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四章 冒険者達の休日

21 昇格試験

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 手続きから試験の実施までは僅かに待ち時間が発生する。
 その間にアリサが自宅に武器を取りに向かった。リーナはその付き添い。

「そういや実際の所、自分の本当のランクはいくつ位だと思ってんだ?」

 二人を待つ間、グレンがそんな事を聞いて来る。

「正直新しい制度の各ランクが具体的にどの位の強さを想定してんのかは分かんねえけど、前の感覚で言えばBランクの依頼をある程度安定して受けられる程度だと思う。Aは結構難しくてSはまず無理だな」

「じゃあ仮にそれをそのまま当て嵌めるとすりゃBか……うまく行けばAって所か」

「そんなとこかな」

「つー事は俺もそんな所か。とりあえず目標はAランクって事で」

「多分お前なら行けるだろ」

「俺で行けるならお前も行けるな」

 と、そんなやり取りを交わしていた時だった。

「お待たせっす!」

「武器一式持ってきました」

 アリサとリーナが戻ってきた。

「おう、お帰り……っていうか思ったより時間掛かってたけど何かあった?」

 別に時間的余裕はあるものの、なんか思ったより帰ってくるまで時間が掛かっていたわけで、少し気になって気いてみると、アリサ遠い目を浮かべて言う。

「えーっと……さっき地震、あったじゃないですか」

「あったな……うん、大体察した」

 多分家具倒れたりしてたんだろう。都が都らなくなってると見た。

 軽く片付けやってたんだろう。
 普通に一般的に不運な感じの話だ。
 ……俺んち大丈夫かな。

 まあとにかく、夜とか寝てるときに家具倒れてくるような事が無かっただけ不幸中の幸いか。

「ま、まあとにかく準備は出来たな。三人共、頑張れよ」

「はい!」

「はいっす!」

「了解」

「じゃあとりあえず……会場行くか」

 そして俺達は試験会場へと移動を始めた。



 ギルドには今回のような試験を始めとしたイベントを取り行う為の中規模のホールが用意されている。
 今回はそこで各々順番に試験を受けていく事になる訳だが。

「普通に観客いんのな」

「まあ此処で良い成績残した新人とかを勧誘したい連中もいる訳だからな。多分お前の実力を見たらそれなりに勧誘来ると思うぞ」

「勧誘……ね。じゃあそれ目的で俺の番見る奴は結構時間の無駄って事か」

「まあ内定してるっすからね」

「ああ。ってか考えてみりゃお前ら二人にも来るんじゃねえかな?」

「来ますかね?」

「まあ今のアリサちゃんが実質的に不運スキルの効力を失ってるって事はある程度周知されてるっぽいっすから。実力見たら無茶苦茶来ると思うっすよ」

「それ言ったらリーナさんだって前評判悪くないんですから、勧誘来るんじゃないですか?」

「来るっすかね」

 どこか楽しそうに二人はそんな会話を交わす。

「えーっと、あの……勧誘来ても受けるなよ」

「受ける訳無いじゃないですか」

「なんの心配してるんすか」

「あ、そうだな……うん、ありがと」

「まあとにかく俺達は勧誘が来る位全力でやればいい訳だ」

 そう言ってグレンは掌に拳を打ち付ける。

「じゃあまず俺が良い感じに先陣切ってやるよ」

「おう、頼んだ」

「上で応援してるっすよ」

「頑張ってください!」

 時間も良い感じになった所でグレンは待合室へと向かって歩き出す。
 さあ……試験開始だ。
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