16 / 31
魔法の言葉
しおりを挟む
物置のような部屋で、サヤシさんと二人っきり。
『とりあえずそのサヤシさんには、まず第一にキミの年齢を伝えてあげて』
そのドクター中田の良くわからない助言。
ここで言うべきだろうか。
「あ、あのー」
「……何ですか?」
そんなに敵意のこもった目で睨み返さなくても……。
「和泉です。よろしくお願いします。あ、ええと、出身は山梨で、今年で31歳です」
ここで何故かサヤシさんは、分かりやすいように目をギョッと見開いた。
「え、さ、え、31ですか?」
「あ、はい、年は31歳です」
「え、あ、ごめんなさい」
何故か謝られた。
「てっきり年下かと」
言うと、何と信じられないことに、サヤシさんは顔を真っ赤にさせたのだった。何かを恥じるように。
「いやスミマセン、ほんとに年下かと思って」
「え、そうなんですか?」
俺が笑ってしまうと、つられるようにサヤシさんも微笑んだ。
「ああ和泉さん。僕はサヤシです。刀を収める『鞘』に、師範の『師』って書いて鞘師です。よろしくお願いします」
またも信じられないことに、鞘師さんはぺこりと丁寧に一礼したのだった。
(ええええ……、なんだこれ……)
とにもかくにも、鞘師さんから俺に対する敵意は完全に無くなったのが分かった。
『とりあえずそのサヤシさんには、まず第一にキミの年齢を伝えてあげて』
聞いた通りに言ったら状況はがらりと良い方に向かった。
……なんかよう分からんけど、スゲー。スゲーよドクター中田。
まるで魔法だ。
マジで何でこうなったんか分からんけど。
『とりあえずそのサヤシさんには、まず第一にキミの年齢を伝えてあげて』
そのドクター中田の良くわからない助言。
ここで言うべきだろうか。
「あ、あのー」
「……何ですか?」
そんなに敵意のこもった目で睨み返さなくても……。
「和泉です。よろしくお願いします。あ、ええと、出身は山梨で、今年で31歳です」
ここで何故かサヤシさんは、分かりやすいように目をギョッと見開いた。
「え、さ、え、31ですか?」
「あ、はい、年は31歳です」
「え、あ、ごめんなさい」
何故か謝られた。
「てっきり年下かと」
言うと、何と信じられないことに、サヤシさんは顔を真っ赤にさせたのだった。何かを恥じるように。
「いやスミマセン、ほんとに年下かと思って」
「え、そうなんですか?」
俺が笑ってしまうと、つられるようにサヤシさんも微笑んだ。
「ああ和泉さん。僕はサヤシです。刀を収める『鞘』に、師範の『師』って書いて鞘師です。よろしくお願いします」
またも信じられないことに、鞘師さんはぺこりと丁寧に一礼したのだった。
(ええええ……、なんだこれ……)
とにもかくにも、鞘師さんから俺に対する敵意は完全に無くなったのが分かった。
『とりあえずそのサヤシさんには、まず第一にキミの年齢を伝えてあげて』
聞いた通りに言ったら状況はがらりと良い方に向かった。
……なんかよう分からんけど、スゲー。スゲーよドクター中田。
まるで魔法だ。
マジで何でこうなったんか分からんけど。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。



サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる