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1-3 新しい日常 新しい非日常
3 支部のトップの凄い人
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「そういや今更だけど、なんで支局長さんはユイと顔合わせてないんだ? 立場とか色々考えるともう既に接触してねえとおかしい気がするんだけど」
四人で医務室を出て局長室へと歩みを進めている中で気になってそう言ってみると、その疑問に神崎が答えてくれた。
「色々と仕事が溜まり過ぎて半分監禁みたいな状態になっているのも要因の一つだけど、結局俺達現場の判断を信用してくれたんだろ。だから、報告を聞くのも意思決定もその場で行われた」
「それ一つの要因が割合の大幅を締めてそうですね」
「精々八割程度だろ」
「大幅も大幅じゃの」
「まあ昔から夏休みの宿題とか最終日にやるタイプの人っすからね。人の事言えないっすけど。一緒に泣きながら頑張ったっすね」
はははと笑う柚子だが、笑い事じゃない。
今のところマイナスイメージしかない姉と同じ行動をしているのがあんまり笑えない。
「まさか風間さんも結構ポンコツなんじゃないか? この姉にしてこの妹みたいな」
「失礼っすね。そういう杉浦さんはどうなんすか。ちゃんと計画通りやってたんすか」
「俺はやってたぞ。余裕を持って夏休み終了5日前から始めてた」
「いや胸張って言うなよ、お前も人の事言えねえじゃねえか。七月中に終らせろ七月中に。風間お前もすっげえって視線向けるな凄くねえよ全然」
そう言ってため息を吐いた神崎は、一拍空けてから続ける。
「お前マジでしっかりしろよ。書類上お前は明日からウィザード内定してる訳だけど、これから山のように覚えていかねえといけない事が有るんだから」
「分かってますよ。子供じゃないんですから、やる事は全力でやっていくつもりです。それに学校の勉強よりも、明確にやらないといけない理由ってのが分かってますからね。モチベーションが違いますよモチベーションが」
「なら良い。頼むぞマジで」
「了解です」
(……俺だけの事じゃないしな)
自分がやるかやらないかの先に掛かっている命がある。
それを守る為に道を引いてくれた人達がいる。
自分の事だけを考えて、楽な方には進めない。
「ま、ウィザードの事勉強していて、資料とかみても分かんない事が有ったら気軽に聞いて欲しいっす」
「助かるよ風間さん」
「いや、聞くなら俺にしろ。ソイツは実践の実力だけで実質特例で準一級に上り詰めた例外だ。でも馬鹿だから試験受かんなくて一級になれてねえんだ。そんな奴に聞くな」
「しゃーないじゃないっすか! こっちは高校の勉強も一緒にやってるんすよ!」
「名前書きゃ受かる様なレベルの高校で赤点回避してガッツポーズしてる奴が何言ってんだ。余裕持って点数取ってから言えそんな事は」
「ぐぬぬ……」
「あ、ちなみに杉浦出身この辺?」
「そうですね。地元民です」
「出身校どこだ?」
「制服見た感じ風間さんと同じとこですね」
「…………お前本当にこれから先大丈夫か? ほんと覚える事滅茶苦茶あるぞ?」
「心配しないでくださいよ。これでも赤点取った回数はゼロ。学年順位も中の下くらいは維持してたんですから」
「維持すんなそんなとこ!」
「ていうか杉浦さんウチの先輩なんすね。てことはウィザードとしては後輩だけど年上だし同じ高校のOBだし……うん、接し方ややこしいっすねこれ」
「確かに」
こちらとしても母校の後輩で年下で後輩みたいな喋り方してて、だけど職場ではこっちが後輩みたいな物凄い面倒な感じになってしまっている。
「ああ、そうだ杉浦さん。ずっと私の事風間さんって言ってるっすけど、さんは外して貰って構わないっす」
「え、良いの? 先輩じゃん此処の」
「なんか違和感凄いっすから。それに風間さんだとお姉ちゃんと被るし」
「ああそうか、これから会う人も風間さんなのか。じゃあ風間で」
「あーすっごいしっくり来るっすねこの方が」
「俺も凄いしっくり来たわ」
と、そんなやり取りをしていた所で先導していた神崎が、扉の前で足を止める。
「さて、そうこうしている内に到着だ」
「此処におるのか、支局長とやらが」
「ああ。改めてだが一応粗相が無いようにな。お前は特に」
神崎がユイにそう言うと、ユイは頷く。
「分かっておるのじゃ。なんかやらかしたら鉄平や篠原さん達の頑張りが無駄になりかねん訳じゃからな」
「分かってりゃいい。杉浦、お前もだぞ」
「分かってますよ」
言いながら考える。
(まあ願わくば色々言われてるけど、ちゃんと凄い人なんだってのが分かる感じであってくれたら助かるな。その方がやりやすいし、粗相しようがなくなるだろ)
そう考えている内に神崎が扉をノックする。
「支局長。杉浦鉄平とアンノウンのユイを連れてきました」
「いいよ、入って」
透き通った綺麗な声が耳に届く。
「失礼します」
そう言って局長室に入っていく神崎の後ろに鉄平達も続いた。
「失礼します」
「失礼するのじゃ」
言いながら部屋に入った鉄平達に反応するように、支局長……風間姉は椅子から立ち上がって言う。
「ごめんねこっちから行けなくて。私は風間杏。北陸第一支部の支局長です」
「……」
その姿を見た時、脳に軽く電流が走った。
(す、すっげえぇ……ッ)
ロングヘアーで整った顔付きで、透き通った綺麗な声。
そして出るところは出ていて、引っ込むところは引っ込んでるを完璧な形で実現させている圧倒的なナイスバディ。
何がとは言わないが……なんかこう、完璧。
(オイこの人凄い人じゃん! え、何? こんなの最強じゃん!)
