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一章 聖女さん、追放されたので冒険者を始めます。
43 聖女さん、邂逅
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断絶した空間の外に突然魔法陣が展開される。
地面より少し上の位置に展開されたそれから現れたのは、男と同じく黒装束で仮面を付けた人間。
体格からして多分女……というより女の子と言った方が受ける印象は近いのかもしれない。
……この男の仲間?
私がそう認識した次の瞬間、その少女の手の平が黒く光ったのが見え……こちらに向けて黒い弾丸が射出される。
だけど標準は大きく外れているように思えて。
そして多分私を狙う必要なんてなくて。
「しまった……ッ!?」
次の瞬間、黒装束の男を聖女の加護とやらから引き離す為に張った、空間を遮断する結界を破壊される。
「……え?」
そして遮断していた結界が無くなったからこそ、感じられる。
視界の先にいる誰かは、シルヴィやステラから感じたようなものと同じ様な感覚がする。
元聖女の二人と同等の……そんな力の感覚が。
「……ッ」
そして結界を破壊した黒い装束の少女は、その場に受け身も取らずに倒れ伏せる。
その力すらも残っていないという風に、ぐったりした様子で。
と、ある程度の注意力が新たに現れた、何がなんだか分からない謎の黒装束の少女に向いてしまった、その時だった。
……黒装束の男が動いたのは。
……反応が遅れた。
その間に男は僅かに体を起こし、黒装束の少女の方へ向けて横に跳ぶ。
ダメージを負った体でも動ける出力。
完全に元に戻った強化魔術の出力で。
当然だ。遮断していた結界はもう無いんだから。
そしてその手には再び、結界が刻まれたスティック状の結界が八本あり、それを再びこちらに向けて投げつけてくる。
そこに付与されている術式がさっきの光の爆弾と同じ物かは分からないけど、とにかくそんな事を判別している時間は無くて。
とにかくそれが何であってもある程度防ぐ事ができるように、正面に身を隠すように結界を展開。
その瞬間、投げられた結界からは発煙筒のように激しい煙が湧き出てきた。
……視界の奪い方を変えてきた。
でもこれならすぐに消せる!
周囲に魔術で突風を巻き起こし、張られた煙幕を全て掻き消す。
……だけど掻き消した先には、もう誰もいない。
黒装束の男も少女も、跡形も無く消え去っている。
「いない……逃げられた?」
煙幕を張って攻撃を仕掛けてくるのではなく、この場からの逃亡を選んだ。
……あの男には明確に私を消す意思があって。戦闘の続行も可能で。
そんな中で一瞬でも視界を奪えたというチャンスな状況で、逃げるという選択肢が選ばれた。
そしてその選択を取られた理由は簡単に推測できる。
「……あの子か」
あの男はやってる事とちぐはぐな妙にまともな倫理観を持っていたから……口封じの為に私との戦いを続行するんじゃなくて、明らかに意識を失っているように見えた仲間の救護に向かったって考えても違和感が無い。
そしてその結果がこれ。
「け、結局何も話聞けてないじゃん」
……まああのまま続いていたとして、確実に勝てた保証は無いから、ある意味命拾いと言ってもいいのかもしれないけれど……それでも。
「結局何だったんだろこの人達……全く分からず終いじゃん!」
何も分からず終いは辛いよ!
ほぼ勝ってたのに!
「……でも、本当に……何だったんだろ」
目的も何も分からない状況で、どうしても今の女の子の存在が引っ掛かる。
あの男が言っていた聖女の加護という、外部から力を供給されていると思われる発言と、私達聖女と同じ位の力を感じる女の子。
……まさか。
「……まさかあの子も追放された聖女だったりする?」
私達と同じような理由……かどうかは知らないけど。
「……いやいやいやいや、流石にそれは無いって」
シルヴィやステラの事はまあ良いよ。
二度ある事は三度あるって事で、まあ……全然良くないんだけど、とりあえず良いよ。なんとか受け入れた。なんとか受け止められた。
でも二度ある事は三度あって、そこから先に四度五度ってのはもう流石に滅茶苦茶が過ぎるでしょ。
ほら、ギルドの受付嬢やってたシズクって子も、追放された聖女疑惑出てたし……もし二人共そうなら私を含めて五人だよ五人!
無いでしょ。あるわけ無い。
でも今、空前の聖女追放ブームが到来してるみたいだし……。
「いやいや無い無い……無いって言って欲しいよ」
いくらなんでも無茶苦茶すぎるしね。
「……まあ考えても仕方ないか」
そこを含めて聞きたい事は山のようにあるけども、あの二人は姿を消した。
話を聞くには探して取っ捕まえないといけない訳だけど……ちょっと状況が変わった。
「……今は追わない方が良さそうかな」
女の子の方は、なんでか良く分からないけど戦闘不能って感じだった。
だけどそれでも、回復魔術で応急処置をすれば戦える状態にまで持って行けるかも知れないわけで。
そうなったら手負いとはいえ私達と同等の力を持つ女の子と、力は一段落ちるけど技量で同等クラスにまで登って来ているあの男を、私一人で相手にしなくちゃいけなくなる。
あのクラス相手に二対一。
そんなの殺す気でやったって勝てるかどうかはは分からない。
とにかく今はシルヴィとステラと合流する事を考えるのが適切な判断な気がする。
と、そう考えながら、一戦終わった疲れを飛ばすように体を伸ばした時だった。
「……あ」
なんか視界の端っこに、金色に輝く草が見えたのは。
地面より少し上の位置に展開されたそれから現れたのは、男と同じく黒装束で仮面を付けた人間。
体格からして多分女……というより女の子と言った方が受ける印象は近いのかもしれない。
……この男の仲間?
