98 / 115
2-1 招かれざる客
ex 招かれざる客 下
しおりを挟む昨日は、ふわっとしてても楽しかったなぁ。
あれは、ある意味『雑談部屋』の新しい正解だったんじゃないかな?
全員が知らない話題なら、ふわっとしたイメージだけで話をしても盛り上がるということ。これで、難しそうな話題が来ても肩ひじ張らずに行けそうだな。
イメージって大事だしなぁ。
イメージってすごく純粋な偏見だから、自分が知っている物のイメージを周りの人から聞いたりすると面白いよね。
ふわっとした感じのまま今日に来ちゃった気がする。
まぁ、こんなふわふわした感じでも、『雑談部屋』なら何とかなるでしょ。
甘々な認識をもって、俺は『雑談部屋』に入っていった。
今日もまた、白い空間に放り出された。
そしてどこからともなくアナウンスが鳴った。
”シチュエーションの設定、人物選択、話題選択が終了しました。
これより雑談を始めます。”
やっぱりアナウンスが止んだ。
やはり、雑談部屋で一番無駄な時間なう。
AIはここを修正しないのだろうか?
やっぱ、修正しないかぁ。
修正してくれないかなぁ。
毎回同じこと思ってるなぁ。
ある意味、これがルーティーンみたいなところあるしなぁ。
そう考えると、意味があるのかなぁ?
意味、あったのかな…
このルーティーンやめようかな?
どうしよう。
でも、これをやめて、調子崩したら辛いから、続けるかぁ。
再びアナウンスが鳴った。
”雑談所要時間は30分、盛り上がり等により自動で延長や短縮を行います。
シチュエーションは、『風力発電所がある海岸』です。
雑談に参加するメンバーは、『田中様』『九条様』『矢野様』『五十嵐様』です。
決まった役職、役割等はございません。ご気軽に参加してください。
それでは雑談を始めさせていただきます。
今回の話題は『クリーンコールデー』です。
それでは楽しい雑談の時間をお過ごしください。”
アナウンスがやんで、光に包まれた。
クリーンコールデーか。
クリーンコールデーかぁ…
厳ついのが来たなぁ。
字面だけなら全く見たことがないし、聞いたこともない。
シチュエーションが”風力発電所がある海岸”だから、多分エネルギー関係の何かか、電気関係の何かだと思う。
久しぶりに、まったく聞いたことがない話題になった。
そういえばそうだった。
まったく聞いたこともないものって、イメージすらできないから、ふわっとした話ってできないんだ。忘れてたぁ。
どうしようかなぁ。
何について話そう。
今日は、さすがにテーマを持って行かないと、確実に放送事故な時間ができてしまう気がする。
でもなぁ、テーマなんて浮かぶ気がしないんだよなぁ。
話題の内容をアナウンスさんに聞くしかないのかなぁ。
雑談が始まってから聞いて、それから頭をフル回転させれば、なんとかなりそうだ。
よし、それで行こう。
というか、それしかない気がする。
まぁ、知らない話題だし、そうなってしまうのもしょうがないよね。
自分の考えもまとまってきたし、いつも通りなら、そろそろ、光が収まるころかと思ったら、光の中でアナウンスが鳴った。
”九条様が、私用で『雑談部屋』から退出しました。
人数が、3人に減少しました。
『雑談部屋』を続行しますか?
投票を行います。
・『雑談部屋』を閉じて、メンバーを解散する。※ペナルティは発生しないものとする。
・3人で『雑談部屋』を続け、3人になったとしても雑談をする。
投票よろしくお願いします。”
俺は、久しぶりのめちゃムズ話題を少しだけでもやりたくなって来たので、後者に投票した。
投票の結果はどうなるんだろう?
再びアナウンスが鳴った。
”処理中
………
処理完了
投票の結果、前者の「『雑談部屋』を閉じて、メンバーを解散する。※ペナルティは発生しないものとする。」が過半数を獲得したため、『雑談部屋』を閉じさせていただきます。
光の中のままで不便かと思いますが、終了のアナウンスが来るまで、今しばらくお待ちください。『雑談部屋』のご利用ありがとうございました。”
どうやら、ふたりは前者を選んだらしい。
確かに、よく分からない、放送事故みたいな展開が容易にできる話題を通常時よりも一人少ない3人でやるのは、無理があったかもしれない。
まぁ、今日の話題なら、『雑談部屋』を閉じることになったけど、まったく文句はない。
あるとすれば、久しぶりに超ハードモードの話題に挑んでみたいとほんの少し思っただけだ。
今までで、一番長く光の中にいる。
さっきのアナウンスから、ゆったりと、しっかりと間を取ってアナウンスが鳴った。
”0分0秒00が経過しました。これから雑談をしようと思っていたと思いますが、教室の方に転送いたします。話し足りないかと思いますが、この話題はこの場限りといたしますようよろしくお願いします。教室で同じ話題をしたとしても特に罰則等はございませんが、ご協力よろしくお願いいたします。それと同じように、教室での話題をこの場に持ち込まないようよろしくお願いいたします。このアナウンスの内容を何度もお聞きになっていると思いますがなにとぞご協力よろしくお願いいたします。
多数決など、しっかりと決め方に納得した方法で、決まったことならば、決まったことに文句を言わず受け入れる人の方が、器が大きく見えます。
何か思うことがあっても、決まったことなのだから仕方がないと受け入れられるようになると、大人に見えます。
そんな度量のある大人になるために、今日の残りの時間も頑張ってください。
それでは教室にお送りいたします。
それでは良い学校生活を”
アナウンスが止んだ。
教室に戻ってきた。
戻ってきちゃったなぁ。
一人落ちちゃったし、あの話題だし、仕方ないかぁ。
ちゃんと雑談したかったなぁ。
だいぶ話し足りない感が強いなぁ。
この気持ちを明日まで大切にとっておいて、明日は、2日分話そう!!!
そうしよう!!
実際そうならなかったとしても、そういう気持ちで頑張れば、今日を頑張れそう。
0
お気に入りに追加
259
あなたにおすすめの小説
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。

