71 / 115
2-1 招かれざる客
11 開戦の狼煙
しおりを挟む
「一応聞いといた方が良いかもしれないんで聞いときますけど、赤坂さんどんな風な戦闘スタイルで──」
「四級が難しい事気にするな! エリートの私が合わせるから好きに動いて!」
「はは、心強い……」
『そうじゃな』
ある程度接近した地点で車両から降りた鉄平は、そんな会話を交わしてから改めて上空に視線を向ける。
(……改めて見てもデカすぎるだろ)
……現状まだ上空を飛行しているだけで何もしてきてはいないが、ひとたび牙を向けばその巨体から何かしらの最悪が齎される事は容易に想像できた。
そうなる前に、終わらせる。
「じゃあ杉浦さん、景気よくやっちゃうっすよ!」
「おうよ。やるぞ、ユイ」
『了解じゃ』
ユイがそう言った瞬間、脳裏に力の使い方が流れ込んでくる。
放つのは斬撃。
ユイが地対空で放てる遠距離攻撃かつ、シンプルな破壊力だけを考えれば最高値を叩き出せるであろう一撃。
それを開戦の狼煙としてアンノウンにぶち込む。
最初の一手。できれば最後の一手であって欲しい行動はこれだ。
「これ一発で終わってくれ、よっと!」
言いながら上空のアンノウン目掛けて斬撃をぶっ放す。
そう、これで終わってくれればそれで良い。
この一撃で敵アンノウンを止め、そして杏の結界でその巨体を受け止めた後に現場のウィザード総出で事故処理を行う。
それが理想。
だがそれで終わるとは限らないから。
勉強して知った過去の色々な事例から察する事が出来るように、Sランク以上のアンノウンの相手をする事は決して簡単では無いから。
鉄平とユイ以外の三人は、その一撃で戦闘が終わらない事を前提に動いた。
「篠原さん! 伊月ちゃん!」
鉄平の斬撃と同時に柚子がそう叫ぶと、三人の前に小さな結界が出現する。
それを出現とほぼ同時に三人それぞれ踏み抜いた。
次の瞬間、鉄平の斬撃から僅かに遅れて、三人がアンノウン目掛けて勢いよくぶっ飛んだ。
最初に柚子達と戦った際に、遠くから物凄い速度で距離を詰めて来た柚子が使っていたのがこれだ。
攻撃を反射する結界を応用したカタパルト。
そしてそれを見送っている内に斬撃が、迎え撃つように展開されたシールドを破壊した後に着弾。
轟音と共に衝突した斬撃は、巨体を更に上空へと押し込むように押し上げる。
だが。
(……駄目か。硬ってえ)
貫通はしない。
そして動きが止まった様子もない。
着弾した地点、ひとまず腹と呼んでおく地面に向けられた面が大きくへこんだだけ。
シールドにかなり威力を殺されたか、そもそも地対空対策で相当装甲が厚いのか、その両方か。
それを見て杏が静かに言う。
「シールドは多分あっさり逝ったね。って事は本体が相当固い。あんまり下からの攻撃は効果的じゃないかな」
「じゃあ俺も上から叩きます! どのみち燃費クソ悪いから斬撃は連発したくねえんで!」
「頼んだぞ杉浦!」
「了解です! 行ってきます!」
神崎にそう言葉を返してから、柚子が残していった結界を力強く踏み抜く。
「……ッ!」
次の瞬間、鉄平の体は爆発的な推進力を纏って上空へと。
最前線へと弾き飛ばされた。
「四級が難しい事気にするな! エリートの私が合わせるから好きに動いて!」
「はは、心強い……」
『そうじゃな』
ある程度接近した地点で車両から降りた鉄平は、そんな会話を交わしてから改めて上空に視線を向ける。
(……改めて見てもデカすぎるだろ)
……現状まだ上空を飛行しているだけで何もしてきてはいないが、ひとたび牙を向けばその巨体から何かしらの最悪が齎される事は容易に想像できた。
そうなる前に、終わらせる。
「じゃあ杉浦さん、景気よくやっちゃうっすよ!」
「おうよ。やるぞ、ユイ」
『了解じゃ』
ユイがそう言った瞬間、脳裏に力の使い方が流れ込んでくる。
放つのは斬撃。
ユイが地対空で放てる遠距離攻撃かつ、シンプルな破壊力だけを考えれば最高値を叩き出せるであろう一撃。
それを開戦の狼煙としてアンノウンにぶち込む。
最初の一手。できれば最後の一手であって欲しい行動はこれだ。
「これ一発で終わってくれ、よっと!」
言いながら上空のアンノウン目掛けて斬撃をぶっ放す。
そう、これで終わってくれればそれで良い。
この一撃で敵アンノウンを止め、そして杏の結界でその巨体を受け止めた後に現場のウィザード総出で事故処理を行う。
それが理想。
だがそれで終わるとは限らないから。
勉強して知った過去の色々な事例から察する事が出来るように、Sランク以上のアンノウンの相手をする事は決して簡単では無いから。
鉄平とユイ以外の三人は、その一撃で戦闘が終わらない事を前提に動いた。
「篠原さん! 伊月ちゃん!」
鉄平の斬撃と同時に柚子がそう叫ぶと、三人の前に小さな結界が出現する。
それを出現とほぼ同時に三人それぞれ踏み抜いた。
次の瞬間、鉄平の斬撃から僅かに遅れて、三人がアンノウン目掛けて勢いよくぶっ飛んだ。
最初に柚子達と戦った際に、遠くから物凄い速度で距離を詰めて来た柚子が使っていたのがこれだ。
攻撃を反射する結界を応用したカタパルト。
そしてそれを見送っている内に斬撃が、迎え撃つように展開されたシールドを破壊した後に着弾。
轟音と共に衝突した斬撃は、巨体を更に上空へと押し込むように押し上げる。
だが。
(……駄目か。硬ってえ)
貫通はしない。
そして動きが止まった様子もない。
着弾した地点、ひとまず腹と呼んでおく地面に向けられた面が大きくへこんだだけ。
シールドにかなり威力を殺されたか、そもそも地対空対策で相当装甲が厚いのか、その両方か。
それを見て杏が静かに言う。
「シールドは多分あっさり逝ったね。って事は本体が相当固い。あんまり下からの攻撃は効果的じゃないかな」
「じゃあ俺も上から叩きます! どのみち燃費クソ悪いから斬撃は連発したくねえんで!」
「頼んだぞ杉浦!」
「了解です! 行ってきます!」
神崎にそう言葉を返してから、柚子が残していった結界を力強く踏み抜く。
「……ッ!」
次の瞬間、鉄平の体は爆発的な推進力を纏って上空へと。
最前線へと弾き飛ばされた。
0
お気に入りに追加
259
あなたにおすすめの小説
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
魔石と神器の物語 ~アイテムショップの美人姉妹は、史上最強の助っ人です!~
エール
ファンタジー
古代遺跡群攻略都市「イフカ」を訪れた新進気鋭の若き冒険者(ハンター)、ライナス。
彼が立ち寄った「魔法堂 白銀の翼」は、一風変わったアイテムを扱う魔道具専門店だった。
経営者は若い美人姉妹。
妹は自ら作成したアイテムを冒険の実践にて試用する、才能溢れる魔道具製作者。
そして姉の正体は、特定冒険者と契約を交わし、召喚獣として戦う闇の狂戦士だった。
最高純度の「超魔石」と「充魔石」を体内に埋め込まれた不死属性の彼女は、呪われし武具を纏い、補充用の魔石を求めて戦場に向かう。いつの日か、「人間」に戻ることを夢見て――。

