67 / 115
2-1 招かれざる客
7 監視
しおりを挟む
「とにかく私はアンタの事を一切信用していないわ!」
「テイク2じゃの」
ひとしきり盛り上がった後、仕切り直し。
「だから暫くアンタの事を監視させてもらうわ!」
「あの、これワシが言うのもアレなんじゃが……そう堂々と来られると仮にワシがヤバい奴だったとしてもヤバい部分隠せると思うのじゃが……根本的にやり方間違えてないかの?」
「おーと出たーッ! 此処でユイちゃんの鋭い正論パンチ!」
「柚子。賑やかしいのは良いと思うのじゃが、赤坂さんは真面目な話をしている訳じゃし、此処はちょっと抑えた方が良いと思うのじゃ。TPOをわきまえるというか」
「oh……鋭い正論パンチ……」
「すまんのウチの柚子が……態々東京から来てるのに申し訳ないのじゃ……」
「あ、別に気にしてないから大丈夫よ。お気遣いありがとね……じゃない! しっかりしろ私、気が抜けてわよ惑わされるな……アンノウンは敵アンノウンは敵アンノウンは敵……よし! アンタは私の敵!」
既にユイに陥落している疑惑が溢れ出ている赤坂は、胸を張ってユイの言葉に応える。
「それで私のやり方が間違っているかどうかって話だったわね。勿論間違ってないわ! 何せ私はエリートだから溢れ出る本性を正確に読み取る事が出来る!」
(……なら抜き打ちで来るなよって突っ込むのは野暮か)
一々突っ込んでたら話も進まないし此処は黙っておこうと思って口を閉じた鉄平の隣で、ここぞとばかりに柚子がノリノリで赤坂を指差す。
「ならなんで抜き打ちで来るんすか! こっちも暇じゃないんすよ!」
(言ったよ……いやお前なら言うと思ったけども)
「……確かにその通りね。やっている事がちぐはぐだわ。ごめん」
(……認めんのかよ謝んのかよ。そんで柚子、お前はしてやったりみたいなドヤ顔浮かべんな!)
腕を組み大勝利ご満悦といった表情を浮かべる柚子に内心苦笑した後、軌道修正の為に赤坂に声を掛ける。
「まあとにかく、今日一日ユイの監視をするんですよね?」
「ん? いやいや暫くって言ったでしょ。一週間位は見積もってるわ」
「……はい?」
思わず素でそんな声が出る。
「あの、赤坂さん。俺達明日の朝までがシフトで、そこから48時間は何事も無ければ休みなんですよ」
「まあ特別な事が無ければウィザードはそうね」
「つまりそれ以降は此処に居ないんですよ。プライベートです、プライベート」
「そうね。一週間一日中張り付かせて貰うわ!」
「えぇ……」
「ホテルに寝に帰ってる時以外はずっと監視してるから覚悟しなさいアンノウン」
「あ、そこは帰るんじゃな」
「まあ流石に知らない男の家で寝泊まりはできねえだろ」
「いやそれ以上に睡眠時とかも監視するのは流石にプライバシーが無さすぎるというかモラルが無いというか……あなた達が嫌じゃない? 越えちゃ行けない一線ってあるでしょ」
「……配慮して貰ってる側が言うのアレですけどそろそろ言わせてください。赤坂さん監査員向いてないですよ」
流石に我慢できなくなった。
この人良くも悪くも滅茶苦茶である。
多分悪い人ではないと思うのだが。
「は? 私エリートだから最強の監査できるんだけど! 四級の癖に馬鹿にすんな!」
「伊月ちゃん五級の時ジェノサイドボックスと戦えるだけの実力あったっすか?」
「……ッ! くそぅッ!」
「あと杉浦さん滅茶苦茶料理うまいっす!」
「くそおおおおおおおおおッ!」
「いやそれウィザード関係ねえだろ」
「……空いた時間で調理師免許取ってやる。負けたくないぃ……ッ」
「えぇ……」
「……元気出すのじゃ赤坂さん。一級ウィザードな上に、こういう仕事を一人で任せられるってきっと凄い事だと思うのじゃ」
「ありがとぉ……私の仲間アンタしかいないぃ……いやアンタ敵だ! 危ない危ない!」
……とにかく。
そんなエリートウィザード赤坂伊月による、最強の監査が始まったのだった。
「テイク2じゃの」
ひとしきり盛り上がった後、仕切り直し。
「だから暫くアンタの事を監視させてもらうわ!」
「あの、これワシが言うのもアレなんじゃが……そう堂々と来られると仮にワシがヤバい奴だったとしてもヤバい部分隠せると思うのじゃが……根本的にやり方間違えてないかの?」
「おーと出たーッ! 此処でユイちゃんの鋭い正論パンチ!」
