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一章 聖女さん、追放されたので冒険者を始めます。
46 聖女さん達、撤収
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その後、ステラの治療をある程度終え、体の痺れも無くなった所で私達は軽くこの辺りを探索する事にした。
あの黒装束の二人が何をしようとしていたのかを直接聞くことはできなかったけど、それでも何かをやっていた事自体は濃厚な以上、何も調べないで帰る訳にはいかないしね。
……黄金草探しは殆ど一瞬たりともやってないのに、本来の目的とは全然関係の無い物はしっかり探してる事については、アイコンタクトで触れない方針にした。
だけど全く探しても無かったのに見つかった黄金草とは対照的に、しっかりと探し始めた『何かをやっていた痕跡』は中々見つからなくて。
「これは……正直私達だけじゃ厳しいかな」
「ですね」
「分かっちゃいたけど、そううまくは行かねえよな」
流石に三人でこの山の中を探索するのは不可能な訳で、とりあえず道中周囲を注視しつつ山頂まで登ってきた訳なんだけど……まあ、半ば予想通り魔術が使われた痕跡すら見つからない。
例えば黒装束の二人が私達から見て三下と言えるような相手だったら、その気になれば力業で何かをした場所を探して調べる事ができるんだろうけど、あのレベルになってくるとその何かを自分の足で探して見付けてからが勝負になってくる。
だからまあ……こういう分かりやすい所で何かをしていなかった時点で、現時点で私達に出来る事は無いと思う。
……まさか山の中全域を走破する訳にはいかないしね。
そしてそれは、まだこの山の中にいるかもしれない黒装束の二人を探す場合も同じだ。
だから、まあ……諦めが肝心って事で。
「……よし! 撤収! 帰ろう! 何やってたかは知らないけど捜査打ち切り!」
「だな。賛成」
「わ、私もそれで良いと思います!」
二人も私の案に賛同してくれた。
……いや、そういう反応で良かったよ。
事が事だからもうちょっと調べてみるみたいなノリになったらどうしようって思った。
いや、そうなったらもうちょっと頑張るけど……まあその、なんて言えば良いのかな。
正直な話、死ぬ程疲れたから帰りたいんだよ。
すぐに痕跡が見つかるなら話は別だけど、ほら、生きるか死ぬかみたいな戦いを繰り広げちゃった訳で、私の場合外傷は無かった分マシだろうけど、疲れは凄いよ。
だから、帰れる感じの流れになって良かった。
「そういう事なら下山するか。今から帰れば街か王都で少し遅い昼飯食えるんじゃねえか?」
「あ、確かに。お腹空きましたね。えーっと、今1時なんで、確かに今から帰れば少し遅いですけどお昼ご飯食べられそうです」
「……そういえば色々あったけど、まだそれだけしか時間経ってないんだ」
時計を見てそう言ったシルヴィに対し、思わずそう呟く。
ギルドを出発したのが確か朝の9時で、今が1時。四時間しか経ってない。
色々大変だった気がするからもっと時間経ってると思ったけど、全然だったね。
冷静に考えてみると、此処まで色々あったけどそれぞれ殆ど時間掛かってないんだよね。
一番時間が掛かりそうな移動の大半をリュウ君に乗って済ませた訳で。
後時間が掛かったのって言えば、王都からこの山のある方面まで直接行ける訳じゃなかったので、一時間程馬車に乗ったのと、リュウ君を下りてからしばらく歩いたのが計一時間弱。
それから途中休憩に登山。それとステラ回復タイム。
各種戦闘は中身はそこそこ濃かった気がするけど、時間は殆どかかっていない訳で。
うん、全部合わせて大体四時間掛かってない位だね。
……黄金草が簡単に見つかったのが大きかったよ本当に。
「じゃあさっさと帰って……流石にまた馬車で王都戻ってたら時間掛かるから、街の方でお店探してお昼食べようよ」
「賛成です」
「じゃあ早速下山しようぜ」
「っと、ちょっと待った」
早速動き出そうとするステラを止める。
「ん? どうした?」
「ほら、もうこの辺全然魔物が出てこないからさ、リュウ君呼んで一気に帰ったら良いんじゃないかなって」
「ナイスアイデア!」
「良かった。正直下りるの大変だなーって思ってたんですよ」
ステラがそう言ってグーサインを向けてて、シルヴィも安堵の表情を浮かべる。
うん、まあ……もうリュウ君を呼んでも大丈夫だと思うよ。
……黒装束の二人が再度襲ってくる様子も無ければ……本当に魔物が出る気配も無いしね。
……多分というか間違いなく、あの二人のおかげで。
結局目的は分からなかったけど、多分魔物を操っていたりした理由ぐらいは推測ができる。
多分この山に誰も近寄らせたく無かったんだと思う。
だからドラゴンを始めとして、魔物を使役して近付いて来る人間を攻撃するように仕向けた。
一件無茶苦茶な話の様にも思えるけど……それができる術式さえ用意できれば、あの技量と出力なら運用はできると思うしね。
だけどそれでも、全部の魔物を使役するのは無理だったから残りは殺した。
此処で何かをするのに、間違いなく妨害してくる魔物は邪魔でしかなかったから。
多分操っていたのも、一番の目的はそれなのかもしれない。
まあこんなのも結局私の立てた推測でしか無くて。
どこまで考えても答えなんて出てこないと思う。
