魔剣拾った。同居した。

山外大河

文字の大きさ
上 下
84 / 115
2-1 招かれざる客

22 真っ当なやり方

しおりを挟む
「技術そのものって事は……自分達の世界にダンジョンを作りたい的な感じか?」

「まあ概ねそうなるよ。何せ今僕の居た世界が置かれている状況はお世辞にも良いとは言えないからね。その状況を打破する為にはキミ達の世界を守っているダンジョンの詳しい構造を知り、そして建造しなければならない。その為にこれまで何度も偵察機を送っていたんだけど、手強い事にキミ達は優秀だ。ダンジョンをすり抜けてもこうして潰される」

 苦笑いを浮かべてからディルバインは続ける。

「ああ、ちなみに以前僕らが送った偵察機というのは、ニ十センチ程の人形だよ。周囲の風景に溶け込むステルス機能が搭載されている。見た事はあるかな?」

「ニ十センチ程の人形……」

 記憶に無いのか小さく唸る赤坂。
 そして鉄平も柚子も記憶を辿っている中、ユイが思い出したように言う。

『あ、鉄平アレじゃないかの? ほら鉄平の誕生日前日の。日付変わるまで頑張ってたじゃろ』

「ああ、アレか。そういや居たなそんなの」

「お、青年は見た事があるかい?」

「ああ。アンタの言ってる奴と本当に同じかは分からねえけど俺とユイでぶっ壊した」

 その後酒でやらかした印象が強すぎたのと、探すのが大変だっただけで破壊そのものはあまりにも簡単だった事から、全く印象に残っていなかった。

(あれがディルバインところの……まあ確かに戦闘力皆無そうだったし、偵察機って言われたら納得だな……っていうか)

 あの時と今回の事を比較して鉄平が問いかける。

「で、それなら今回のはなんだよ。偵察って感じの奴らじゃなかっただろ」

 一般人を襲っていなかったとはいえ、明らかに戦闘力が高いアンノウンが多数このアンノウン内に積み込まれていた。
 そもそもあの時のアンノウンと違って、隠れる事もせず堂々としている訳で……同じ目的とは捉えにくい。
 それに対しディルバインは答える。

「そうだね。目的は同じでも過程は違う。あまり悠長に時間を掛けられなくなってきたんだ。今回は一時的でもより正確なデータを収集する為に基地局を作ろうと思ってね。その為には多少暴れる位の事はしないと駄目なんだ。具体的な事は話せば長くなるが」

「……長くなるなら何をどうしようとしていたかなんて話は一旦これで良いわ。どうせその具体的な話をあなたは下に降りてする事になるから」

「はははお手柔らかに頼むよ」

「それは私に言われても困るわ。多分それやるの私じゃないから。もう既に一人相手にするのに一杯一杯だしね」

「……?」

 事情を知らないディルバインは小首を傾げる。
 そんなディルバインに赤坂は問いかけた。

「でもこれだけは先に聞いといてもいいかしら。後で同じ事を聞かれるかもしれないけどね。個人的に気になるし」

 そして赤坂は問いかける。

「これまでのアンタの話を鵜呑みにするなら、アンタの居た世界もこの世界みたいに侵略されようとしている。それに対抗する為にダンジョンが必要で、その技術を盗みに来た。目的はそれだけで、こちらの世界を侵略するような意図はない。そういう話だったわね」

「ああ。鵜呑みにしてくれるならな」

「だったら……色々とおかしいでしょ。もっとやり方は無かったの?」

「やり方とは」

「世界と世界を国に例えるなら……もっと真っ当な外交とか、そういうやり方もあったんじゃないの? 人と化物とかじゃなく、人と人なんだから」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

没落貴族の異世界領地経営!~生産スキルでガンガン成り上がります!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生した元日本人ノエルは、父の急死によりエトワール伯爵家を継承することになった。 亡くなった父はギャンブルに熱中し莫大な借金をしていた。 さらに借金を国王に咎められ、『王国貴族の恥!』と南方の辺境へ追放されてしまう。 南方は魔物も多く、非常に住みにくい土地だった。 ある日、猫獣人の騎士現れる。ノエルが女神様から与えられた生産スキル『マルチクラフト』が覚醒し、ノエルは次々と異世界にない商品を生産し、領地経営が軌道に乗る。

もふもふの王国

佐乃透子(不定期更新中)
ファンタジー
ほのぼの子育てファンタジーを目指しています。 OLな水無月が、接待飲み会の後、出会ったもふもふ。 このもふもふは…… 子供達の会話は読みやすさ重視で、漢字変換しています。

はぁ?とりあえず寝てていい?

夕凪
ファンタジー
嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。 ※第二章は全体的に説明回が多いです。 <<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>

黄金蒐覇のグリード 〜力と財貨を欲しても、理性と対価は忘れずに〜

黒城白爵
ファンタジー
 とある異世界を救い、元の世界へと帰還した玄鐘理音は、その後の人生を平凡に送った末に病でこの世を去った。  死後、不可思議な空間にいた謎の神性存在から、異世界を救った報酬として全盛期の肉体と変質したかつての力である〈強欲〉を受け取り、以前とは別の異世界にて第二の人生をはじめる。  自由気儘に人を救い、スキルやアイテムを集め、敵を滅する日々は、リオンの空虚だった心を満たしていく。  黄金と力を蒐集し目指すは世界最高ランクの冒険者。  使命も宿命も無き救世の勇者は、今日も欲望と理性を秤にかけて我が道を往く。 ※ 更新予定日は【月曜日】と【金曜日】です。 ※第301話から更新時間を朝5時からに変更します。

「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした

御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。 異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。 女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。 ――しかし、彼は知らなかった。 転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――

異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!

枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕 タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】 3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!

天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。 彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。 精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。 晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。 死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。 「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」 晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。

処理中です...