魔剣拾った。同居した。

山外大河

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2-1 招かれざる客

ex 善意と良識の果て

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 イチかバチかの勝負だった。
 転移ポイントは細かく指定できないが故に不測の事態に陥る可能性も事前に想定していたが、それでもかなり悪い目を引いたのが今回だった。

 こちらが最初に接触したい一般人ではなく、この世界を防衛しているウィザードと呼ばれる人間の前に現れてしまった事。
 そしてそのウィザードに、こちらに触れさせる為の精神攻撃が通用しなかった事。
 この二つが作戦を頓挫させるには十分すぎる程の悪い目だった。

 なのに。

「コイツはどうして一瞬躊躇った? 例え敵でも人間の姿をしていたからか? いや、ユイさんがロストするような世界だぞ。そんな世界の戦士がこんな事で止まるか?」

 一旦人間の姿に戻り、呆然と立ち尽くすウィザードの女を眺めながら銃の少女は考える。
 何故自分は勝利するに至ったのかを。

 正直かなりギリギリの状況だった。
 人の姿に切り替え飛び掛かったのは、本当に分の悪い賭けだった。
 後手に回ったあの状況では、かなりの高確率で自身の肉体はウィザードの女の周囲に展開された光の矢に撃ち抜かれていただろう。

 だけど奇跡が起きた。
 奇跡のような何かが起きて、その手が止まった。

 一体何がこの女をそうさせたのだろうか?

「ま、何でも良いか。終わった話だ。俺には関係ねえ」

 既に自分の駒となったどうでもいい人間が、どういう経緯でその手を止めたのかなんて事はどうでも良い。
 とにかくこちらにとって非常にありがたい奇跡のような事が起きた。
 その程度の認識で問題ない。

 それよりも考えるべきなのはこれからの事だ。

「……結果オーライだ。こういう奴が駒になったならより都合が良い」

 そして少女はただ突っ立っているウィザードの女に対して少女は問う。

「おい。俺がウィザードの連中に探知されないように、反応を消せるか?」

 その問いに返事は返ってこない。
 だけど代わりに右手が伸ばされ、魔術が発動した。

 そしておそらくそういう用途の魔術が少女に付与される。

「……よし」

 そして少女は小さく息を吐いてから、左手に拳を打ち付けて言う。

「作戦開始だ」

 そして、とある剣の少女とウイザードの交流の結果。
 ……銃の少女が動き出す。
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