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二章 聖女さん、新しい日常を謳歌します。

ex 受付聖女達、スケールの大きな事件に直面する

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「世界が……滅ぶ?」

 思わず聞き返すと男は言う。

「そういう話を聞いた」

「え、もっと具体的な話教えてくれる!?」

「そうしてえ。そうしてえが……残念ながら聞いただけだ。専門用語らしい言葉だらけで俺には理解できなかった」

 と、男がそう言った時だった。

「二人共大丈夫!?」

 ミカが走って戻ってきた。

「ああ、うん。大丈夫」

「いやビジュアル的に全然大丈夫に見えないんですけど」

「とりあえずシエルさんはボクが応急処置中っす」

「そ、そっか……それで」

 ミカがゴミを見るような視線を男に向けて言う。

「これどういう状況?」

「……本当に最低限だが伝えることは伝えられた。口封じみたいな魔術が掛けられていた様子も無い……一旦、そうだな。これは言っとかねえと」

 そう言って男は言う。

「色々と悪かった。特に一発蹴り入れちまったアンタと……死んでてもおかしくない大怪我負わせたシエルさんには本当に申し訳ないと思ってる」

 そう言って男は謝罪するが……。

「え、なんでウチの事しってんの? ……まさかストーカー?」

「人攫いで女子供殴るのが趣味でストーカーとか最悪……!」

「いや、最後の以外はなんか違うっぽいっすよ?」

「最後のもちげえよ……アンタ結構有名人だぞ」

「え? そうなの?」

(……いやだからどんな私生活送ってるんすか!?)

 まあとにかく。

「と、とりあえずミカさんだけ全然状況把握してないと思うんで、一旦情報共有しとくっすよ!」

 と、一旦今の男の話をミカにも伝える。

「なるほど……確かにあの時感じたヤバい雰囲気はしないし……というか世界が滅ぶって……!」

「もう一度言うが事の詳細までは説明できねえ」

 だけど、と男は言う。

「アイツらのアジトの場所は把握している」

「……」

 そう言われて、先の男の言葉を思い出す。

『さっきの俺を倒せたアンタ達位にしか託せる相手がいないんだ……頼む……ッ』

 この男は自分達に託すと言った。
 ……つまりだ。

「……つまりボクらにそのアジト叩き潰してくれって言いたいんすか?」

「……そういう事になるな」


 男は申し訳なさそうに言う。

「誰かがやらなきゃいけねえ。だけど俺には協力することはできても、一人でどうこうする力がねえんだ……だから……ッ!」

 本当に申し訳なさそうに男は言う。

(……さあ、どうするっすかね)

 当然どうにかしないといけない。
 この話を憲兵にした所で多分それをどうこうできるだけの戦力を動かすとなれば、それ相応の時間が掛かるだろう。
 憲兵だけでなく、公務員には良くも悪く感情だけで動けないような大きな縛りがあるから。

 ではそういう時にうごけるのはどういう人間か。

(すぐ動けるのはボクら位っすか……)

 自分達冒険者やシエルのような一般人のような、大きなしがらみの無いフリーランスだ。
 ……とはいえ。

(でもボクら三人でどうにかできるスケールじゃ……)

 と、そこで浮かんでくる。
 この状況で最も頼れそうな三人の顔が。

(でも巻き込んでいいんすか……かなりヤバそうな匂いがするんすけど……)

 でも、何もしなければ全員が被害を被りそうでもあって。
 ……どうする?

 と、そこでシエルが言った。

「……分かった」

 そう言って頷く。

「そのアジトはウチが潰す」

 踏み込んだ。
 そしてミカも言う。

「私も賛成」

 そう言って頷く。

「今の私がどこまで戦力になるかは分かんないけど、やれるだけの事はやりたい。いや、やらないといけないと思う」

 ……そして、巻き込む巻き込まないはともかくとして。

「ボクも行くっすよ」

 自分が参加しないという考えはない。
 これは自分の倫理観的に、行かなければならない事だ。

「……これでひとまず四人だな」

「四人っすか?」

「俺も行く。さっきまでのは俺の力じゃねえが、一応は戦える」

「いや、四人じゃない」

 シエルが男の言葉を否定して言う。

「正直四人でどうこうできる程、小さい相手じゃないんでしょ?」

「……奇跡が起きればって所だ」

「やっぱり」

 そう言ってシエルは言う。

「極力人を巻き込んだりはしたくないけど、だからといって目に見えて無謀な事を無策でやる程自暴自棄になるつもりは無い。失敗したら世界が滅ぶっていうなら尚更」

 だから、とシエルは言う。

「頼れる所に全部頼って全力で潰す。総力戦で行こう」




 そして。場所は某喫茶店へと移り変わる。
 時刻は少し遡り……丁度シエルが影の男を止めた頃。

 アンナとルカも、別の事件に巻き込まれていた。
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