最悪だった印象が一気に変動し始めたのを感じた。
四人で医務室を出て局長室へと歩みを進めている中で気になってそう言ってみると、その疑問に神崎が答えてくれた。
「色々と仕事が溜まり過ぎて半分監禁みたいな状態になっているのも要因の一つだけど、結局俺達現場の判断を信用してくれたんだろ。だから、報告を聞くのも意思決定もその場で行われた」
「それ一つの要因が割合の大幅を締めてそうですね」
「精々八割程度だろ」
「大幅も大幅じゃの」
「まあ昔から夏休みの宿題とか最終日にやるタイプの人っすからね。人の事言えないっすけど。一緒に泣きながら頑張ったっすね」
はははと笑う柚子だが、笑い事じゃない。
今のところマイナスイメージしかない姉と同じ行動をしているのがあんまり笑えない。
「まさか風間さんも結構ポンコツなんじゃないか? この姉にしてこの妹みたいな」
「失礼っすね。そういう杉浦さんはどうなんすか。ちゃんと計画通りやってたんすか」
「俺はやってたぞ。余裕を持って夏休み終了5日前から始めてた」
「いや胸張って言うなよ、お前も人の事言えねえじゃねえか。七月中に終らせろ七月中に。風間お前もすっげえって視線向けるな凄くねえよ全然」
そう言ってため息を吐いた神崎は、一拍空けてから続ける。
「お前マジでしっかりしろよ。書類上お前は明日からウィザード内定してる訳だけど、これから山のように覚えていかねえといけない事が有るんだから」
「分かってますよ。子供じゃないんですから、やる事は全力でやっていくつもりです。それに学校の勉強よりも、明確にやらないといけない理由ってのが分かってますからね。モチベーションが違いますよモチベーションが」
「なら良い。頼むぞマジで」
「了解です」
(……俺だけの事じゃないしな)
自分がやるかやらないかの先に掛かっている命がある。
それを守る為に道を引いてくれた人達がいる。
自分の事だけを考えて、楽な方には進めない。
「ま、ウィザードの事勉強していて、資料とかみても分かんない事が有ったら気軽に聞いて欲しいっす」
「助かるよ風間さん」
「いや、聞くなら俺にしろ。ソイツは実践の実力だけで実質特例で準一級に上り詰めた例外だ。でも馬鹿だから試験受かんなくて一級になれてねえんだ。そんな奴に聞くな」
「しゃーないじゃないっすか! こっちは高校の勉強も一緒にやってるんすよ!」
「名前書きゃ受かる様なレベルの高校で赤点回避してガッツポーズしてる奴が何言ってんだ。余裕持って点数取ってから言えそんな事は」
「ぐぬぬ……」
「あ、ちなみに杉浦出身この辺?」
「そうですね。地元民です」
「出身校どこだ?」
「制服見た感じ風間さんと同じとこですね」
「…………お前本当にこれから先大丈夫か? ほんと覚える事滅茶苦茶あるぞ?」
「心配しないでくださいよ。これでも赤点取った回数はゼロ。学年順位も中の下くらいは維持してたんですから」
「維持すんなそんなとこ!」
「ていうか杉浦さんウチの先輩なんすね。てことはウィザードとしては後輩だけど年上だし同じ高校のOBだし……うん、接し方ややこしいっすねこれ」
「確かに」
こちらとしても母校の後輩で年下で後輩みたいな喋り方してて、だけど職場ではこっちが後輩みたいな物凄い面倒な感じになってしまっている。
「ああ、そうだ杉浦さん。ずっと私の事風間さんって言ってるっすけど、さんは外して貰って構わないっす」
「え、良いの? 先輩じゃん此処の」
「なんか違和感凄いっすから。それに風間さんだとお姉ちゃんと被るし」
「ああそうか、これから会う人も風間さんなのか。じゃあ風間で」
「あーすっごいしっくり来るっすねこの方が」
「俺も凄いしっくり来たわ」
と、そんなやり取りをしていた所で先導していた神崎が、扉の前で足を止める。
「さて、そうこうしている内に到着だ」
「此処におるのか、支局長とやらが」
「ああ。改めてだが一応粗相が無いようにな。お前は特に」
神崎がユイにそう言うと、ユイは頷く。
「分かっておるのじゃ。なんかやらかしたら鉄平や篠原さん達の頑張りが無駄になりかねん訳じゃからな」
「分かってりゃいい。杉浦、お前もだぞ」
「分かってますよ」
言いながら考える。
(まあ願わくば色々言われてるけど、ちゃんと凄い人なんだってのが分かる感じであってくれたら助かるな。その方がやりやすいし、粗相しようがなくなるだろ)
そう考えている内に神崎が扉をノックする。
「支局長。杉浦鉄平とアンノウンのユイを連れてきました」
「いいよ、入って」
透き通った綺麗な声が耳に届く。
「失礼します」
そう言って局長室に入っていく神崎の後ろに鉄平達も続いた。
「失礼します」
「失礼するのじゃ」
言いながら部屋に入った鉄平達に反応するように、支局長……風間姉は椅子から立ち上がって言う。
「ごめんねこっちから行けなくて。私は風間杏。北陸第一支部の支局長です」
「……」
その姿を見た時、脳に軽く電流が走った。
(す、すっげえぇ……ッ)
ロングヘアーで整った顔付きで、透き通った綺麗な声。
そして出るところは出ていて、引っ込むところは引っ込んでるを完璧な形で実現させている圧倒的なナイスバディ。
何がとは言わないが……なんかこう、完璧。
(オイこの人凄い人じゃん! え、何? こんなの最強じゃん!)
最悪だった印象が一気に変動し始めたのを感じた。
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