私がそう認識した次の瞬間、その少女の手の平が黒く光ったのが見え……こちらに向けて黒い弾丸が射出される。
だけど標準は大きく外れているように思えて。
そして多分私を狙う必要なんてなくて。
「しまった……ッ!?」
次の瞬間、黒装束の男を聖女の加護とやらから引き離す為に張った、空間を遮断する結界を破壊される。
「……え?」
そして遮断していた結界が無くなったからこそ、感じられる。
視界の先にいる誰かは、シルヴィやステラから感じたようなものと同じ様な感覚がする。
元聖女の二人と同等の……そんな力の感覚が。
「……ッ」
そして結界を破壊した黒い装束の少女は、その場に受け身も取らずに倒れ伏せる。
その力すらも残っていないという風に、ぐったりした様子で。
と、ある程度の注意力が新たに現れた、何がなんだか分からない謎の黒装束の少女に向いてしまった、その時だった。
……黒装束の男が動いたのは。
……反応が遅れた。
その間に男は僅かに体を起こし、黒装束の少女の方へ向けて横に跳ぶ。
ダメージを負った体でも動ける出力。
完全に元に戻った強化魔術の出力で。
当然だ。遮断していた結界はもう無いんだから。
そしてその手には再び、結界が刻まれたスティック状の結界が八本あり、それを再びこちらに向けて投げつけてくる。
そこに付与されている術式がさっきの光の爆弾と同じ物かは分からないけど、とにかくそんな事を判別している時間は無くて。
とにかくそれが何であってもある程度防ぐ事ができるように、正面に身を隠すように結界を展開。
その瞬間、投げられた結界からは発煙筒のように激しい煙が湧き出てきた。
……視界の奪い方を変えてきた。
でもこれならすぐに消せる!
周囲に魔術で突風を巻き起こし、張られた煙幕を全て掻き消す。
……だけど掻き消した先には、もう誰もいない。
黒装束の男も少女も、跡形も無く消え去っている。
「いない……逃げられた?」
煙幕を張って攻撃を仕掛けてくるのではなく、この場からの逃亡を選んだ。
……あの男には明確に私を消す意思があって。戦闘の続行も可能で。
そんな中で一瞬でも視界を奪えたというチャンスな状況で、逃げるという選択肢が選ばれた。
そしてその選択を取られた理由は簡単に推測できる。
「……あの子か」
あの男はやってる事とちぐはぐな妙にまともな倫理観を持っていたから……口封じの為に私との戦いを続行するんじゃなくて、明らかに意識を失っているように見えた仲間の救護に向かったって考えても違和感が無い。
そしてその結果がこれ。
「け、結局何も話聞けてないじゃん」
……まああのまま続いていたとして、確実に勝てた保証は無いから、ある意味命拾いと言ってもいいのかもしれないけれど……それでも。
「結局何だったんだろこの人達……全く分からず終いじゃん!」
何も分からず終いは辛いよ!
ほぼ勝ってたのに!
「……でも、本当に……何だったんだろ」
目的も何も分からない状況で、どうしても今の女の子の存在が引っ掛かる。
あの男が言っていた聖女の加護という、外部から力を供給されていると思われる発言と、私達聖女と同じ位の力を感じる女の子。
……まさか。
「……まさかあの子も追放された聖女だったりする?」
私達と同じような理由……かどうかは知らないけど。
「……いやいやいやいや、流石にそれは無いって」
シルヴィやステラの事はまあ良いよ。
二度ある事は三度あるって事で、まあ……全然良くないんだけど、とりあえず良いよ。なんとか受け入れた。なんとか受け止められた。
でも二度ある事は三度あって、そこから先に四度五度ってのはもう流石に滅茶苦茶が過ぎるでしょ。
ほら、ギルドの受付嬢やってたシズクって子も、追放された聖女疑惑出てたし……もし二人共そうなら私を含めて五人だよ五人!
無いでしょ。あるわけ無い。
でも今、空前の聖女追放ブームが到来してるみたいだし……。
「いやいや無い無い……無いって言って欲しいよ」
いくらなんでも無茶苦茶すぎるしね。
「……まあ考えても仕方ないか」
そこを含めて聞きたい事は山のようにあるけども、あの二人は姿を消した。
話を聞くには探して取っ捕まえないといけない訳だけど……ちょっと状況が変わった。
「……今は追わない方が良さそうかな」
女の子の方は、なんでか良く分からないけど戦闘不能って感じだった。
だけどそれでも、回復魔術で応急処置をすれば戦える状態にまで持って行けるかも知れないわけで。
そうなったら手負いとはいえ私達と同等の力を持つ女の子と、力は一段落ちるけど技量で同等クラスにまで登って来ているあの男を、私一人で相手にしなくちゃいけなくなる。
あのクラス相手に二対一。
そんなの殺す気でやったって勝てるかどうかはは分からない。
とにかく今はシルヴィとステラと合流する事を考えるのが適切な判断な気がする。
と、そう考えながら、一戦終わった疲れを飛ばすように体を伸ばした時だった。
「……あ」
なんか視界の端っこに、金色に輝く草が見えたのは。
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