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二章 聖女さん、新しい日常を謳歌します。
24 聖女さん達、託す
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「頼みたい事……俺にか?」
「まず一つ。倒れているお前以外の三人の事を頼む」
「ああ、そりゃ勿論。一緒に外出るならなんとかするけど」
「そして二つ目。これが本題だ」
そしてルカは一拍空けてから言う。
「さっきお前は自虐していた時、先輩やボスならこんな事にはならなかった、みたいな事を言ってたな」
「言ってたが……」
「お前が一体どういう組織に所属しているのかは知らん。だがこの状況にある程度対抗できるような組織なんじゃないかと思う。それこそ一般人に毛が生えた程度と自負するお前の上司やボスは一般人では無いんだろう?」
「そりゃもうすげえ人達だ! 弱気を助け強気を挫く! この国を裏から支えてると言っても過言じゃないビックな人達よ!」
「裏から支えるってなんか漫画とかに出てくる、善良っぽいマフィアみたいだね」
私がそんな適当な事を言うと、男は露骨にビクりという反応を見せ。
「い、いや、そういうのじゃねえんだよなー」
とか言って口笛を吹き出す。
「あの、もうちょっとまともな誤魔化し方ないの?」
「これ答えですって言ってるようなものだぞ」
実は自慢したくて態々分かりやすい反応を取ったんじゃないかって疑いたくなってくるよ。
「……てことは裏に居るのマフィアなのか。さっきの頼みがあるってのは無かった事にしてもいいか?」
「というかどちらかというと悪人カテゴリじゃんアンタ」
「いや、まあ確かにマフィアだけど、そこまで人道から外れるような事はやっていないというか……多分」
「多分ってえらく曖昧じゃん」
「いや、だって新入りだし」
だけど、と男は言う。
「でも薬物出回るルート潰したり、それこそ人身売買の組織ぶっ潰したり……色々と助けて貰ったり。とにかく俺にとってはヒーローみてえな人らなんだ。あの人達を侮辱するような事をしたら、この事件を解決した後にぶっ飛ばす!」
「この事件の解決は待ってくれるんだ」
「そりゃそれどころじゃねえし……あ、いや、でも助けてもらった恩人にそんな事したら絶対長々と説教喰らうな……菓子折り持たされて謝りに行かされる未来が見える」
「おい、コイツの所属先本当にマフィアなのか?」
「さっきの報連相といい、一般優良企業な感じ凄くない?」
……うん、そんな風にしか思えないよ。
それこそシズクの職場の冒険者ギルドみたいに、絶妙な感じで和気藹々な雰囲気な気がする。
……そういえばあの部長さん、改めて考えてもカタギじゃない感じのビジュアルしてたよね。
マフィアみたいなビジュアルのカタギに一般企業みたいなマフィア。
私の中のマフィアのイメージが壊れる!
……いや、まあそんなのは別に壊れても良いんだけど。
「で、どうするの? なんか頼みたい事あったんでしょ? 頼むかどうかはアンタに任せるけど」
「そうだな……まあ此処は信用してみるか。それに……」
「それに?」
「いや、何でもない」
そう言ってはぐらかした後、ルカは言う。
「じゃあ改めて一つ頼んで良いか? お前の居る組織が善良であると見込んでだ」
「お、印象回復チャンスだな。俺は何をすればいい」
「此処で起きている事。お前が知っている事を報告して、可能なら早急にこの一件に人員を動かしてもらえ」
「……なるほど。援軍を呼んで来いって話だな。そんな事で良いならいくらでも頭下げてくる」
「よし……なら頼む」
言いながらルカは倒れている男達を一人一人外へと飛ばし始める。
……その頼みについて言いたいことは有ったけど、ひとまず口は挟まない事にした。
どうするのが正しいのかって事は、正直分かんなかったから。
そして一人一人飛ばしていくルカと私に対して男は言う。
「ただ援軍呼ぶって言っても、お前達は多分此処でそれを待つみたいな真似はしないだろ。だから俺から一つアドバイスをしとく」
「アドバイス?」
「此処から先に進んでいくと、多分転移魔術を使っての脱出は難しくなると思う」
「どういう事だ?」
「此処はまだ異質な感じのする地下水道って感じだが……此処から先というか下か。そこは魔術で作られた異空間みたいになっている。まともな形で外と繋がっているとは思わない方が良い」
「……そうか」
ルカが一瞬深刻そうな表情を浮かべたが、今は触れない事にした。
言いたい事は分かるけど……まあこの男が居なくなってからでも良いと思う。
そして男は言葉を続ける。
「そんで二つ目。指輪持ちには気を付けた方が良い」
「指輪持ち?」
「ああ。原理は良く分からねえけどあの指輪を使って明らかに実力以上の魔術を使ってくる奴が居る。俺が負けたのも指輪持ちだし、他にそういう連中が何人も居るのを操られてから確認した」
「……了解」
一応驚きながらも頷いた。
指輪を使って魔術を発動する。
もしくは出力を増幅させる。
それは理論上不可能な事じゃない。
実際この世界は魔術で溢れている。
電話やFAXから、それこそこの前私達がセッションしていた時のアンプだって、魔術を利用したシステムを構築して動いている。
だからそこから更に発展して、お手軽に強力な魔術そのものを使えたり、元から使える力を増幅したりなんてのも、きっと不可能な話じゃないと思う。
でもそれはきっとの話だ。
そんなのはまだ、近い将来できたら良いねっていう理想に過ぎない。
もしそういう物が実用化されているなら、私だって使うし、しーちゃんにも護身用で持たせてる。