「柚子。賑やかしいのは良いと思うのじゃが、赤坂さんは真面目な話をしている訳じゃし、此処はちょっと抑えた方が良いと思うのじゃ。TPOをわきまえるというか」
「oh……鋭い正論パンチ……」
「すまんのウチの柚子が……態々東京から来てるのに申し訳ないのじゃ……」
「あ、別に気にしてないから大丈夫よ。お気遣いありがとね……じゃない! しっかりしろ私、気が抜けてわよ惑わされるな……アンノウンは敵アンノウンは敵アンノウンは敵……よし! アンタは私の敵!」
既にユイに陥落している疑惑が溢れ出ている赤坂は、胸を張ってユイの言葉に応える。
「それで私のやり方が間違っているかどうかって話だったわね。勿論間違ってないわ! 何せ私はエリートだから溢れ出る本性を正確に読み取る事が出来る!」
(……なら抜き打ちで来るなよって突っ込むのは野暮か)
一々突っ込んでたら話も進まないし此処は黙っておこうと思って口を閉じた鉄平の隣で、ここぞとばかりに柚子がノリノリで赤坂を指差す。
「ならなんで抜き打ちで来るんすか! こっちも暇じゃないんすよ!」
(言ったよ……いやお前なら言うと思ったけども)
「……確かにその通りね。やっている事がちぐはぐだわ。ごめん」
(……認めんのかよ謝んのかよ。そんで柚子、お前はしてやったりみたいなドヤ顔浮かべんな!)
腕を組み大勝利ご満悦といった表情を浮かべる柚子に内心苦笑した後、軌道修正の為に赤坂に声を掛ける。
「まあとにかく、今日一日ユイの監視をするんですよね?」
「ん? いやいや暫くって言ったでしょ。一週間位は見積もってるわ」
「……はい?」
思わず素でそんな声が出る。
「あの、赤坂さん。俺達明日の朝までがシフトで、そこから48時間は何事も無ければ休みなんですよ」
「まあ特別な事が無ければウィザードはそうね」
「つまりそれ以降は此処に居ないんですよ。プライベートです、プライベート」
「そうね。一週間一日中張り付かせて貰うわ!」
「えぇ……」
「ホテルに寝に帰ってる時以外はずっと監視してるから覚悟しなさいアンノウン」
「あ、そこは帰るんじゃな」
「まあ流石に知らない男の家で寝泊まりはできねえだろ」
「いやそれ以上に睡眠時とかも監視するのは流石にプライバシーが無さすぎるというかモラルが無いというか……あなた達が嫌じゃない? 越えちゃ行けない一線ってあるでしょ」
「……配慮して貰ってる側が言うのアレですけどそろそろ言わせてください。赤坂さん監査員向いてないですよ」
流石に我慢できなくなった。
この人良くも悪くも滅茶苦茶である。
多分悪い人ではないと思うのだが。
「は? 私エリートだから最強の監査できるんだけど! 四級の癖に馬鹿にすんな!」
「伊月ちゃん五級の時ジェノサイドボックスと戦えるだけの実力あったっすか?」
「……ッ! くそぅッ!」
「あと杉浦さん滅茶苦茶料理うまいっす!」
「くそおおおおおおおおおッ!」
「いやそれウィザード関係ねえだろ」
「……空いた時間で調理師免許取ってやる。負けたくないぃ……ッ」
「えぇ……」
「……元気出すのじゃ赤坂さん。一級ウィザードな上に、こういう仕事を一人で任せられるってきっと凄い事だと思うのじゃ」
「ありがとぉ……私の仲間アンタしかいないぃ……いやアンタ敵だ! 危ない危ない!」
……とにかく。
そんなエリートウィザード赤坂伊月による、最強の監査が始まったのだった。
0
お気に入りに追加
259
あなたにおすすめの小説
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
没落貴族の異世界領地経営!~生産スキルでガンガン成り上がります!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生した元日本人ノエルは、父の急死によりエトワール伯爵家を継承することになった。
亡くなった父はギャンブルに熱中し莫大な借金をしていた。
さらに借金を国王に咎められ、『王国貴族の恥!』と南方の辺境へ追放されてしまう。
南方は魔物も多く、非常に住みにくい土地だった。
ある日、猫獣人の騎士現れる。ノエルが女神様から与えられた生産スキル『マルチクラフト』が覚醒し、ノエルは次々と異世界にない商品を生産し、領地経営が軌道に乗る。

