74 / 115
2-1 招かれざる客
13 箱舟
しおりを挟む
鬼気迫る声音の柚子に促されて鉄平達三人もアンノウンの中に降り立つ。
当然何が起きてもおかしくないと、最大限の警戒心を纏って。
「柚子、一体どうした」
言いながら着地しした鉄平に、ふざけた様子の一切ない真剣な声音で柚葉言う。
「……大ピンチっすよ。色んな意味で」
柚子にそう言われながら周囲を見渡した。
「……ッ」
アンノウンの内部は例えるならば貨物機のような感じだった。
そう例えるに相応しく、セオリーを無視した積荷が乗っている。
「……冗談でしょ?」
「できれば冗談であって欲しい所だが」
同じく突入してきた赤坂と篠原も、その光景を見てそう呟く。
そして目の前の状況の意味が分からなくて、鉄平は柚子に問いかける。
「なあ柚子」
「なんすか?」
「アンノウンって……基本一度に一体出現がセオリーだよな?」
「はい。だから色んな意味で大ピンチなんすよ」
そんな会話をする鉄平達の視界の先には二メートル強程で二足歩行のロボットのような何かが……目視で確認できる限り二、三十体程の恐らくアンノウンがそこに居た。
それが本当にアンノウンなのだとすれば、異常事態だ。
アンノウンの出現は一度のタイミングで基本的に一体に限られる。
何故ならそもそもこちらの世界にやって来るアンノウンをダンジョンが捌いた上で、それでも打ち漏らしたアンノウンが表に現れるからだ。
故に極々稀に二体出てくる事がイレギュラー中のイレギュラーで。
四級の鉄平でもこれがアンノウンの出現というイレギュラーの中でも更に異常に分類される事である事が理解できる。
と、その時インカムに管理局の通信室からの音声が入る。
『各員に通達! アンノウン内部に多数のアンノウンの反応を検知! 数40! どれもAランク相当です!』
「「「「……ッ!?」」」」
思わず息を飲んだ。
Aランクのアンノウンは当然ユイやジェノサイドボックスといった、フルパワーで稼働すれば一国が滅びかねない程の脅威ではない。
だがそれでもアンノウンの中では比較的上澄みである事は間違いなく、平均して一対一で相対した場合準一級で五分といった、それだけの脅威だ。
それが今、目の前に40体近く居る事が分かった。
……今勝てる勝てない以前にこういう事が起きる事自体が。起こされる事自体が最悪だ。
「……神崎の仮説通りか」
篠原は対戦車ライフルを消滅させ、代わりに懐から拳銃を二丁取り出しながら言う。
「……どうやら向うは一体を確実に通す事ができるようになったみたいだ」
「一体って40っすよ40!?」
「この一体の中に詰め込んできたんだ。船も何人乗客が乗っていようと一隻だろう」
「……そんな滅茶苦茶通るんですか!?」
「通ってんでしょ! クソ!」
そう言って赤坂は自身の周囲に光の矢を展開しながら言う。
「アンタ四級でしょ。逃げるなら今の内よ」
「いやいや、此処で皆置いて逃げらんねえでしょ! ただでさえこっち数少ねえのに!」
『そうじゃそうじゃ!』
「ユイもそう言ってる! それにッ!」
もう、自分達の身の安全がどうとかは言ってられない。
「なんでコイツらが外出ず大人しくしてたのかは分かんねえけど、放っときゃ外に出る! いくらなんでもそれはマズい!」
「同感っす。そんな訳でこの四人……いや、五人でやるっすか」
「ああ。幸い今此処に居るのは北陸支部が用意できる最高戦力だ」
そう答えて篠原は二丁拳銃を構える。
「準備は良いか。始めるぞ……これより内部のアンノウンの掃討作戦を開始する!」
そして銃声が鳴り響き、第二ラウンドが開幕する。
当然何が起きてもおかしくないと、最大限の警戒心を纏って。
「柚子、一体どうした」
言いながら着地しした鉄平に、ふざけた様子の一切ない真剣な声音で柚葉言う。
「……大ピンチっすよ。色んな意味で」
柚子にそう言われながら周囲を見渡した。
「……ッ」
アンノウンの内部は例えるならば貨物機のような感じだった。
そう例えるに相応しく、セオリーを無視した積荷が乗っている。
「……冗談でしょ?」
「できれば冗談であって欲しい所だが」
同じく突入してきた赤坂と篠原も、その光景を見てそう呟く。
そして目の前の状況の意味が分からなくて、鉄平は柚子に問いかける。
「なあ柚子」
「なんすか?」
「アンノウンって……基本一度に一体出現がセオリーだよな?」
「はい。だから色んな意味で大ピンチなんすよ」
そんな会話をする鉄平達の視界の先には二メートル強程で二足歩行のロボットのような何かが……目視で確認できる限り二、三十体程の恐らくアンノウンがそこに居た。
それが本当にアンノウンなのだとすれば、異常事態だ。
アンノウンの出現は一度のタイミングで基本的に一体に限られる。
何故ならそもそもこちらの世界にやって来るアンノウンをダンジョンが捌いた上で、それでも打ち漏らしたアンノウンが表に現れるからだ。
故に極々稀に二体出てくる事がイレギュラー中のイレギュラーで。
四級の鉄平でもこれがアンノウンの出現というイレギュラーの中でも更に異常に分類される事である事が理解できる。
と、その時インカムに管理局の通信室からの音声が入る。
『各員に通達! アンノウン内部に多数のアンノウンの反応を検知! 数40! どれもAランク相当です!』
「「「「……ッ!?」」」」
思わず息を飲んだ。
Aランクのアンノウンは当然ユイやジェノサイドボックスといった、フルパワーで稼働すれば一国が滅びかねない程の脅威ではない。
だがそれでもアンノウンの中では比較的上澄みである事は間違いなく、平均して一対一で相対した場合準一級で五分といった、それだけの脅威だ。
それが今、目の前に40体近く居る事が分かった。
……今勝てる勝てない以前にこういう事が起きる事自体が。起こされる事自体が最悪だ。
「……神崎の仮説通りか」
篠原は対戦車ライフルを消滅させ、代わりに懐から拳銃を二丁取り出しながら言う。
「……どうやら向うは一体を確実に通す事ができるようになったみたいだ」
「一体って40っすよ40!?」
「この一体の中に詰め込んできたんだ。船も何人乗客が乗っていようと一隻だろう」
「……そんな滅茶苦茶通るんですか!?」
「通ってんでしょ! クソ!」
そう言って赤坂は自身の周囲に光の矢を展開しながら言う。
「アンタ四級でしょ。逃げるなら今の内よ」
「いやいや、此処で皆置いて逃げらんねえでしょ! ただでさえこっち数少ねえのに!」
『そうじゃそうじゃ!』
「ユイもそう言ってる! それにッ!」
もう、自分達の身の安全がどうとかは言ってられない。
「なんでコイツらが外出ず大人しくしてたのかは分かんねえけど、放っときゃ外に出る! いくらなんでもそれはマズい!」
「同感っす。そんな訳でこの四人……いや、五人でやるっすか」
「ああ。幸い今此処に居るのは北陸支部が用意できる最高戦力だ」
そう答えて篠原は二丁拳銃を構える。
「準備は良いか。始めるぞ……これより内部のアンノウンの掃討作戦を開始する!」
そして銃声が鳴り響き、第二ラウンドが開幕する。
0
お気に入りに追加
259
あなたにおすすめの小説
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが……
アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。
そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。
実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。
剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。
アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