だから今私が考えなくちゃいけないのはそんな事じゃなくて。
「よし、じゃあリュウ君呼ぶよ。おいでリュウ君!」
街に戻った後、何が食べたいか。
そういう事を考える方が、良い感じな考え方だと思うよ。
あの黒装束の二人が何をしようとしていたのかを直接聞くことはできなかったけど、それでも何かをやっていた事自体は濃厚な以上、何も調べないで帰る訳にはいかないしね。
……黄金草探しは殆ど一瞬たりともやってないのに、本来の目的とは全然関係の無い物はしっかり探してる事については、アイコンタクトで触れない方針にした。
だけど全く探しても無かったのに見つかった黄金草とは対照的に、しっかりと探し始めた『何かをやっていた痕跡』は中々見つからなくて。
「これは……正直私達だけじゃ厳しいかな」
「ですね」
「分かっちゃいたけど、そううまくは行かねえよな」
流石に三人でこの山の中を探索するのは不可能な訳で、とりあえず道中周囲を注視しつつ山頂まで登ってきた訳なんだけど……まあ、半ば予想通り魔術が使われた痕跡すら見つからない。
例えば黒装束の二人が私達から見て三下と言えるような相手だったら、その気になれば力業で何かをした場所を探して調べる事ができるんだろうけど、あのレベルになってくるとその何かを自分の足で探して見付けてからが勝負になってくる。
だからまあ……こういう分かりやすい所で何かをしていなかった時点で、現時点で私達に出来る事は無いと思う。
……まさか山の中全域を走破する訳にはいかないしね。
そしてそれは、まだこの山の中にいるかもしれない黒装束の二人を探す場合も同じだ。
だから、まあ……諦めが肝心って事で。
「……よし! 撤収! 帰ろう! 何やってたかは知らないけど捜査打ち切り!」
「だな。賛成」
「わ、私もそれで良いと思います!」
二人も私の案に賛同してくれた。
……いや、そういう反応で良かったよ。
事が事だからもうちょっと調べてみるみたいなノリになったらどうしようって思った。
いや、そうなったらもうちょっと頑張るけど……まあその、なんて言えば良いのかな。
正直な話、死ぬ程疲れたから帰りたいんだよ。
すぐに痕跡が見つかるなら話は別だけど、ほら、生きるか死ぬかみたいな戦いを繰り広げちゃった訳で、私の場合外傷は無かった分マシだろうけど、疲れは凄いよ。
だから、帰れる感じの流れになって良かった。
「そういう事なら下山するか。今から帰れば街か王都で少し遅い昼飯食えるんじゃねえか?」
「あ、確かに。お腹空きましたね。えーっと、今1時なんで、確かに今から帰れば少し遅いですけどお昼ご飯食べられそうです」
「……そういえば色々あったけど、まだそれだけしか時間経ってないんだ」
時計を見てそう言ったシルヴィに対し、思わずそう呟く。
ギルドを出発したのが確か朝の9時で、今が1時。四時間しか経ってない。
色々大変だった気がするからもっと時間経ってると思ったけど、全然だったね。
冷静に考えてみると、此処まで色々あったけどそれぞれ殆ど時間掛かってないんだよね。
一番時間が掛かりそうな移動の大半をリュウ君に乗って済ませた訳で。
後時間が掛かったのって言えば、王都からこの山のある方面まで直接行ける訳じゃなかったので、一時間程馬車に乗ったのと、リュウ君を下りてからしばらく歩いたのが計一時間弱。
それから途中休憩に登山。それとステラ回復タイム。
各種戦闘は中身はそこそこ濃かった気がするけど、時間は殆どかかっていない訳で。
うん、全部合わせて大体四時間掛かってない位だね。
……黄金草が簡単に見つかったのが大きかったよ本当に。
「じゃあさっさと帰って……流石にまた馬車で王都戻ってたら時間掛かるから、街の方でお店探してお昼食べようよ」
「賛成です」
「じゃあ早速下山しようぜ」
「っと、ちょっと待った」
早速動き出そうとするステラを止める。
「ん? どうした?」
「ほら、もうこの辺全然魔物が出てこないからさ、リュウ君呼んで一気に帰ったら良いんじゃないかなって」
「ナイスアイデア!」
「良かった。正直下りるの大変だなーって思ってたんですよ」
ステラがそう言ってグーサインを向けてて、シルヴィも安堵の表情を浮かべる。
うん、まあ……もうリュウ君を呼んでも大丈夫だと思うよ。
……黒装束の二人が再度襲ってくる様子も無ければ……本当に魔物が出る気配も無いしね。
……多分というか間違いなく、あの二人のおかげで。
結局目的は分からなかったけど、多分魔物を操っていたりした理由ぐらいは推測ができる。
多分この山に誰も近寄らせたく無かったんだと思う。
だからドラゴンを始めとして、魔物を使役して近付いて来る人間を攻撃するように仕向けた。
一件無茶苦茶な話の様にも思えるけど……それができる術式さえ用意できれば、あの技量と出力なら運用はできると思うしね。
だけどそれでも、全部の魔物を使役するのは無理だったから残りは殺した。
此処で何かをするのに、間違いなく妨害してくる魔物は邪魔でしかなかったから。
多分操っていたのも、一番の目的はそれなのかもしれない。
まあこんなのも結局私の立てた推測でしか無くて。
どこまで考えても答えなんて出てこないと思う。
だから今私が考えなくちゃいけないのはそんな事じゃなくて。
「よし、じゃあリュウ君呼ぶよ。おいでリュウ君!」
街に戻った後、何が食べたいか。
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