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2-1 招かれざる客
ex 抱えられた爆弾
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「……どうやら本当に安全に着陸してくれるみたいだね」
「そうみたいですね」
上空のアンノウンを見上げながら風間杏が呟いた言葉に、他のウィザードへの指示を一通り行った後の神崎も頷く。
あれから篠原達と連絡を取り合っていたが、ディルバインと名乗った男の案内通りに内部を進んだ結果本人の言う通り管制室があり、言われた通りマニュアルも置かれていたらしい。
そして簡単な事さえ理解できれば素人でも最低限動かせるらしく、警察との打ち合わせの結果少し離れた海岸まで移動させそこに降ろす事となった。
こうした段取りがトントン拍子に行える程度にはディルバインの言葉に虚偽は無く、そして彼に着いて行った篠原達、特にユイに対し危害を与えるような素振りも無かったらしい。
更に言えばマニュアルを読ませる為にユイを元の姿に戻そうとした杉浦に対し、自分のような人間の前かつ敵陣の中で無防備になるなと叱責した上で、剣の状態のまま読ませるように勧めるなど、本当に直前まで戦っていた相手とは思えない支離滅裂さを見せている。
もっとも戦っている段階からああり普通とは言える相手では無かったようだが。
「ほんと潔いというかなんというか……」
「その潔さに打算が全く無い訳じゃないと思うけど、果たして実際の所どうなんだろうね」
「まあ話聞けるだけ聞きますよ……俺達の管轄で扱える内は」
神崎は今後の事を考え小さく溜息を吐く。
「あのディルバインって男、これからどうします?」
「どうって……私達の捕虜でしょ。このまま北陸支部に連れて帰ろう」
「それはそうですよ。俺が言いたいのはその後です」
神崎は難しい表情を浮かべて言う。
「ユイのように意思疎通の取れるアンノウンではなく、異世界人の捕虜ですからね。流石に東京本部が俺達に一任してくれるかどうか微妙な所ですよ。それどころか俺達異界管理局はダンジョンの管理と打ち漏らしたアンノウンの討伐を行う為の行政機関だ。人間の捕虜を扱う事は想定されていない。場合によっては本部どころか防衛省や外務省が絡んでくるかもしれない」
「確かにね……まあでもそれが適切な判断なら別に良いんじゃないかな?」
杏は一応そう言うが、それでも真剣な声音で言う。
「だけどマコっちゃん的にはそれは良くない事なんだよね」
「ええ。まあ俺がっていうよりは……杉浦やユイにとってって感じなんですがね」
「あの二人にとって?」
イマイチピンと来ていない杏に神崎は言う。
「杏さんも聞きましたよね。プロリナっていう俺達が知らない世界の存在の事と、その世界がユイを奪還しにくるかもしれないって話」
「……うん」
「そして今日の一件ではっきりした。ディルバインも言っていましたけど、異世界の人間は条件付きでしょうけどダンジョンを突破できる技術を有している。つまりユイの奪還も現実的に考えられる事なんです」
「……そうだね。でもそれがディルバインの身元を預かる組織がどこになるのかって話と関係ある?」
「ありますよ。大有りなんです」
神崎は言いにくそうに少し間を空けてから言った。
「……ユイの存在がプロリナという世界との火種に成りかねない事。そして終末兵器なんて大層な呼ばれ方をしたユイが敵国と言って差し支えない連中の元に戻る可能性があるという事。この情報を抱えた男が俺達の管轄以外に身を置くというのは、アイツらにとって洒落にならない爆弾ですよ」
「そうみたいですね」
上空のアンノウンを見上げながら風間杏が呟いた言葉に、他のウィザードへの指示を一通り行った後の神崎も頷く。
あれから篠原達と連絡を取り合っていたが、ディルバインと名乗った男の案内通りに内部を進んだ結果本人の言う通り管制室があり、言われた通りマニュアルも置かれていたらしい。
そして簡単な事さえ理解できれば素人でも最低限動かせるらしく、警察との打ち合わせの結果少し離れた海岸まで移動させそこに降ろす事となった。
こうした段取りがトントン拍子に行える程度にはディルバインの言葉に虚偽は無く、そして彼に着いて行った篠原達、特にユイに対し危害を与えるような素振りも無かったらしい。
更に言えばマニュアルを読ませる為にユイを元の姿に戻そうとした杉浦に対し、自分のような人間の前かつ敵陣の中で無防備になるなと叱責した上で、剣の状態のまま読ませるように勧めるなど、本当に直前まで戦っていた相手とは思えない支離滅裂さを見せている。
もっとも戦っている段階からああり普通とは言える相手では無かったようだが。
「ほんと潔いというかなんというか……」
「その潔さに打算が全く無い訳じゃないと思うけど、果たして実際の所どうなんだろうね」
「まあ話聞けるだけ聞きますよ……俺達の管轄で扱える内は」
神崎は今後の事を考え小さく溜息を吐く。
「あのディルバインって男、これからどうします?」
「どうって……私達の捕虜でしょ。このまま北陸支部に連れて帰ろう」
「それはそうですよ。俺が言いたいのはその後です」
神崎は難しい表情を浮かべて言う。
「ユイのように意思疎通の取れるアンノウンではなく、異世界人の捕虜ですからね。流石に東京本部が俺達に一任してくれるかどうか微妙な所ですよ。それどころか俺達異界管理局はダンジョンの管理と打ち漏らしたアンノウンの討伐を行う為の行政機関だ。人間の捕虜を扱う事は想定されていない。場合によっては本部どころか防衛省や外務省が絡んでくるかもしれない」
「確かにね……まあでもそれが適切な判断なら別に良いんじゃないかな?」
杏は一応そう言うが、それでも真剣な声音で言う。
「だけどマコっちゃん的にはそれは良くない事なんだよね」
「ええ。まあ俺がっていうよりは……杉浦やユイにとってって感じなんですがね」
「あの二人にとって?」
イマイチピンと来ていない杏に神崎は言う。
「杏さんも聞きましたよね。プロリナっていう俺達が知らない世界の存在の事と、その世界がユイを奪還しにくるかもしれないって話」
「……うん」
「そして今日の一件ではっきりした。ディルバインも言っていましたけど、異世界の人間は条件付きでしょうけどダンジョンを突破できる技術を有している。つまりユイの奪還も現実的に考えられる事なんです」
「……そうだね。でもそれがディルバインの身元を預かる組織がどこになるのかって話と関係ある?」
「ありますよ。大有りなんです」
神崎は言いにくそうに少し間を空けてから言った。
「……ユイの存在がプロリナという世界との火種に成りかねない事。そして終末兵器なんて大層な呼ばれ方をしたユイが敵国と言って差し支えない連中の元に戻る可能性があるという事。この情報を抱えた男が俺達の管轄以外に身を置くというのは、アイツらにとって洒落にならない爆弾ですよ」
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