ダンマス(異端者)
AN@RCHY
ファンタジー
幼女女神に召喚で呼び出されたシュウ。
元の世界に戻れないことを知って自由気ままに過ごすことを決めた。
人の作ったレールなんかのってやらねえぞ!
地球での痕跡をすべて消されて、幼女女神に召喚された風間修。そこで突然、ダンジョンマスターになって他のダンジョンマスターたちと競えと言われた。
戻りたくても戻る事の出来ない現実を受け入れ、異世界へ旅立つ。
始めこそ異世界だとワクワクしていたが、すぐに碇石からズレおかしなことを始めた。
小説になろうで『AN@CHY』名義で投稿している、同タイトルをアルファポリスにも投稿させていただきます。
向こうの小説を多少修正して投稿しています。
修正をかけながらなので更新ペースは不明です。

異世界転生!俺はここで生きていく
おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。
同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。
今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。
だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。
意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった!
魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。
俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。
それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ!
小説家になろうでも投稿しています。
メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。
宜しくお願いします。

異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!
枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕
タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】
3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!

「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした
御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。
異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。
女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。
――しかし、彼は知らなかった。
転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――

無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです
竹桜
ファンタジー
無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。
だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。
その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。

はぁ?とりあえず寝てていい?
夕凪
ファンタジー
嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。
※第二章は全体的に説明回が多いです。
<<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる