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三章 聖女さん、冒険者やります
36 聖女さん達、明日からの方針を決める 上
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うん、それは実行できるなら多分何よりも確実でしかも効率的なやり方だ。
そしてミーシャには多分それが実行できる。
同時にあの国の国王が……指示系統のトップがあの馬鹿だからこそ実行できる。
あの馬鹿は私利私欲で聖女を変えるようなどうしようもない馬鹿野郎だ。
逆に言えばその気にさえさせれば、良くも悪くも悪くも悪くもアイツ程フットワークの軽い権力者なんていないと思う。
そして……ミーシャには多分アイツをその気にさせる事ができる。
その気にさせられる人間だから、今聖女になっているのだから。
……いやでもそっか、まだ普通にパイプがあるって言える感じなんだ。
「その感じだと……まだあの国で聖女を続けていくつもりなんだ」
ミーシャは凄くまともな人だから、もしかしたらそういうパイプが繋がっている状態じゃなくなっているんじゃないかって思ったけど……。
もしくは無くすつもりなんじゃないかって思ったけど。
そんな私の問いに対してミーシャは言う。
「ええ、続けますわ。器ではないのは分かっていますが……どんな形であれ就任してしまった以上、簡単に責任を放棄するわけにはいきませんので」
「えーっと……なんかごめん。無理させてない?」
「アンナさんが謝る必要なんてありませんわ。その辺に関しては全面的にあの馬鹿が悪い訳ですから……いや、止められなかった私や周りの人間も同罪でしょうが」
……いや、これ絶対ミーシャは全く悪くないんだよね。
うん、ほんと……何も悪くない。
これはもう……しゃーないか。
「とりあえずさ、今後結界絡みで困った事があったら相談しに来てよ。協力できる範囲で協力するからさ」
「いいんですの?」
「引継ぎらしい引継ぎもしてないし、その辺は本来前任としてやっておかなきいけない事かなって。それに協力の話でいえば、今まさに私達が協力してもらう感じになってるしね。そのお返しも兼ねて」
ミーシャがこっちの都合に踏み込んで来てくれたなら、私だってミーシャの都合に無関係ではいられない。
最低限度……本当に最低限の事しかできないだろうけど、やれる事はやってあげよう。
引継ぎとかお返しとか、そういう事じゃなく。
深い事を考えなくても、そうした方が良いと思ったから。
「そうですか……ありがとうございますアンナさん」
そう言って頭を下げるミーシャ。
いや、ミーシャさんだね、目上の人だし……多分人間的に信頼できる人だし。
そしてそんなミーシャさんにマルコさんが問いかける。
「で、それはアンタに一任してもいいのか?」
「外務省の件ですわね。お任せください……と言いたい所ですが、残念ながら私は今この問題に片足を踏み入れた程度の人間です。果たして私一人で中継を担えるかは分かりません。それに流石にいつまでも結界を放置する訳にもいきませんから。皆様にご報告しに戻る事ももしかすると困難かもしれません……そこで」
そう言ってミーシャさんは……私の手を取った。
「アンナさん。無理にとは言いませんが、今回の話を円滑に進める為に、一時帰国してもらえません? 多分少しでも急いだ方が良いと思いますので明日にでも」
「……え、私?」
急だなとかそういうのは良いんだけど……私?
「はい。正直アンナさんが来てくださると色々な意味で話が早いと思うんです」
「い、いやちょっと待って! 確かに城の人間ともあの馬鹿とも面識はあるしそうかもだけど!」
「追放されているのに戻って良い訳がないと」
「そう、それ! マズいでしょ!」
私国外追放喰らってるからこの国に来たわけで!
まあ実家にまだ済んでるんだけど!
一時帰国どころか毎日帰ってるんだけど!
とにかく良い訳が無くない!?
だけどミーシャは言う。
「そもそもあなたの追放は不当にも程があります。その必要は無いかもしれませんが、この際その辺の問題も綺麗にしておきませんか?」
いや、それができれば結界で隠さなくても堂々と自宅に住めるんだけど……!
「いや、でも危なくない?」
「そもそも仮に近衛兵と衝突したとしても、あなたなら無傷で国外に出る位簡単な事でしょう?」
「「「「「確かに」」」」」
皆やルカ達がそう頷く。
いや、だけどもね……でも、まあ仕方ないか。
「……分かった、良いよ」
私はミーシャさんの提案に頷いた。
ミーシャさんの言う通り、彼女はまだこの問題に片足を踏み入れたばかりの実質部外者。その人に全部任せるのは申し訳ないし、なんかこう……私が行かなきゃ私以外の関係者の誰かが行く事になりそうだけど、私のいない所であの馬鹿の馬鹿さに誰かを晒したくない。申し訳なさすぎる。
だから……まあ、この際これで良い。
「決まりですわね」
「あ、ちょっと待ってください」
そう言って手を上げたのはシルヴィだ。
「どうしたのシルヴィ?」
「そういう事なら私も行きましょうか?」
「え、いいの? いやいやそうじゃなくて……どうして?」
「今いいの? って聞いた位にはそこまで気が乗ってる訳じゃないですよね? だったら私も行きますよ。何かあったとしても二人掛かりならある程度どうにかなりますよね」
「シルヴィ……ありがと」
ほんとありがたい!
本当にありがたいよ!
なんかあの馬鹿と顔合わせると思ったらその辺普通に億劫ではあるから、まともに話せる相手が増えるって点でも滅茶苦茶嬉しい!
そしてそれに続いてシズクも手を上げる。
「あ、じゃあボクも行くっすよ。受付嬢の仕事は謹慎中だし冒険者の仕事も無いし。あと色々な調査も同じようなタイミングでする流れになると思うんすけど、ボクが居てもそっちはあまり貢献できないと思うっすから」
「え、本当に!? シズクもありがとぉ……」
マジで嬉しい!
本当に助かるよ!
そしてシルヴィとシズクは、ステラの方へと視線を向ける。
「さてこの流れだと多分ですけど」
「どうっすかステラさん。一緒に行くっすか?」
「おう……と言いたい所だが、わりい」
そう言ってステラは申し訳なさそうに頭を下げる。
「明日以降はちょっと続けてバイトのシフトが入ってるんだ。ほんとごめん」
申し訳なさそうにそういうステラ。
だけどまあ、その辺は仕方ないよね。
ステラにとってはあのお店で働くことも凄く大事な事なんだろうしね。
むしろバイト頑張ってって感じだ。
「じゃあしゃーないっすね」
「アンナさんの事は任せてください」
「おう、頼むわ二人共……アンナも何かあったらすぐ逃げて来いよ。無理すんな」
「うん、了解。ステラも私達がいない間にこっちで何かあったら、その時はよろしく」
「おう、その辺は任せとけ」
そう言ってステラがグーサインを見せてくる。
うん、ステラがそう言ってくれるなら大体の事は大丈夫かな。
頼りになるし。
……そして頼りになると言えば。
頼りにする予定だった人の事を考えなければならない。
「しかしこうなったら……レリアさんはどうしよう」
「ふむ、そうじゃの。ワシまでお主に着いて行っても特に役割が無いからの……寧ろ早急に調べを勧めねばならぬなら、ワシは此処に留まるべきじゃ」
「ですよね」
……本当は一緒に来てもらって、私的に色々聞きたい事が有るんだけど……そういう訳にもいかないし。
明日出発前に誰かに預けておかないといけない。
……どうしよ。
ステラにでも頼もうかな……いや、でも基本バイトだろうし……。
と、そこで手を挙げたのは。
「あ、じゃあウチがレリアさんの指輪を預かる?」
先程レリアさんに丁度良い体と評価されていた……いや、評価されてしまっていたしーちゃんだ。
そしてミーシャには多分それが実行できる。
同時にあの国の国王が……指示系統のトップがあの馬鹿だからこそ実行できる。
あの馬鹿は私利私欲で聖女を変えるようなどうしようもない馬鹿野郎だ。
逆に言えばその気にさえさせれば、良くも悪くも悪くも悪くもアイツ程フットワークの軽い権力者なんていないと思う。
そして……ミーシャには多分アイツをその気にさせる事ができる。
その気にさせられる人間だから、今聖女になっているのだから。
……いやでもそっか、まだ普通にパイプがあるって言える感じなんだ。
「その感じだと……まだあの国で聖女を続けていくつもりなんだ」
ミーシャは凄くまともな人だから、もしかしたらそういうパイプが繋がっている状態じゃなくなっているんじゃないかって思ったけど……。
もしくは無くすつもりなんじゃないかって思ったけど。
そんな私の問いに対してミーシャは言う。
「ええ、続けますわ。器ではないのは分かっていますが……どんな形であれ就任してしまった以上、簡単に責任を放棄するわけにはいきませんので」
「えーっと……なんかごめん。無理させてない?」
「アンナさんが謝る必要なんてありませんわ。その辺に関しては全面的にあの馬鹿が悪い訳ですから……いや、止められなかった私や周りの人間も同罪でしょうが」
……いや、これ絶対ミーシャは全く悪くないんだよね。
うん、ほんと……何も悪くない。
これはもう……しゃーないか。
「とりあえずさ、今後結界絡みで困った事があったら相談しに来てよ。協力できる範囲で協力するからさ」
「いいんですの?」
「引継ぎらしい引継ぎもしてないし、その辺は本来前任としてやっておかなきいけない事かなって。それに協力の話でいえば、今まさに私達が協力してもらう感じになってるしね。そのお返しも兼ねて」
ミーシャがこっちの都合に踏み込んで来てくれたなら、私だってミーシャの都合に無関係ではいられない。
最低限度……本当に最低限の事しかできないだろうけど、やれる事はやってあげよう。
引継ぎとかお返しとか、そういう事じゃなく。
深い事を考えなくても、そうした方が良いと思ったから。
「そうですか……ありがとうございますアンナさん」
そう言って頭を下げるミーシャ。
いや、ミーシャさんだね、目上の人だし……多分人間的に信頼できる人だし。
そしてそんなミーシャさんにマルコさんが問いかける。
「で、それはアンタに一任してもいいのか?」
「外務省の件ですわね。お任せください……と言いたい所ですが、残念ながら私は今この問題に片足を踏み入れた程度の人間です。果たして私一人で中継を担えるかは分かりません。それに流石にいつまでも結界を放置する訳にもいきませんから。皆様にご報告しに戻る事ももしかすると困難かもしれません……そこで」
そう言ってミーシャさんは……私の手を取った。
「アンナさん。無理にとは言いませんが、今回の話を円滑に進める為に、一時帰国してもらえません? 多分少しでも急いだ方が良いと思いますので明日にでも」
「……え、私?」
急だなとかそういうのは良いんだけど……私?
「はい。正直アンナさんが来てくださると色々な意味で話が早いと思うんです」
「い、いやちょっと待って! 確かに城の人間ともあの馬鹿とも面識はあるしそうかもだけど!」
「追放されているのに戻って良い訳がないと」
「そう、それ! マズいでしょ!」
私国外追放喰らってるからこの国に来たわけで!
まあ実家にまだ済んでるんだけど!
一時帰国どころか毎日帰ってるんだけど!
とにかく良い訳が無くない!?
だけどミーシャは言う。
「そもそもあなたの追放は不当にも程があります。その必要は無いかもしれませんが、この際その辺の問題も綺麗にしておきませんか?」
いや、それができれば結界で隠さなくても堂々と自宅に住めるんだけど……!
「いや、でも危なくない?」
「そもそも仮に近衛兵と衝突したとしても、あなたなら無傷で国外に出る位簡単な事でしょう?」
「「「「「確かに」」」」」
皆やルカ達がそう頷く。
いや、だけどもね……でも、まあ仕方ないか。
「……分かった、良いよ」
私はミーシャさんの提案に頷いた。
ミーシャさんの言う通り、彼女はまだこの問題に片足を踏み入れたばかりの実質部外者。その人に全部任せるのは申し訳ないし、なんかこう……私が行かなきゃ私以外の関係者の誰かが行く事になりそうだけど、私のいない所であの馬鹿の馬鹿さに誰かを晒したくない。申し訳なさすぎる。
だから……まあ、この際これで良い。
「決まりですわね」
「あ、ちょっと待ってください」
そう言って手を上げたのはシルヴィだ。
「どうしたのシルヴィ?」
「そういう事なら私も行きましょうか?」
「え、いいの? いやいやそうじゃなくて……どうして?」
「今いいの? って聞いた位にはそこまで気が乗ってる訳じゃないですよね? だったら私も行きますよ。何かあったとしても二人掛かりならある程度どうにかなりますよね」
「シルヴィ……ありがと」
ほんとありがたい!
本当にありがたいよ!
なんかあの馬鹿と顔合わせると思ったらその辺普通に億劫ではあるから、まともに話せる相手が増えるって点でも滅茶苦茶嬉しい!
そしてそれに続いてシズクも手を上げる。
「あ、じゃあボクも行くっすよ。受付嬢の仕事は謹慎中だし冒険者の仕事も無いし。あと色々な調査も同じようなタイミングでする流れになると思うんすけど、ボクが居てもそっちはあまり貢献できないと思うっすから」
「え、本当に!? シズクもありがとぉ……」
マジで嬉しい!
本当に助かるよ!
そしてシルヴィとシズクは、ステラの方へと視線を向ける。
「さてこの流れだと多分ですけど」
「どうっすかステラさん。一緒に行くっすか?」
「おう……と言いたい所だが、わりい」
そう言ってステラは申し訳なさそうに頭を下げる。
「明日以降はちょっと続けてバイトのシフトが入ってるんだ。ほんとごめん」
申し訳なさそうにそういうステラ。
だけどまあ、その辺は仕方ないよね。
ステラにとってはあのお店で働くことも凄く大事な事なんだろうしね。
むしろバイト頑張ってって感じだ。
「じゃあしゃーないっすね」
「アンナさんの事は任せてください」
「おう、頼むわ二人共……アンナも何かあったらすぐ逃げて来いよ。無理すんな」
「うん、了解。ステラも私達がいない間にこっちで何かあったら、その時はよろしく」
「おう、その辺は任せとけ」
そう言ってステラがグーサインを見せてくる。
うん、ステラがそう言ってくれるなら大体の事は大丈夫かな。
頼りになるし。
……そして頼りになると言えば。
頼りにする予定だった人の事を考えなければならない。
「しかしこうなったら……レリアさんはどうしよう」
「ふむ、そうじゃの。ワシまでお主に着いて行っても特に役割が無いからの……寧ろ早急に調べを勧めねばならぬなら、ワシは此処に留まるべきじゃ」
「ですよね」
……本当は一緒に来てもらって、私的に色々聞きたい事が有るんだけど……そういう訳にもいかないし。
明日出発前に誰かに預けておかないといけない。
……どうしよ。
ステラにでも頼もうかな……いや、でも基本バイトだろうし……。
と、そこで手を挙げたのは。
「あ、じゃあウチがレリアさんの指輪を預かる?」
先程レリアさんに丁度良い体と評価されていた……いや、評価されてしまっていたしーちゃんだ。
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