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恥ずかしい没頭
しおりを挟む「んーっと……」
一応、エレベーター清掃は終わったけど、ここからどうすれば良いんだろう。
いろいろ考えながら、俺は何気なくというか、ボーっとした頭で二十八階のエレベーターホールの鏡の指紋を拭いていた。
すると、
「和泉さん、終わりましたか?」
鞘師さんが奥から歩いてきた。
「和泉さんありがとうございます。そこまでしてくれて……」
「え?」俺は鏡を拭いていたことを思い出した。「あ、ついやってました」
ボーっと拭いていたことが、すごく恥ずかしかった。
自分でも顔が赤くなっていることが分かった。
でも鞘師さんは笑ってくれた。
「あの鞘師さん、確認お願いしても良いですか?」
「分かりました。丁度エレベーターも止まってますね。乗りましょう」
俺は鞘師さんと一緒にエレベーターに乗った。鞘師さんは三階のボタンを押したのちに、エレベーター内を確認。
「完璧です。基本的なことはもう問題ないですね」
「え、ホントですか?」
「はい。あとはエレベーター内に落とし物がある場合もあるので、注意して下さいね。中には指輪とか高級なものとかもあったりしますので」
「分かりました」
「ゲストが居る時に、エレベーターを降りる場合『失礼します』と言うこともお願いします」
「あ、はい」
鞘師さんが何故その話を持ち出したのか分かった。
次に止まる階が十九階。ゲストが下に行こうとしているからだ。
十九階だけでなく、十五、十、八階でもゲストは乗ってきた。
外国人のゲストが多いなと感じた。
そして三階に着いた時、
「失礼します」
と、鞘師さんは降りた。それに続いて俺も「失礼します」と降りた。
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