……この話がただの勘違いならいいんだけど、もし本当の話だったら、相手は想像以上に厄介だ。
……だってその理想を形にできるだけの、魔術師としての。
研究者としての実績を持っているという事になるから。
「まず一つ。倒れているお前以外の三人の事を頼む」
「ああ、そりゃ勿論。一緒に外出るならなんとかするけど」
「そして二つ目。これが本題だ」
そしてルカは一拍空けてから言う。
「さっきお前は自虐していた時、先輩やボスならこんな事にはならなかった、みたいな事を言ってたな」
「言ってたが……」
「お前が一体どういう組織に所属しているのかは知らん。だがこの状況にある程度対抗できるような組織なんじゃないかと思う。それこそ一般人に毛が生えた程度と自負するお前の上司やボスは一般人では無いんだろう?」
「そりゃもうすげえ人達だ! 弱気を助け強気を挫く! この国を裏から支えてると言っても過言じゃないビックな人達よ!」
「裏から支えるってなんか漫画とかに出てくる、善良っぽいマフィアみたいだね」
私がそんな適当な事を言うと、男は露骨にビクりという反応を見せ。
「い、いや、そういうのじゃねえんだよなー」
とか言って口笛を吹き出す。
「あの、もうちょっとまともな誤魔化し方ないの?」
「これ答えですって言ってるようなものだぞ」
実は自慢したくて態々分かりやすい反応を取ったんじゃないかって疑いたくなってくるよ。
「……てことは裏に居るのマフィアなのか。さっきの頼みがあるってのは無かった事にしてもいいか?」
「というかどちらかというと悪人カテゴリじゃんアンタ」
「いや、まあ確かにマフィアだけど、そこまで人道から外れるような事はやっていないというか……多分」
「多分ってえらく曖昧じゃん」
「いや、だって新入りだし」
だけど、と男は言う。
「でも薬物出回るルート潰したり、それこそ人身売買の組織ぶっ潰したり……色々と助けて貰ったり。とにかく俺にとってはヒーローみてえな人らなんだ。あの人達を侮辱するような事をしたら、この事件を解決した後にぶっ飛ばす!」
「この事件の解決は待ってくれるんだ」
「そりゃそれどころじゃねえし……あ、いや、でも助けてもらった恩人にそんな事したら絶対長々と説教喰らうな……菓子折り持たされて謝りに行かされる未来が見える」
「おい、コイツの所属先本当にマフィアなのか?」
「さっきの報連相といい、一般優良企業な感じ凄くない?」
……うん、そんな風にしか思えないよ。
それこそシズクの職場の冒険者ギルドみたいに、絶妙な感じで和気藹々な雰囲気な気がする。
……そういえばあの部長さん、改めて考えてもカタギじゃない感じのビジュアルしてたよね。
マフィアみたいなビジュアルのカタギに一般企業みたいなマフィア。
私の中のマフィアのイメージが壊れる!
……いや、まあそんなのは別に壊れても良いんだけど。
「で、どうするの? なんか頼みたい事あったんでしょ? 頼むかどうかはアンタに任せるけど」
「そうだな……まあ此処は信用してみるか。それに……」
「それに?」
「いや、何でもない」
そう言ってはぐらかした後、ルカは言う。
「じゃあ改めて一つ頼んで良いか? お前の居る組織が善良であると見込んでだ」
「お、印象回復チャンスだな。俺は何をすればいい」
「此処で起きている事。お前が知っている事を報告して、可能なら早急にこの一件に人員を動かしてもらえ」
「……なるほど。援軍を呼んで来いって話だな。そんな事で良いならいくらでも頭下げてくる」
「よし……なら頼む」
言いながらルカは倒れている男達を一人一人外へと飛ばし始める。
……その頼みについて言いたいことは有ったけど、ひとまず口は挟まない事にした。
どうするのが正しいのかって事は、正直分かんなかったから。
そして一人一人飛ばしていくルカと私に対して男は言う。
「ただ援軍呼ぶって言っても、お前達は多分此処でそれを待つみたいな真似はしないだろ。だから俺から一つアドバイスをしとく」
「アドバイス?」
「此処から先に進んでいくと、多分転移魔術を使っての脱出は難しくなると思う」
「どういう事だ?」
「此処はまだ異質な感じのする地下水道って感じだが……此処から先というか下か。そこは魔術で作られた異空間みたいになっている。まともな形で外と繋がっているとは思わない方が良い」
「……そうか」
ルカが一瞬深刻そうな表情を浮かべたが、今は触れない事にした。
言いたい事は分かるけど……まあこの男が居なくなってからでも良いと思う。
そして男は言葉を続ける。
「そんで二つ目。指輪持ちには気を付けた方が良い」
「指輪持ち?」
「ああ。原理は良く分からねえけどあの指輪を使って明らかに実力以上の魔術を使ってくる奴が居る。俺が負けたのも指輪持ちだし、他にそういう連中が何人も居るのを操られてから確認した」
「……了解」
一応驚きながらも頷いた。
指輪を使って魔術を発動する。
もしくは出力を増幅させる。
それは理論上不可能な事じゃない。
実際この世界は魔術で溢れている。
電話やFAXから、それこそこの前私達がセッションしていた時のアンプだって、魔術を利用したシステムを構築して動いている。
だからそこから更に発展して、お手軽に強力な魔術そのものを使えたり、元から使える力を増幅したりなんてのも、きっと不可能な話じゃないと思う。
でもそれはきっとの話だ。
そんなのはまだ、近い将来できたら良いねっていう理想に過ぎない。
もしそういう物が実用化されているなら、私だって使うし、しーちゃんにも護身用で持たせてる。
……この話がただの勘違いならいいんだけど、もし本当の話だったら、相手は想像以上に厄介だ。
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