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1-3 新しい日常 新しい非日常
11 索敵
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「いや破壊しないと駄目だってのは分かりますけど、そ、そこら中で人が! つーか風間さんも!」
「これどうするのお姉ちゃん!? ジェノサイドボックスはどうにかしなきゃだけど、この人達放置する訳にも……というか出口無いのに人が出入口密集してるのもどうにかしないと──」
鉄平は当然ながら、流石に焦りが見えている柚子とは違い、ぐったりしながらも冷静に杏は言う。
「無責任な事を言うけど、出入り口付近の混乱を緩和するのは此処の警備員や従業員のアドリブでどうにかしてもらう。10年前の何も表に出ていなかった頃と比べればこういう状況はどこも一応想定されている筈だから、それに託す。倒れている人達の安全確保も、それこそ目の前で敵に襲われている人以外は目を瞑ろう」
「それ、マジで言ってるんですか……」
「ええ。その状況状況でできる事とできない事がある。全部拾っていけるような力は私達には無い。今私達にできる最善はこの状況の元凶を取り除く事だよ。柚子、ジェノサイドボックスの出現箇所の割り出しはもう始めてるよね?」
「やってる……やってるけどノイズが多い! そこら中からアンノウンの反応がする!」
「……ジェノサイドボックスの中に居るみたいなものだからね」
そう言った杏はフラリと視線をこちらに向ける。
「杉浦君とユイちゃんは?」
「……え?」
「向うの位置情報、探れたりしない?」
「えっと……」
異様な状況に呑まれて言葉に詰まる鉄平に、ユイが脳内に語り掛けてくる。
『鉄平! 正直ジェノサイドなんとかというのは良く分からんが、とにかくこの黒いのの出所を探れば良いんじゃな!? 倒れてる人をどうにかする方法を考えるより先にそっち優先で良いんじゃな!?』
「あ、ああ……できるのか?」
『やってみなきゃ分からん! でも直接助ける事よりは可能性があるのじゃ!』
そう言った瞬間、脳内に情報が流れ込んでくる。
ユイという武器の使い方。
ウィザードと戦っていた時と同じだ。
『やるのじゃ鉄平!』
「ちょっとユイの力、使ってみます!」
杏にそう言って鉄平はユイの刀身を床に突き付けた。
そして脳内の情報通りに力を発動する。
『多分柚子がやっているみたいに反応を探る様な事はワシには出来ん。じゃが……今触れている黒いのを辿る事なら!』
「……」
ユイの声を聞きながら、ジェノサイドボックスの影から情報を読み折る。
この広いショッピングモール全体に広がった影の出所。
生命力を吸い上げ、届ける場所。
その位置情報。
それを手繰り寄せる。
「……見付けた」
思った以上に早々にその情報に手が届いた。
「え、マジっすか!?」
「ああマジだ!」
「何処っすか!?」
「二階奥の本屋辺り!」
「だったら二人……いや、三人共行って」
肩を借りていた柚子からゆっくりと離れ、ふらつきながらも何とか立ったままの杏が言う。
「此処にいるウィザードの情報が届いたら私から位置情報の連絡をしておく。それまで三人で……いや、そうできる前に破壊できるなら、破壊して欲しい。杉浦君はどこまで知っているかは分からないけど、私は戦えないから……申し訳ないけど、後の事は頼むよ」
本当に申し訳なさそうな表情で。
「これどうするのお姉ちゃん!? ジェノサイドボックスはどうにかしなきゃだけど、この人達放置する訳にも……というか出口無いのに人が出入口密集してるのもどうにかしないと──」
鉄平は当然ながら、流石に焦りが見えている柚子とは違い、ぐったりしながらも冷静に杏は言う。
「無責任な事を言うけど、出入り口付近の混乱を緩和するのは此処の警備員や従業員のアドリブでどうにかしてもらう。10年前の何も表に出ていなかった頃と比べればこういう状況はどこも一応想定されている筈だから、それに託す。倒れている人達の安全確保も、それこそ目の前で敵に襲われている人以外は目を瞑ろう」
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「ええ。その状況状況でできる事とできない事がある。全部拾っていけるような力は私達には無い。今私達にできる最善はこの状況の元凶を取り除く事だよ。柚子、ジェノサイドボックスの出現箇所の割り出しはもう始めてるよね?」
「やってる……やってるけどノイズが多い! そこら中からアンノウンの反応がする!」
「……ジェノサイドボックスの中に居るみたいなものだからね」
そう言った杏はフラリと視線をこちらに向ける。
「杉浦君とユイちゃんは?」
「……え?」
「向うの位置情報、探れたりしない?」
「えっと……」
異様な状況に呑まれて言葉に詰まる鉄平に、ユイが脳内に語り掛けてくる。
『鉄平! 正直ジェノサイドなんとかというのは良く分からんが、とにかくこの黒いのの出所を探れば良いんじゃな!? 倒れてる人をどうにかする方法を考えるより先にそっち優先で良いんじゃな!?』
「あ、ああ……できるのか?」
『やってみなきゃ分からん! でも直接助ける事よりは可能性があるのじゃ!』
そう言った瞬間、脳内に情報が流れ込んでくる。
ユイという武器の使い方。
ウィザードと戦っていた時と同じだ。
『やるのじゃ鉄平!』
「ちょっとユイの力、使ってみます!」
杏にそう言って鉄平はユイの刀身を床に突き付けた。
そして脳内の情報通りに力を発動する。
『多分柚子がやっているみたいに反応を探る様な事はワシには出来ん。じゃが……今触れている黒いのを辿る事なら!』
「……」
ユイの声を聞きながら、ジェノサイドボックスの影から情報を読み折る。
この広いショッピングモール全体に広がった影の出所。
生命力を吸い上げ、届ける場所。
その位置情報。
それを手繰り寄せる。
「……見付けた」
思った以上に早々にその情報に手が届いた。
「え、マジっすか!?」
「ああマジだ!」
「何処っすか!?」
「二階奥の本屋辺り!」
「だったら二人……いや、三人共行って」
肩を借りていた柚子からゆっくりと離れ、ふらつきながらも何とか立ったままの杏が言う。
「此処にいるウィザードの情報が届いたら私から位置情報の連絡をしておく。それまで三人で……いや、そうできる前に破壊できるなら、破壊して欲しい。杉浦君はどこまで知っているかは分からないけど、私は戦えないから……申し訳ないけど、後の事は頼むよ」
本当に申し訳なさそうな表情で。
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