで魔物が侵入してきて、少しだけ瘴気も沸いてたから」

「その程度の事っすよね!? それを無能って……」

 本当に驚いたように、理解できないようにそう言ったユイは立ち上がり歩み寄ってきて、私の両手を握って言う。
 言ってくれる。

「同じ……なんて言っていいかは分かんないっすけど、同じ聖女として言わせて欲しいっす! アンタは無能なんかじゃない! そんな訳の分からない所で使い潰されなくて本当に良かった!」

 ほんの少しだけ、涙を流して。



────────
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別作品で次世代ファンタジーカップにエントリー中です。
作者ページから飛べるので、更新を待ってくれている間、お時間がありましたら読んでみて頂けると嬉しいです。

 劣化の最強魔術師 ~学園最弱の魔術師がゴミスキル『劣化コピー』で人知を超えた魔術をコピーした結果~
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みんなの感想(1件)

油木まみ
2022.04.26 油木まみ

こんにちは…

先程見つけてあらすじを読んだら誤字を発見…
変わりの聖女→代わりの聖女ですよね?

それでは、本編読みに行ってきますね🤗

山外大河
2022.04.26 山外大河

ご指摘ありがとうございます。
後程修正させていただきます!

解除

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