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第8話 家探しの件について
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紅茶を淹れ直し、リビングに六人の男が集う中あまりむさ苦しさを感じないのは悠真が人一倍小柄であることと、早苗がとても男性とは思えないほど女性的な容姿を持ち合わせていたからだろう。
涼は意外と社交的で、樹雷や悠真とも有効的に会話をしていたが、一方の早苗は終始俯きがちであれから一度も燐太郎に視線を向けることは無かった。
そんな中、樹雷が突然声を上げる。
「ところで雪ちゃん?」
「え? あ、ハイ」
お気に入りの悠真を膝の上に座らせ、まるで小動物への餌やりのように悠真の口の中へクッキーを運んでいた雪路だったが、樹雷から声を掛けられればソファに座る樹雷へ視線を向ける。
「荷解き、全部業者にやって貰ったって言ってたよね?」
雪路が新居に引っ越したという話は同じプロジェクト内の人間ならば誰でも知っていたが、新居へ招かれたのは〝いつメン〟の三人だけだった。それも引っ越し当日の有給休暇から間の空かない週末で、流石に荷解きがまだ終わっていないだろうと訪ねた樹雷に対する雪路の返答がそれだった。
「世の中全て金が物言う」
雪路は自慢気に親指と人差し指で円を作って樹雷に見せるが、その雪路の無防備さはいつも燐太郎が危惧しているものだった。
確かに昨今引っ越しの荷解きと整理整頓を頼めるサービスも存在しているが、様々な業者がある中雪路の依頼した業者が必ずしも優良業者であるとは限らない。
「よく知らない人に家の中あちこち触らせるとか何考えてんの!」
プロジェクトリーダーでもある雪路の頬を抓ることが出来るのは社内でも恐らく樹雷ともうひとりくらいなものだろう。それ程雪路と樹雷はお互いに遠慮のない関係を築いていた。
聞き分けのない子どもを叱る母親のように、雪路の頬を抓る樹雷の姿は家族のように近しい間柄にも見えた。そんな雪路の姿をぽかんと口を開けて見ていた涼だったが、樹雷の言葉には納得出来る部分があったらしく、力強く頷きながらティーカップをテーブルに置く。
「あー雪路さん今それ危険ですよ。盗聴器仕掛けられたりとかざらにあるんで」
若い女性の部屋なら兎も角、男ふたりの部屋に盗聴器も何もあったものではないだろうという考えからの行動だったが、最近は強盗目的も否定はできない為住人が男性であっても油断は出来ない。
現代っ子であり世間の情報に聡い涼と異なり、そういった社会情勢に疎い雪路の危うさを誰もが危惧していた。現代っ子といえば早苗も年齢的には涼とそう変わりは無かったが、そこは流石に雪路の親戚というべきか、早苗もそこまで危機感を覚えているようには見られなかった。
「という訳で持ってきました盗聴器発見器」
昔ならばいざ知らず、現在はインターネットでも簡単に盗聴器を発見する為の機器を入手することが出来る。雪路から話を聞いた時点でこうなることを見越していた樹雷は鞄から手持ち扇風機程度の大きさをした小型の危惧を取り出して見せつける。
「面白そうですね! 僕も一緒に探していいですか!?」
テレビやインターネットの動画内でしか盗聴器発見の作業を見たことが無かった涼は目を輝かせて樹雷の持つそれに釘付けとなる。
「おっ、分かってるねえ涼くん」
「あっ僕も僕もっ、盗聴器探してみたいです~!」
ひょっとしたら悠真と涼は精神年齢が同じなのかもしれない。燐太郎はそんなことを考えながら同行を眺めていたが、気が付けば家主の雪路を含めリビングからは四名が消えてしまい、残されたのは燐太郎と早苗のふたりだけとなってしまっていた。
涼は意外と社交的で、樹雷や悠真とも有効的に会話をしていたが、一方の早苗は終始俯きがちであれから一度も燐太郎に視線を向けることは無かった。
そんな中、樹雷が突然声を上げる。
「ところで雪ちゃん?」
「え? あ、ハイ」
お気に入りの悠真を膝の上に座らせ、まるで小動物への餌やりのように悠真の口の中へクッキーを運んでいた雪路だったが、樹雷から声を掛けられればソファに座る樹雷へ視線を向ける。
「荷解き、全部業者にやって貰ったって言ってたよね?」
雪路が新居に引っ越したという話は同じプロジェクト内の人間ならば誰でも知っていたが、新居へ招かれたのは〝いつメン〟の三人だけだった。それも引っ越し当日の有給休暇から間の空かない週末で、流石に荷解きがまだ終わっていないだろうと訪ねた樹雷に対する雪路の返答がそれだった。
「世の中全て金が物言う」
雪路は自慢気に親指と人差し指で円を作って樹雷に見せるが、その雪路の無防備さはいつも燐太郎が危惧しているものだった。
確かに昨今引っ越しの荷解きと整理整頓を頼めるサービスも存在しているが、様々な業者がある中雪路の依頼した業者が必ずしも優良業者であるとは限らない。
「よく知らない人に家の中あちこち触らせるとか何考えてんの!」
プロジェクトリーダーでもある雪路の頬を抓ることが出来るのは社内でも恐らく樹雷ともうひとりくらいなものだろう。それ程雪路と樹雷はお互いに遠慮のない関係を築いていた。
聞き分けのない子どもを叱る母親のように、雪路の頬を抓る樹雷の姿は家族のように近しい間柄にも見えた。そんな雪路の姿をぽかんと口を開けて見ていた涼だったが、樹雷の言葉には納得出来る部分があったらしく、力強く頷きながらティーカップをテーブルに置く。
「あー雪路さん今それ危険ですよ。盗聴器仕掛けられたりとかざらにあるんで」
若い女性の部屋なら兎も角、男ふたりの部屋に盗聴器も何もあったものではないだろうという考えからの行動だったが、最近は強盗目的も否定はできない為住人が男性であっても油断は出来ない。
現代っ子であり世間の情報に聡い涼と異なり、そういった社会情勢に疎い雪路の危うさを誰もが危惧していた。現代っ子といえば早苗も年齢的には涼とそう変わりは無かったが、そこは流石に雪路の親戚というべきか、早苗もそこまで危機感を覚えているようには見られなかった。
「という訳で持ってきました盗聴器発見器」
昔ならばいざ知らず、現在はインターネットでも簡単に盗聴器を発見する為の機器を入手することが出来る。雪路から話を聞いた時点でこうなることを見越していた樹雷は鞄から手持ち扇風機程度の大きさをした小型の危惧を取り出して見せつける。
「面白そうですね! 僕も一緒に探していいですか!?」
テレビやインターネットの動画内でしか盗聴器発見の作業を見たことが無かった涼は目を輝かせて樹雷の持つそれに釘付けとなる。
「おっ、分かってるねえ涼くん」
「あっ僕も僕もっ、盗聴器探してみたいです~!」
ひょっとしたら悠真と涼は精神年齢が同じなのかもしれない。燐太郎はそんなことを考えながら同行を眺めていたが、気が付けば家主の雪路を含めリビングからは四名が消えてしまい、残されたのは燐太郎と早苗のふたりだけとなってしまっていた。
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