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二章 聖女さん、新しい日常を謳歌します。

5 聖女さん達、退店

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 そんな危なっかしい話も交えつつ、それからも私達は少しだけ話を続けた。
 うん、少しだけ。

 話を聞く感じだと今のしーちゃんは仕事中。
 さっきセッションしていた私達の前に現れたのも、あのお店に回覧板を回しに来たら偶然見かけたって感じだったみたいで、それから休憩をとって今に至る。

 そんな訳でケーキを食べ終わり、コーヒーを飲み終わった位のタイミングで話は終わり。
 長々とそれからも話続ける事も無く、仕事の邪魔をするのもあれなのでしーちゃんに見送られて他店する事に。

「じゃあまた今度顔出すよ。積もる話もまだまだあるし、その時またゆっくりね」

「うん、いつでも大歓迎! ……あ、でもできれば仕事中以外で」

 そりゃそうだよ。

「いやいや、そんな事言ってシエルさんボクがお店来た時とか結構サボってたじゃないっすか。急に真面目な事言い出すっすね」

「怒られた」

 そう言って何故かドヤ顔でグーサインを出すしーちゃん。
 なんか色々と……変わってないなぁ。

「俺も今度何か買いに来るよ」

「私も。すっごくケーキ美味しかったんで」

「待ってるよ、ご来店。その時ウチがサボってたら話し相手でもしてくれると嬉しいな」

「早速サボる気ですよ。手の平クルクルじゃないですか」

「話し相手は全然するけど、せめて接客しながらにしろよ」

「了解」

 とりあえずシルヴィとステラも良い感じに馴染んでくれてるし、双方の友達として一安心だよ。

「……さて。まあ流石に今日はサボる気分じゃないし、そろそろ仕事に戻るよ。皆は今この国の観光してるんだよね? 気を付けてね? 何かヤバい事件とか起きてても首突っ込んじゃ駄目だよ」

「しーちゃんにだけは言われたくないんだけど……」

 私の言葉に皆頷く。
 あの……本当に首突っ込まないでね?
 突っ込むにしても最低限私呼んでね? お願いだから。

 とまあ不安になりながらも私達は軽く別れの挨拶をしてその場から移動する事にした。
 その際、最後にしーちゃんが私にしか聞こえないような小さな声で聴いて来る。

「あっちゃん……あれからお父さんは帰ってきた?」

「いや、帰ってきてないよ。ずっと一人暮らしだった」

「そっか。なら良かった。それが聞けて安心した」

 そう言ってしーちゃんも店の中に戻っていく。

 しーちゃんから見ても、私のお父さんは碌でもない人間に見えている。
 大正解だ。
 ……本当によくそんなクズの娘と友達になろうと思ってくれたなって思うよ。
 友達でい続けようと思ってくれたなって思うよ。


 皆はどうだろうか。
 例えば話していないような事の詳細を皆が知ったとして、私を見る目を変えずにいてくれるだろうか。
 友達でい続けてくれるだろうか。

「ん? おーい行くぞアンナ」

「早くしないと置いてくっすよー」

「いや置いてきませんよ別に」

「そうだぞ可哀想な事言うなよ」

「いや別にボク本気で言ってないっすよ?」

 変わらないでいてくれたらいいなって思うよ。

「ああ、ごめん。考え事してた」

「考え事……この状況だと……ケーキのカロリーとかっすか?」

「それは考えないようにしてるからマジで止めてくれないかな」

 体重が変わらないで居てくれたらいいなって思うよ。
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