はぁ?とりあえず寝てていい?
夕凪
ファンタジー
嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。
※第二章は全体的に説明回が多いです。
<<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>

異世界転生!俺はここで生きていく
おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。
同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。
今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。
だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。
意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった!
魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。
俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。
それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ!
小説家になろうでも投稿しています。
メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。
宜しくお願いします。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

ド田舎からやってきた少年、初めての大都会で無双する~今まで遊び場にしていたダンジョンは、攻略不可能の規格外ダンジョンだったみたい〜
むらくも航
ファンタジー
ド田舎の村で育った『エアル』は、この日旅立つ。
幼少の頃、おじいちゃんから聞いた話に憧れ、大都会で立派な『探索者』になりたいと思ったからだ。
そんなエアルがこれまでにしてきたことは、たった一つ。
故郷にあるダンジョンで体を動かしてきたことだ。
自然と共に生き、魔物たちとも触れ合ってきた。
だが、エアルは知らない。
ただの“遊び場”と化していたダンジョンは、攻略不可能のSSSランクであることを。
遊び相手たちは、全て最低でもAランクオーバーの凶暴な魔物たちであることを。
これは、故郷のダンジョンで力をつけすぎた少年エアルが、大都会で無自覚に無双し、羽ばたいていく物語──。

ここは貴方の国ではありませんよ
水姫
ファンタジー
傲慢な王子は自分の置かれている状況も理解出来ませんでした。
厄介ごとが多いですね。
裏を司る一族は見極めてから調整に働くようです。…まぁ、手遅れでしたけど。
※過去に投稿したモノを手直し後再度投稿しています。

家族もチート!?な貴族に転生しました。
夢見
ファンタジー
月神 詩は神の手違いで死んでしまった…
そのお詫びにチート付きで異世界に転生することになった。
詩は異世界何を思い、何をするのかそれは誰にも分からない。
※※※※※※※※※
チート過ぎる転生貴族の改訂版です。
内容がものすごく変わっている部分と変わっていない部分が入り交じっております
※※※※※※※※※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる