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2-1 招かれざる客
22 真っ当なやり方
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「技術そのものって事は……自分達の世界にダンジョンを作りたい的な感じか?」
「まあ概ねそうなるよ。何せ今僕の居た世界が置かれている状況はお世辞にも良いとは言えないからね。その状況を打破する為にはキミ達の世界を守っているダンジョンの詳しい構造を知り、そして建造しなければならない。その為にこれまで何度も偵察機を送っていたんだけど、手強い事にキミ達は優秀だ。ダンジョンをすり抜けてもこうして潰される」
苦笑いを浮かべてからディルバインは続ける。
「ああ、ちなみに以前僕らが送った偵察機というのは、ニ十センチ程の人形だよ。周囲の風景に溶け込むステルス機能が搭載されている。見た事はあるかな?」
「ニ十センチ程の人形……」
記憶に無いのか小さく唸る赤坂。
そして鉄平も柚子も記憶を辿っている中、ユイが思い出したように言う。
『あ、鉄平アレじゃないかの? ほら鉄平の誕生日前日の。日付変わるまで頑張ってたじゃろ』
「ああ、アレか。そういや居たなそんなの」
「お、青年は見た事があるかい?」
「ああ。アンタの言ってる奴と本当に同じかは分からねえけど俺とユイでぶっ壊した」
その後酒でやらかした印象が強すぎたのと、探すのが大変だっただけで破壊そのものはあまりにも簡単だった事から、全く印象に残っていなかった。
(あれがディルバインところの……まあ確かに戦闘力皆無そうだったし、偵察機って言われたら納得だな……っていうか)
あの時と今回の事を比較して鉄平が問いかける。
「で、それなら今回のはなんだよ。偵察って感じの奴らじゃなかっただろ」
一般人を襲っていなかったとはいえ、明らかに戦闘力が高いアンノウンが多数このアンノウン内に積み込まれていた。
そもそもあの時のアンノウンと違って、隠れる事もせず堂々としている訳で……同じ目的とは捉えにくい。
それに対しディルバインは答える。
「そうだね。目的は同じでも過程は違う。あまり悠長に時間を掛けられなくなってきたんだ。今回は一時的でもより正確なデータを収集する為に基地局を作ろうと思ってね。その為には多少暴れる位の事はしないと駄目なんだ。具体的な事は話せば長くなるが」
「……長くなるなら何をどうしようとしていたかなんて話は一旦これで良いわ。どうせその具体的な話をあなたは下に降りてする事になるから」
「はははお手柔らかに頼むよ」
「それは私に言われても困るわ。多分それやるの私じゃないから。もう既に一人相手にするのに一杯一杯だしね」
「……?」
事情を知らないディルバインは小首を傾げる。
そんなディルバインに赤坂は問いかけた。
「でもこれだけは先に聞いといてもいいかしら。後で同じ事を聞かれるかもしれないけどね。個人的に気になるし」
そして赤坂は問いかける。
「これまでのアンタの話を鵜呑みにするなら、アンタの居た世界もこの世界みたいに侵略されようとしている。それに対抗する為にダンジョンが必要で、その技術を盗みに来た。目的はそれだけで、こちらの世界を侵略するような意図はない。そういう話だったわね」
「ああ。鵜呑みにしてくれるならな」
「だったら……色々とおかしいでしょ。もっとやり方は無かったの?」
「やり方とは」
「世界と世界を国に例えるなら……もっと真っ当な外交とか、そういうやり方もあったんじゃないの? 人と化物とかじゃなく、人と人なんだから」
「まあ概ねそうなるよ。何せ今僕の居た世界が置かれている状況はお世辞にも良いとは言えないからね。その状況を打破する為にはキミ達の世界を守っているダンジョンの詳しい構造を知り、そして建造しなければならない。その為にこれまで何度も偵察機を送っていたんだけど、手強い事にキミ達は優秀だ。ダンジョンをすり抜けてもこうして潰される」
苦笑いを浮かべてからディルバインは続ける。
「ああ、ちなみに以前僕らが送った偵察機というのは、ニ十センチ程の人形だよ。周囲の風景に溶け込むステルス機能が搭載されている。見た事はあるかな?」
「ニ十センチ程の人形……」
記憶に無いのか小さく唸る赤坂。
そして鉄平も柚子も記憶を辿っている中、ユイが思い出したように言う。
『あ、鉄平アレじゃないかの? ほら鉄平の誕生日前日の。日付変わるまで頑張ってたじゃろ』
「ああ、アレか。そういや居たなそんなの」
「お、青年は見た事があるかい?」
「ああ。アンタの言ってる奴と本当に同じかは分からねえけど俺とユイでぶっ壊した」
その後酒でやらかした印象が強すぎたのと、探すのが大変だっただけで破壊そのものはあまりにも簡単だった事から、全く印象に残っていなかった。
(あれがディルバインところの……まあ確かに戦闘力皆無そうだったし、偵察機って言われたら納得だな……っていうか)
あの時と今回の事を比較して鉄平が問いかける。
「で、それなら今回のはなんだよ。偵察って感じの奴らじゃなかっただろ」
一般人を襲っていなかったとはいえ、明らかに戦闘力が高いアンノウンが多数このアンノウン内に積み込まれていた。
そもそもあの時のアンノウンと違って、隠れる事もせず堂々としている訳で……同じ目的とは捉えにくい。
それに対しディルバインは答える。
「そうだね。目的は同じでも過程は違う。あまり悠長に時間を掛けられなくなってきたんだ。今回は一時的でもより正確なデータを収集する為に基地局を作ろうと思ってね。その為には多少暴れる位の事はしないと駄目なんだ。具体的な事は話せば長くなるが」
「……長くなるなら何をどうしようとしていたかなんて話は一旦これで良いわ。どうせその具体的な話をあなたは下に降りてする事になるから」
「はははお手柔らかに頼むよ」
「それは私に言われても困るわ。多分それやるの私じゃないから。もう既に一人相手にするのに一杯一杯だしね」
「……?」
事情を知らないディルバインは小首を傾げる。
そんなディルバインに赤坂は問いかけた。
「でもこれだけは先に聞いといてもいいかしら。後で同じ事を聞かれるかもしれないけどね。個人的に気になるし」
そして赤坂は問いかける。
「これまでのアンタの話を鵜呑みにするなら、アンタの居た世界もこの世界みたいに侵略されようとしている。それに対抗する為にダンジョンが必要で、その技術を盗みに来た。目的はそれだけで、こちらの世界を侵略するような意図はない。そういう話だったわね」
「ああ。鵜呑みにしてくれるならな」
「だったら……色々とおかしいでしょ。もっとやり方は無かったの?」
「やり方とは」
「世界と世界を国に例えるなら……もっと真っ当な外交とか、そういうやり方もあったんじゃないの? 人と化物とかじゃなく、人と人なんだから」
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