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2-1 招かれざる客
9 一歩引いた視点
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「ごめんね、来てたのは知ってたんだけど忙しくて全く顔出せなくて」
そう言ってどこか嬉しそうに声を掛ける杏に鉄平は尋ねる。
「赤坂さんと知り合いですか?」
その先の破滅云々で既にある程度察する事はできるが、一応投げかけた問いに杏は答える。
「そうだね。昔から所属は北陸第一だったんだけど、結構頻繁に本部の方に顔を出しててね。その時によく一緒になったんだ」
「何度もお世話になったわ」
「……逆じゃなくて?」
「どういう意味かな杉浦君」
「とにかくお久しぶりです。お元気でしたか?」
「おーい伊月ちゃんもとにかくスルーしないでー、杉浦君にツッコんでー!」
「元気そうですね」
「このまま行くんだ……まあうん、それなりにね。そっちも元気そうでなにより」
そう言った杏は自販機でブラックコーヒーを買いながら赤坂に言う。
「……その調子だと、何も見つからなかったのかな?」
「今は……まだ」
「そっか。でもまあ何も見付からないというのも一つの答えだと私は思うよ」
言いながらプルタブを空ける杏に赤坂は言う。
「……杏先輩はなんでそっち側なんですか。先輩が一番そこから離れた所にいないとおかしい筈でしょ。あんな事があったのになんで……」
「言いたい気持ちは分かるよ。実際私も最初は一歩引いた位置に立ってた。怖かったし警戒だってしてた。でもこういうのは理屈じゃないからさ……私はもう一度信じてみようって思ったんだ」
「……」
それを聞いて黙り混む赤坂に杏は言う。
「でも一応言っておくけど伊月ちゃん達の考えを全否定するつもりもないよ。そっちにも報告が行ってるような事を目の前で見て私は一歩前に踏み出した。だけどそれを聞いてもちゃんと距離を置いて冷静に物事を見れる人ってのは絶対に必要だから」
「……私は否定しますよ。取り入ろうとしている側が、自分の事を肯定させるような言動をするのは当然なんです」
「それで良いよ。そういう目線でこの件を見れる人は、私を含めもう此処にはいないから。伊月ちゃんはそれで良いんだ。その目で受け止めた事を本部に持って帰ってくれればいいよ」
そう言った杏は、鉄平とユイに視線を向けて言う。
「ユイちゃんもしばらくよろしくね。あんまり良い気分はしないかもしれないけど、分かってあげてほしい」
「大丈夫じゃ。別に嫌じゃない」
そう言ったユイは赤坂の目を見て言う。
「確か一週間とか言っておったな。改めて、短い間じゃがよろしくじゃ」
「監視される側がよろしくっておかしいでしょ……」
軽く溜め息を吐いてから赤坂はユイに言う。
「言っておくけど私はアンタが私に……いや、此処の人達に見せている言動は全部偽りの物だと思っているから……でもまあ無視するのは礼儀が悪いから言ってあげる」
そして一拍空けてから赤坂は言った。
「……よろしく」
そうやって、ぶっきらぼうに言葉が紡がれた……次の瞬間的だった。
「…………何か来るね」
「「「……?」」」
杏が重い表情と声音でそう呟いて、それから一瞬遅れて。
管理局内にアラートが鳴り響いた。
……アンノウンが出現したのだ。
そう言ってどこか嬉しそうに声を掛ける杏に鉄平は尋ねる。
「赤坂さんと知り合いですか?」
その先の破滅云々で既にある程度察する事はできるが、一応投げかけた問いに杏は答える。
「そうだね。昔から所属は北陸第一だったんだけど、結構頻繁に本部の方に顔を出しててね。その時によく一緒になったんだ」
「何度もお世話になったわ」
「……逆じゃなくて?」
「どういう意味かな杉浦君」
「とにかくお久しぶりです。お元気でしたか?」
「おーい伊月ちゃんもとにかくスルーしないでー、杉浦君にツッコんでー!」
「元気そうですね」
「このまま行くんだ……まあうん、それなりにね。そっちも元気そうでなにより」
そう言った杏は自販機でブラックコーヒーを買いながら赤坂に言う。
「……その調子だと、何も見つからなかったのかな?」
「今は……まだ」
「そっか。でもまあ何も見付からないというのも一つの答えだと私は思うよ」
言いながらプルタブを空ける杏に赤坂は言う。
「……杏先輩はなんでそっち側なんですか。先輩が一番そこから離れた所にいないとおかしい筈でしょ。あんな事があったのになんで……」
「言いたい気持ちは分かるよ。実際私も最初は一歩引いた位置に立ってた。怖かったし警戒だってしてた。でもこういうのは理屈じゃないからさ……私はもう一度信じてみようって思ったんだ」
「……」
それを聞いて黙り混む赤坂に杏は言う。
「でも一応言っておくけど伊月ちゃん達の考えを全否定するつもりもないよ。そっちにも報告が行ってるような事を目の前で見て私は一歩前に踏み出した。だけどそれを聞いてもちゃんと距離を置いて冷静に物事を見れる人ってのは絶対に必要だから」
「……私は否定しますよ。取り入ろうとしている側が、自分の事を肯定させるような言動をするのは当然なんです」
「それで良いよ。そういう目線でこの件を見れる人は、私を含めもう此処にはいないから。伊月ちゃんはそれで良いんだ。その目で受け止めた事を本部に持って帰ってくれればいいよ」
そう言った杏は、鉄平とユイに視線を向けて言う。
「ユイちゃんもしばらくよろしくね。あんまり良い気分はしないかもしれないけど、分かってあげてほしい」
「大丈夫じゃ。別に嫌じゃない」
そう言ったユイは赤坂の目を見て言う。
「確か一週間とか言っておったな。改めて、短い間じゃがよろしくじゃ」
「監視される側がよろしくっておかしいでしょ……」
軽く溜め息を吐いてから赤坂はユイに言う。
「言っておくけど私はアンタが私に……いや、此処の人達に見せている言動は全部偽りの物だと思っているから……でもまあ無視するのは礼儀が悪いから言ってあげる」
そして一拍空けてから赤坂は言った。
「……よろしく」
そうやって、ぶっきらぼうに言葉が紡がれた……次の瞬間的だった。
「…………何か来るね」
「「「……?」」」
杏が重い表情と声音でそう呟いて、それから一瞬遅れて。
管理局内にアラートが鳴り響いた。
……アンノウンが出現したのだ。
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