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一章 聖女さん、追放されたので冒険者を始めます。

22 聖女さん、戦闘開始

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「お疲れ様。帰りもよろしくねリュウ君」

 しばらくして目的地付近まで辿り着いた私達は地上へ降り立った。
 此処からは歩いて行く。
 リュウ君に怪我させられないしね。

「ありがとうございますリュウ君」

「いや、すげえ早くて風が気持ちよかった。ありがとなリュウ君」

 二人もそれぞれリュウ君に礼を言った所で、リュウ君は機嫌が良さそうに魔法陣を通って帰っていく。

「しっかし本当に早かったな。並みの連中なら振り落とされるだろ」

「ですね。少なくとも風が気持ちいいとかそういう感想は持てなさそうですね」

「まあ私を乗せる事に慣れちゃってるからね」

 ……そういう感想を他の誰かから言われると、やっぱり普通の人は乗れないんだって改めて自覚する。
 良かった、此処にいるのがこの二人で。

「……ま、それはさておき」

 軽く深呼吸して、掌に拳を打ち付ける。

「此処から先、いつ魔物が襲ってくるか分からないから、気を引き締めて行こう」

「はーい」

「了解」

 そんなやり取りを交わして私達は歩き出す。
 目的地の山まではまだ距離があって、この辺りでドラゴンと会敵するような事はあまり無いとは思うけど、基本的に結界の外……居住区の外はいつ魔物に襲われてもおかしくはないから注意は必要だ。
 流石に完全に気を抜いた時に死角から襲われでもしたら、いくら私達でもかすり傷位負うかもしれないし、痛いのは嫌だしね。
 だからちゃんと警戒する。
 ……していたからこそ、気付いた。

 ……なんか凄い勢いで色々向かって来ている事に。

「「「……!」」」

 全員で一斉に身構える。

「なんか……無茶苦茶来てるね」

「10……20……いや、もっといません?」

「すげえなこれがSランクの依頼か……」

「いや……なーんか違和感あるよこれ」

 私達に向かって大勢の魔物が向かって来てくる気配。
 私達を獲物だって思って狩りに来てるって思えば、その事事態は不思議じゃないけど……それでも明らかな違和感。

「……他種族の魔物どうしで徒党を組んでるね」

「ですね……」

 感じる気配の群は明らかに同一に近い物だけで構成されていない。
 この辺りの魔物が皆仲良しってのは無いだろうから……違和感しかない。
 まあ違和感があろうがなかろうがやる事は一つだけど。

「ま、向かって来るなら返り討ち。これからドラゴンと戦うかもしれないから、ウォーミングアップといこうよ」

「「おー!」」

 そして各々神経を研ぎ澄ましていた所で…私達の視界に現れる。

「いや、改めて本当に統一感ねえな!」

 ステラの言う通り本当に多種多様。バラバラな強そうな魔物達が。
 ……総勢、60匹程。

「それもそうなんですけど、普通一度にこれだけの数が襲ってくる事ってあるんですかね」

「いや、あらゆる面で普通にイレギュラーだと思うよ」

 流石にこれはないだろうと思う。
 知らんけど。
 でもまあ、どちらにしても。

「ま、この依頼受けたのが私達で良かったよ」

「そうだな」

「ですねー」

 そう言いながら私達は各々掌を魔物の群へと向ける。

「私達ならどうにでもなるでしょ!」

 そして私達の掌に、魔方陣が刻まれた。
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