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四章 冒険者達の休日
20 ランクアップチャレンジ 下
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「思い知らすったって……そんなもん、一体どうするんですか? なんかこう……実力行使に出られる機会があるとか?」
「あります。あるんです。制度が変わる時にウチの上の人間がなんとかうまい事捻じ込みました。やれるんですよ、実力行使」
待ってましたと言わんばかりにテンション高めにそう言う受付嬢さん。
なんか……普段とキャラ違くない? どんだけ不満あるんだよこの人。
……まあそれはひとまず置いておいて。
「あの、それってどういう感じの奴っすか?」
「ま、まさかとは思いますけど、ボクに公的機関のお偉いさんをボコボコにしろとかそういう事じゃないですよね?」
「そ、それは流石に違うんじゃないっすかね……」
「正解しててたまるか」
「そんな無茶苦茶な事提案してるような所なら、もっと違う機関のガサ入れ入ってますよ」
「じゃあ実際の所何するんだ?」
書類に目を通しながら会話に参加するグレンの問いに受付嬢さんは答える。
「これからグレンさんにやっていただく事と同じような事ですよ」
「同じような事……ああ、なるほど。確かにそれができれば、いくらでも実力がおかしい事を証明できるな」
「グレンさん。つまりどういう……」
「新規でギルドに登録する冒険者は、大体の実力を測る為のテストを行う。事前に聞いてた制度は今でも健在だ。つまりは……申請すれば、実力を測るテストを再度受けられる。そういう事だろ?」
「ご明察です。お一人一回限りとなりますが、与えられたランクに不満がある場合にテストを受けられます。実力以上のランクを貰えて有頂天になってる人も居たり、そもそも下手をすれば今よりランクが下がるなんて事もあって、挑戦してる人はそこまで多くはありませんが……アリサさんには是非チャレンジしていただきたいんです」
そして再び悪そうな笑みを浮かべる。
「最底辺のFランクにした冒険者がいきなり上位ランクに上り詰めれば向うのメンツも丸潰れ! 自分達の判断が無能だったと思い知る! いざ逆襲のチャンス!」
「な、なんか楽しそうっすね……」
「ええ、楽しいですよ」
そう言って受付嬢さんは笑みを浮かべる。
今度は悪い笑みというよりは純粋に綺麗な笑みで。
「私達に至らない事があったのは確かです。だけど私達は間接的にでも人様の命を預かるような仕事だと認識して日々精進してきました。だから……あんなデータを見た主観だけで乱雑に事を進めて口を出してくる馬鹿共に強く言い返せる機会ができるかもしれないってのは、本当に嬉しくて……そりゃ楽しくなりますよ」
……まあ確かに評定は本当に無茶苦茶で、実際実力以上のランクを貰って有頂天になっている馬鹿もいて、この人達はそういう馬鹿が死なないように頑張ってきた人達で。
……きっとそういう仕事に誇りをもってきた人達で。
だから自分達の意見を通しやすくなるかもしれない。
少しでも元の状態に戻せるかもしれないというのは、本当に嬉しい事なのだろう。
……とにかく、この話は俺達にとってもギルドの人達にとってもwin-winな話な訳で。
「それで……やりますよね、アリサさん」
「はい。ボクもクルージさん達と仕事できないと困りますし……お姉さん達が私達冒険者の事を良く考えて仕事をしてくれているのは知ってますから……ボク、頑張ります」
「はい!」
アリサは当然受けた。
……そして。
「じゃあ私もやるっすよ! 今のままじゃヤバイのは私もっすから。良いっすよね?」
「勿論です!」
リーナも受けるようだった。
リーナの場合どこまで上がれるかは分からないけれど、少なくとも下から二番目の現状が不当なのは間違いないのでほぼ確実に上がるだろう。
……多分一緒に仕事をするに支障の無いランクまで上がってくる筈だ。
そして上機嫌になった受付嬢さんの視線は……俺へと向けられる。
「さあ、次はクルージさんです。クルージさんも受けますよね」
「あの……多分だけど俺Sランクの実力も無いと思うんですよ」
「はい!」
「つまり受けたら下がる訳で……」
「はい!」
「えぇ」
有頂天になってる馬鹿とは違うけど態々下げに行くのもなぁって思ったけど……とても断りづらい。
まあ俺達四人で仕事をするには現状これだけ高いランクも必要ないだろう。
色々な人にランクを見られる現状、身の丈に合ってないランクのままで居たらトラブルに巻き込まれるかもしれないし……うん、まあいいか」
「……まあいいですけど」
「ありがとうございます! じゃあ三人共この書類を――」
「駄目ですよクルージさん」
書類を受け取ろうとした俺をアリサが制止する。
「何度も言いますけどクルージさんはまだ怪我人です。治ってからにしましょう!」
「あ、そっちの心配なんだ……」
まあとにかく、俺は今回見送りで。
アリサとリーナとそしてグレン。
この三人がテストを受ける事になった。
「あります。あるんです。制度が変わる時にウチの上の人間がなんとかうまい事捻じ込みました。やれるんですよ、実力行使」
待ってましたと言わんばかりにテンション高めにそう言う受付嬢さん。
なんか……普段とキャラ違くない? どんだけ不満あるんだよこの人。
……まあそれはひとまず置いておいて。
「あの、それってどういう感じの奴っすか?」
「ま、まさかとは思いますけど、ボクに公的機関のお偉いさんをボコボコにしろとかそういう事じゃないですよね?」
「そ、それは流石に違うんじゃないっすかね……」
「正解しててたまるか」
「そんな無茶苦茶な事提案してるような所なら、もっと違う機関のガサ入れ入ってますよ」
「じゃあ実際の所何するんだ?」
書類に目を通しながら会話に参加するグレンの問いに受付嬢さんは答える。
「これからグレンさんにやっていただく事と同じような事ですよ」
「同じような事……ああ、なるほど。確かにそれができれば、いくらでも実力がおかしい事を証明できるな」
「グレンさん。つまりどういう……」
「新規でギルドに登録する冒険者は、大体の実力を測る為のテストを行う。事前に聞いてた制度は今でも健在だ。つまりは……申請すれば、実力を測るテストを再度受けられる。そういう事だろ?」
「ご明察です。お一人一回限りとなりますが、与えられたランクに不満がある場合にテストを受けられます。実力以上のランクを貰えて有頂天になってる人も居たり、そもそも下手をすれば今よりランクが下がるなんて事もあって、挑戦してる人はそこまで多くはありませんが……アリサさんには是非チャレンジしていただきたいんです」
そして再び悪そうな笑みを浮かべる。
「最底辺のFランクにした冒険者がいきなり上位ランクに上り詰めれば向うのメンツも丸潰れ! 自分達の判断が無能だったと思い知る! いざ逆襲のチャンス!」
「な、なんか楽しそうっすね……」
「ええ、楽しいですよ」
そう言って受付嬢さんは笑みを浮かべる。
今度は悪い笑みというよりは純粋に綺麗な笑みで。
「私達に至らない事があったのは確かです。だけど私達は間接的にでも人様の命を預かるような仕事だと認識して日々精進してきました。だから……あんなデータを見た主観だけで乱雑に事を進めて口を出してくる馬鹿共に強く言い返せる機会ができるかもしれないってのは、本当に嬉しくて……そりゃ楽しくなりますよ」
……まあ確かに評定は本当に無茶苦茶で、実際実力以上のランクを貰って有頂天になっている馬鹿もいて、この人達はそういう馬鹿が死なないように頑張ってきた人達で。
……きっとそういう仕事に誇りをもってきた人達で。
だから自分達の意見を通しやすくなるかもしれない。
少しでも元の状態に戻せるかもしれないというのは、本当に嬉しい事なのだろう。
……とにかく、この話は俺達にとってもギルドの人達にとってもwin-winな話な訳で。
「それで……やりますよね、アリサさん」
「はい。ボクもクルージさん達と仕事できないと困りますし……お姉さん達が私達冒険者の事を良く考えて仕事をしてくれているのは知ってますから……ボク、頑張ります」
「はい!」
アリサは当然受けた。
……そして。
「じゃあ私もやるっすよ! 今のままじゃヤバイのは私もっすから。良いっすよね?」
「勿論です!」
リーナも受けるようだった。
リーナの場合どこまで上がれるかは分からないけれど、少なくとも下から二番目の現状が不当なのは間違いないのでほぼ確実に上がるだろう。
……多分一緒に仕事をするに支障の無いランクまで上がってくる筈だ。
そして上機嫌になった受付嬢さんの視線は……俺へと向けられる。
「さあ、次はクルージさんです。クルージさんも受けますよね」
「あの……多分だけど俺Sランクの実力も無いと思うんですよ」
「はい!」
「つまり受けたら下がる訳で……」
「はい!」
「えぇ」
有頂天になってる馬鹿とは違うけど態々下げに行くのもなぁって思ったけど……とても断りづらい。
まあ俺達四人で仕事をするには現状これだけ高いランクも必要ないだろう。
色々な人にランクを見られる現状、身の丈に合ってないランクのままで居たらトラブルに巻き込まれるかもしれないし……うん、まあいいか」
「……まあいいですけど」
「ありがとうございます! じゃあ三人共この書類を――」
「駄目ですよクルージさん」
書類を受け取ろうとした俺をアリサが制止する。
「何度も言いますけどクルージさんはまだ怪我人です。治ってからにしましょう!」
「あ、そっちの心配なんだ……」
まあとにかく、俺は今回見送りで。
アリサとリーナとそしてグレン。
この三人がテストを受ける事になった。
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