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2-2 剣と銃
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何かが放たれると察した瞬間、咄嗟に客室の扉を蹴り破り中へと飛び込んだ。
次の瞬間には自分達がいた地点を光線のような物が突き抜けて行くのが視界に入る。
(なんて威力だ……いやちょっと待て風間は……ッ!?)
果たして今の一撃を回避できたのか。
そんな若干の不安が脳裏を過るが、所詮若干だ。
自分でもどうにか出来たのだから、風間柚子が回避できなかったとは思えない。
そしてその答え合わせをするようにインカムに通信が入る。
『篠原さん、生きてるっすか!?』
「ああ!」
安堵しつつ返答しながら銃を構え、術式を付与した銃弾を廊下の壁に撃ち込む。
直後、着弾地点を中心に術式が展開。
直線通路の状況が視覚情報として篠原の脳内に流れ込んでくる。
(……赤坂の姿は無し。移動したか?)
銃撃の直前の言葉やその言葉を発する前の赤坂の状態を考えるに、可能ならば向うは此処での戦闘を避けたかった筈。
そして明確な意思を持って動く者である以上、そうでないアンノウンよりも遥かに殺人や破壊などの人的被害以外が目的の可能性が高くなってくる。
……つまりはこの場からの逃亡。
(させるかッ!)
走り出しながら篠原は耳元に手を当てて言う。
「こちら篠原! 全隊に通達! 目標アンノウンは赤坂伊月に寄生した模様! 加えてこちらとの接触地点から移動している! 各自発見次第情報を回せ!」
言いながら部屋を飛び出した篠原はすぐさま掌を床に触れ術式を発動。
(……相変わらずアンノウンとしての反応は消えている)
恐らく赤坂の魔術によりアンノウンの反応は消滅している。そしてそれが銃撃というアンノウンの力を使ってもなお継続して残り続けている訳だ。
(だとすれば相当厄介だな)
今の赤坂については何を考えた所でその殆どが推測の域を出ない。
だが本来干渉しあってまともに同時使用ができない筈の魔術とアンノウンの力が結果的に同時使用に至っている事が大きな問題だ。
今のままでは管理局の設備を利用してもアンノウンの位置情報を感知できず、そして今後は今回のような初期の出現ポイントといった僅かながらの情報すら得られなくなる。
それこそピンポイントに風間柚子か彼女と同等の事が出来るウィザードを送り込むという無茶な事以外では目視以外で見付けられなくなる、明確な意思を持ったアンノウンの誕生だ。
……それを避ける為にも自分達の包囲網の外に行かせる訳には行かない。
そして逆に今ならまだ辿れるのだ。
「風間!」
「大丈夫っす。もう見付けたっすよ!」
同じく蹴り破られていた向かいの客室から、駆け足で出て来た柚子が出てくる。
「っとちょっと待ってください。あー皆さん風間っす。現在アンノウンはまだ屋内っすけど位置的には表通り沿いの北側の方っすね。もし外出てきたら足止めよろしくっす」
下の部隊にそう連絡した後、今度は篠原に言う。
「奥の方の部屋に移動したっぽいっすね。此処から先は迎え撃たれるか非常階段辺りから外に出られるか。もしくは窓ぶち破って外に出られるかっすね。少なくとも伊月ちゃんならできるっすから……まあそれができるのに留まっているのは、今回大勢連れて来たおかげっすよ多分」
このホテルは文字通り北陸第一のウィザードに包囲されている。
……相手が普通の人間のような思考ができる相手だからこそ、それが効いているのだ。
……だが、このアドバンテージはそう長くは持たない。
「急ぐぞ風間……向うはこちらの戦力を知る手段があるんだ」
自分の部下は皆優秀である。
きっと本部のウィザードと比較しても階級以上に優秀な者達が集まっている。
だが心を鬼にして言えば、Sランクのアンノウン相手と真正面からやり合うには力不足感は否めない。
出現した時点で支部総出で動かなければならない程の大事件だと言っても差し支えの無いSランクのアンノウンに対しての彼らの役割は真正面から直接対峙してアンノウンを倒す事では無いのだ。
短く纏めれば真正面から戦える人間の補助。
そして赤坂伊月は知っている。
北陸第一に限らず国内、否、世界各国のウィザードの組織を見ても同じような状態であると。
だからこそ、そんな彼女から情報が抜かれる前に。
……自分達で最低限状況を好転させる。
そして動き出そうとする篠原に柚子は言う。
「篠原さん、その前に一つ。ちゃんと勝つ為にも情報共有っす」
「何か分かったのか?」
篠原の言葉に柚子は答える。
一瞬言いにくそうな表情を浮かべたがそれでも言葉を紡ぐ。
「さっきの結界で最低限の情報は取れたっす……あの銃、ユイちゃんとほぼ同じ反応っすよ」
「……ッ!」
「つまりはキリングドールって奴の可能性が高いって事っすね……人間っすよ、無機質な化物じゃなくて」
「……」
…………血の気が引いて行くのを感じた。
次の瞬間には自分達がいた地点を光線のような物が突き抜けて行くのが視界に入る。
(なんて威力だ……いやちょっと待て風間は……ッ!?)