ダンマス(異端者)
AN@RCHY
ファンタジー
幼女女神に召喚で呼び出されたシュウ。
元の世界に戻れないことを知って自由気ままに過ごすことを決めた。
人の作ったレールなんかのってやらねえぞ!
地球での痕跡をすべて消されて、幼女女神に召喚された風間修。そこで突然、ダンジョンマスターになって他のダンジョンマスターたちと競えと言われた。
戻りたくても戻る事の出来ない現実を受け入れ、異世界へ旅立つ。
始めこそ異世界だとワクワクしていたが、すぐに碇石からズレおかしなことを始めた。
小説になろうで『AN@CHY』名義で投稿している、同タイトルをアルファポリスにも投稿させていただきます。
向こうの小説を多少修正して投稿しています。
修正をかけながらなので更新ペースは不明です。
魔石と神器の物語 ~アイテムショップの美人姉妹は、史上最強の助っ人です!~
エール
ファンタジー
古代遺跡群攻略都市「イフカ」を訪れた新進気鋭の若き冒険者(ハンター)、ライナス。
彼が立ち寄った「魔法堂 白銀の翼」は、一風変わったアイテムを扱う魔道具専門店だった。
経営者は若い美人姉妹。
妹は自ら作成したアイテムを冒険の実践にて試用する、才能溢れる魔道具製作者。
そして姉の正体は、特定冒険者と契約を交わし、召喚獣として戦う闇の狂戦士だった。
最高純度の「超魔石」と「充魔石」を体内に埋め込まれた不死属性の彼女は、呪われし武具を纏い、補充用の魔石を求めて戦場に向かう。いつの日か、「人間」に戻ることを夢見て――。

異世界転生!俺はここで生きていく
おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。
同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。
今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。
だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。
意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった!
魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。
俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。
それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ!
小説家になろうでも投稿しています。
メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。
宜しくお願いします。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

ド田舎からやってきた少年、初めての大都会で無双する~今まで遊び場にしていたダンジョンは、攻略不可能の規格外ダンジョンだったみたい〜
むらくも航
ファンタジー
ド田舎の村で育った『エアル』は、この日旅立つ。
幼少の頃、おじいちゃんから聞いた話に憧れ、大都会で立派な『探索者』になりたいと思ったからだ。
そんなエアルがこれまでにしてきたことは、たった一つ。
故郷にあるダンジョンで体を動かしてきたことだ。
自然と共に生き、魔物たちとも触れ合ってきた。
だが、エアルは知らない。
ただの“遊び場”と化していたダンジョンは、攻略不可能のSSSランクであることを。
遊び相手たちは、全て最低でもAランクオーバーの凶暴な魔物たちであることを。
これは、故郷のダンジョンで力をつけすぎた少年エアルが、大都会で無自覚に無双し、羽ばたいていく物語──。

はぁ?とりあえず寝てていい?
夕凪
ファンタジー
嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。
※第二章は全体的に説明回が多いです。
<<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>

家族もチート!?な貴族に転生しました。
夢見
ファンタジー
月神 詩は神の手違いで死んでしまった…
そのお詫びにチート付きで異世界に転生することになった。
詩は異世界何を思い、何をするのかそれは誰にも分からない。
※※※※※※※※※
チート過ぎる転生貴族の改訂版です。
内容がものすごく変わっている部分と変わっていない部分が入り交じっております
※※※※※※※※※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる