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2-1 招かれざる客
26 エリートのやり方 下
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「ユイが連れ戻された場合のリスクは此処に居る全員が把握していると思う。そして他の人達がそれを知った場合も同じ認識になると思うわ。だからコイツが知っている事を洗いざらい吐くだけで、コイツの目的が達成されかねない」
そう持論を語る赤坂はユイの監査に来た人間だ。
東京本部内を含めユイの存在が認められつつあるこのタイミングになっても、今だユイに疑いの目を向けて乗り込んできた人間だ。
本人の言動にかなり抜けた所はあっても、あくまでもユイを敵と認識している筈の人間だ。
それなのに何故。
「……その方が伊月ちゃん的には都合が良いんじゃないんすか?」
そして鉄平の疑問を代弁するように、柚子が赤坂にそう問いかける。
その問いに赤坂は答えた。
「それが都合良くなるかどうかは、まだ分からないでしょ? ……アンタなんか勘違いしてない?」
「勘違い?」
「……私は別にユイの事を信用してはいない。アンタ達に表面上味方してくれているだけでちゃんと敵である可能性は今も捨ててない。そのスタンスを変えたつもりは無いわ」
だけど、と赤坂は言う。
「何も私は最初からユイを破壊する為の口実を探しに来たわけじゃない。あくまで監査。アンノウンは敵だって考えを持って、それを調べに来ただけよ。そしてまだユイが敵である証拠は何も見付かっていない」
そう言って赤坂は剣になっているユイに視線を向けて言う。
「推定無罪って奴よ。そんなユイの命が不当に奪われる可能性を見逃す事が出来るのなら、最初から不意打ちで殺してたわ」
「……その口振りだと赤坂さん自身は、ユイが敵じゃなかったら連れ戻されるリスクがあっても処分しちゃ駄目だって思ってるって事で良いんですか?」
「そりゃそうでしょ。何当たり前の事言ってるのアンタは」
鉄平の言葉に当然のようにそう返す赤坂。
「なんの落ち度も無いまともな奴ならそんな事しちゃ駄目でしょ普通に考えて……まともな奴ならの話だけど」
釘を刺すようにそう言ってから赤坂は続ける。
「まともな奴なら迷うことなくウィザード側の人間よ。敵に連れてかれたら危険だからとかふざけた理由で切り捨てないといけないんだったら私達はもう負けてるみたいなものでしょ……少なくとも私はそう思う。私はね? 他は知らないからこんなややこしい事になってるんだけど」
そこまで言った後、改めて赤坂は言う。
「あ、何度でも言うけどこれ本当にまともな奴だったらの話だからね! おかしな所が見つかったら私が全部東京本部に話す! だから別にアンタの味方って訳じゃ無いからね! 聞いてるユイ!」
『……ありがとうって伝えてくれるかの』
「了解。ユイがありがとうってさ」
「別に味方してる訳じゃないんだから、礼なんて言われる筋合いはないわ! 変な勘違いしないでよ!」
『ははは……でも敵ではない気がするのじゃ』
(……)
そういうユイの言葉にはあまり力が無い。
……まさか赤坂がそういう事を言ってくれるとは思わなくて、結果的に最悪な状況は免れたとは思う。
だけどこうしてユイがこの世界に居る事に対するリスクの話は間違いなくユイに刺さってしまっている。
東京本部や関係各所だけでなく、ユイにも今日の事は伝わるべきでは無かったのだと。
改めてそう思った。
そう持論を語る赤坂はユイの監査に来た人間だ。
東京本部内を含めユイの存在が認められつつあるこのタイミングになっても、今だユイに疑いの目を向けて乗り込んできた人間だ。
本人の言動にかなり抜けた所はあっても、あくまでもユイを敵と認識している筈の人間だ。
それなのに何故。
「……その方が伊月ちゃん的には都合が良いんじゃないんすか?」
そして鉄平の疑問を代弁するように、柚子が赤坂にそう問いかける。
その問いに赤坂は答えた。
「それが都合良くなるかどうかは、まだ分からないでしょ? ……アンタなんか勘違いしてない?」
「勘違い?」
「……私は別にユイの事を信用してはいない。アンタ達に表面上味方してくれているだけでちゃんと敵である可能性は今も捨ててない。そのスタンスを変えたつもりは無いわ」
だけど、と赤坂は言う。
「何も私は最初からユイを破壊する為の口実を探しに来たわけじゃない。あくまで監査。アンノウンは敵だって考えを持って、それを調べに来ただけよ。そしてまだユイが敵である証拠は何も見付かっていない」
そう言って赤坂は剣になっているユイに視線を向けて言う。
「推定無罪って奴よ。そんなユイの命が不当に奪われる可能性を見逃す事が出来るのなら、最初から不意打ちで殺してたわ」
「……その口振りだと赤坂さん自身は、ユイが敵じゃなかったら連れ戻されるリスクがあっても処分しちゃ駄目だって思ってるって事で良いんですか?」
「そりゃそうでしょ。何当たり前の事言ってるのアンタは」
鉄平の言葉に当然のようにそう返す赤坂。
「なんの落ち度も無いまともな奴ならそんな事しちゃ駄目でしょ普通に考えて……まともな奴ならの話だけど」
釘を刺すようにそう言ってから赤坂は続ける。
「まともな奴なら迷うことなくウィザード側の人間よ。敵に連れてかれたら危険だからとかふざけた理由で切り捨てないといけないんだったら私達はもう負けてるみたいなものでしょ……少なくとも私はそう思う。私はね? 他は知らないからこんなややこしい事になってるんだけど」
そこまで言った後、改めて赤坂は言う。
「あ、何度でも言うけどこれ本当にまともな奴だったらの話だからね! おかしな所が見つかったら私が全部東京本部に話す! だから別にアンタの味方って訳じゃ無いからね! 聞いてるユイ!」
『……ありがとうって伝えてくれるかの』
「了解。ユイがありがとうってさ」
「別に味方してる訳じゃないんだから、礼なんて言われる筋合いはないわ! 変な勘違いしないでよ!」
『ははは……でも敵ではない気がするのじゃ』
(……)
そういうユイの言葉にはあまり力が無い。
……まさか赤坂がそういう事を言ってくれるとは思わなくて、結果的に最悪な状況は免れたとは思う。
だけどこうしてユイがこの世界に居る事に対するリスクの話は間違いなくユイに刺さってしまっている。
東京本部や関係各所だけでなく、ユイにも今日の事は伝わるべきでは無かったのだと。
改めてそう思った。
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