クラス転移で神様に?
空見 大
ファンタジー
空想の中で自由を謳歌していた少年、晴人は、ある日突然現実と夢の境界を越えたような事態に巻き込まれる。
目覚めると彼は真っ白な空間にいた。
動揺するクラスメイト達、状況を掴めない彼の前に現れたのは「神」を名乗る怪しげな存在。彼はいままさにこのクラス全員が異世界へと送り込まれていると告げる。
神は異世界で生き抜く力を身に付けるため、自分に合った能力を自らの手で選び取れと告げる。クラスメイトが興奮と恐怖の狭間で動き出す中、自分の能力欄に違和感を覚えた晴人は手が進むままに動かすと他の者にはない力が自分の能力獲得欄にある事に気がついた。
龍神、邪神、魔神、妖精神、鍛治神、盗神。
六つの神の称号を手に入れ有頂天になる晴人だったが、クラスメイト達が続々と異世界に向かう中ただ一人取り残される。
神と二人っきりでなんとも言えない感覚を味わっていると、突如として鳴り響いた警告音と共に異世界に転生するという不穏な言葉を耳にする。
気が付けばクラスメイト達が転移してくる10年前の世界に転生した彼は、名前をエルピスに変え異世界で生きていくことになる──これは、夢見る少年が家族と運命の為に戦う物語。

はぁ?とりあえず寝てていい?
夕凪
ファンタジー
嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。
※第二章は全体的に説明回が多いです。
<<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>

黄金蒐覇のグリード 〜力と財貨を欲しても、理性と対価は忘れずに〜
黒城白爵
ファンタジー
とある異世界を救い、元の世界へと帰還した玄鐘理音は、その後の人生を平凡に送った末に病でこの世を去った。
死後、不可思議な空間にいた謎の神性存在から、異世界を救った報酬として全盛期の肉体と変質したかつての力である〈強欲〉を受け取り、以前とは別の異世界にて第二の人生をはじめる。
自由気儘に人を救い、スキルやアイテムを集め、敵を滅する日々は、リオンの空虚だった心を満たしていく。
黄金と力を蒐集し目指すは世界最高ランクの冒険者。
使命も宿命も無き救世の勇者は、今日も欲望と理性を秤にかけて我が道を往く。
※ 更新予定日は【月曜日】と【金曜日】です。
※第301話から更新時間を朝5時からに変更します。

「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした
御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。
異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。
女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。
――しかし、彼は知らなかった。
転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――

異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!
枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕
タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】
3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる