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二章 聖女さん、新しい日常を謳歌します。

32 聖女さん達VS影の男Ⅰ

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 やる事は単純。
 雑魚相手と変わらない。

 各個撃破。
 一人一人順番に意識を落としていけば良い。
 その為に。その前にまずは雑魚を倒す。
 当然その間に絶え間なく攻撃は放たれるけれど……雑魚を相手にしながらも意識の九割はもう指輪持ちの連中へと向けている。
 雑魚の攻撃を捌くのはもう慣れた。

 だから実質、一旦防戦に持ち込んで手の内を観察しているのと変わりない。
 ……まあ見せたのは地面とか壁から棘生やす奴だけなんだけど。

 もしかしたらまともな攻撃手段は棘だけなのかな?
 そうでなくても、それ以上の攻撃手段を持ち合わせていないのかもしれない。

 だってそうこうしている内に雑魚もあと6人となっていて。
 私の方に四人。
 ルカの方に二人。
 それが片付き次第、アイツらを潰す訳だけど……言ってしまえば今が向うにとって一番優位を取れるタイミングの筈なんだよね。
 自分達以外に意識を向けなければならない対象が散らばってるんだから。

 でもその状況で私達に一発も有効打を入れられていない。
 ……この一番大切なタイミングでだよ。
 私が向うの操ってる奴なら、今が攻め時だと判断すると思う。

 と、そう思っていた時だった。
 いや、思うのを待っていたのかもしれない。
 ここまでただ雑魚の数を減らされ続け、いよいよというタイミングで。
 私達が状況を楽観視するようなタイミングで……私への攻撃が止んだ。

 ……その代わりに。

「ちょ……ルカ!」

 指輪持ち。
 そして残った雑魚の攻撃が、このタイミングで一斉にルカへと向けられる。
 ……単調に、雑魚を無駄に使い潰して対象を分散して攻撃してきた所からの、突然の切り替えし。
 確実にまず一人を倒す為の動きをしてきた。

 ……だけど、まあ焦る方が失礼だったかな。

「「「「「「な……ッ!?」」」」」」

 ルカはその攻撃の全てを最低限の動きと結界で回避しつつ、ルカの方に残っていた二人の雑魚も裏拳とアッパーカットで戦闘不能にする。
 そりゃそうだよ。

 ……多少手の込んだ事をした程度じゃ、コイツに攻撃を通すのは難しい。
 私が一発ぶん殴るのにどんだけ苦労したと思ってるのって話だよ。
 当たって貰っちゃ寧ろ私も負けた感じがするから嫌だし、これは素直に賞賛しておこうと思うよ

「「「「「「今のを捌き切るのか……ッ!?」」」」」」

 重なりハウリングする驚愕の声を聞きながら、ルカに攻撃を向けて完全に隙だらけになった雑魚を流れるように二人に拳を叩き込む。
 そしてすぐさま動き出したルカが残り二人を受け持ってくれて、これにて雑魚の意識を奪うのは終了。

 そして雑魚を全部倒し終えた所でルカが言う。

「この程度で俺達に攻撃を当てられると思うな」

「右に同じ。楽勝だよ」

 と、そう言った所で気付く。

「って、アンタ服の袖に一か所ちっちゃい切り込み入ってない? これ完全に当たってんじゃん」

「え、うわ、マジだ……………………そこは気付いても言うなよベルナール」

「あ、なんかごめん」

 と、やや恥ずかしそうに結構素で間の抜けた声を出したルカに謝ってから私達は、再び放たれた指輪持ちの攻撃を躱しながら言う。

「よし、じゃあこっからが本番!」

「お前達は俺達を倒すつもりだったようだが、あの攻撃でも俺達は実質無傷! 諦めて投降するのも視野に入れた方がいいぞ!」

 実質無傷ね……態々強調してきたよ。
 えーっと、指摘しなきゃよかったマジでごめん。

 まあでもとにかく……ルカの袖に傷が付く位の力はあるみたいだから、注意は切らさない。
 ……今日着てきた服、結構気に入ってるしね!
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