果たして今の一撃を回避できたのか。
そんな若干の不安が脳裏を過るが、所詮若干だ。
自分でもどうにか出来たのだから、風間柚子が回避できなかったとは思えない。
そしてその答え合わせをするようにインカムに通信が入る。
『篠原さん、生きてるっすか!?』
「ああ!」
安堵しつつ返答しながら銃を構え、術式を付与した銃弾を廊下の壁に撃ち込む。
直後、着弾地点を中心に術式が展開。
直線通路の状況が視覚情報として篠原の脳内に流れ込んでくる。
(……赤坂の姿は無し。移動したか?)
銃撃の直前の言葉やその言葉を発する前の赤坂の状態を考えるに、可能ならば向うは此処での戦闘を避けたかった筈。
そして明確な意思を持って動く者である以上、そうでないアンノウンよりも遥かに殺人や破壊などの人的被害以外が目的の可能性が高くなってくる。
……つまりはこの場からの逃亡。
(させるかッ!)
走り出しながら篠原は耳元に手を当てて言う。
「こちら篠原! 全隊に通達! 目標アンノウンは赤坂伊月に寄生した模様! 加えてこちらとの接触地点から移動している! 各自発見次第情報を回せ!」
言いながら部屋を飛び出した篠原はすぐさま掌を床に触れ術式を発動。
(……相変わらずアンノウンとしての反応は消えている)
恐らく赤坂の魔術によりアンノウンの反応は消滅している。そしてそれが銃撃というアンノウンの力を使ってもなお継続して残り続けている訳だ。
(だとすれば相当厄介だな)
今の赤坂については何を考えた所でその殆どが推測の域を出ない。
だが本来干渉しあってまともに同時使用ができない筈の魔術とアンノウンの力が結果的に同時使用に至っている事が大きな問題だ。
今のままでは管理局の設備を利用してもアンノウンの位置情報を感知できず、そして今後は今回のような初期の出現ポイントといった僅かながらの情報すら得られなくなる。
それこそピンポイントに風間柚子か彼女と同等の事が出来るウィザードを送り込むという無茶な事以外では目視以外で見付けられなくなる、明確な意思を持ったアンノウンの誕生だ。
……それを避ける為にも自分達の包囲網の外に行かせる訳には行かない。
そして逆に今ならまだ辿れるのだ。
「風間!」
「大丈夫っす。もう見付けたっすよ!」
同じく蹴り破られていた向かいの客室から、駆け足で出て来た柚子が出てくる。
「っとちょっと待ってください。あー皆さん風間っす。現在アンノウンはまだ屋内っすけど位置的には表通り沿いの北側の方っすね。もし外出てきたら足止めよろしくっす」
下の部隊にそう連絡した後、今度は篠原に言う。
「奥の方の部屋に移動したっぽいっすね。此処から先は迎え撃たれるか非常階段辺りから外に出られるか。もしくは窓ぶち破って外に出られるかっすね。少なくとも伊月ちゃんならできるっすから……まあそれができるのに留まっているのは、今回大勢連れて来たおかげっすよ多分」
このホテルは文字通り北陸第一のウィザードに包囲されている。
……相手が普通の人間のような思考ができる相手だからこそ、それが効いているのだ。
……だが、このアドバンテージはそう長くは持たない。
「急ぐぞ風間……向うはこちらの戦力を知る手段があるんだ」
自分の部下は皆優秀である。
きっと本部のウィザードと比較しても階級以上に優秀な者達が集まっている。
だが心を鬼にして言えば、Sランクのアンノウン相手と真正面からやり合うには力不足感は否めない。
出現した時点で支部総出で動かなければならない程の大事件だと言っても差し支えの無いSランクのアンノウンに対しての彼らの役割は真正面から直接対峙してアンノウンを倒す事では無いのだ。
短く纏めれば真正面から戦える人間の補助。
そして赤坂伊月は知っている。
北陸第一に限らず国内、否、世界各国のウィザードの組織を見ても同じような状態であると。
だからこそ、そんな彼女から情報が抜かれる前に。
……自分達で最低限状況を好転させる。
そして動き出そうとする篠原に柚子は言う。
「篠原さん、その前に一つ。ちゃんと勝つ為にも情報共有っす」
「何か分かったのか?」
篠原の言葉に柚子は答える。
一瞬言いにくそうな表情を浮かべたがそれでも言葉を紡ぐ。
「さっきの結界で最低限の情報は取れたっす……あの銃、ユイちゃんとほぼ同じ反応っすよ」
「……ッ!」
「つまりはキリングドールって奴の可能性が高いって事っすね……人間っすよ、無機質な化物じゃなくて」
「……」
…………血の気が引いて行くのを感じた。
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