ホテルのお仕事 〜心療内科と家を往復するだけだったニートの逆転劇〜

F星人

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いざ、決戦へ

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 渋谷から山手線で新宿へ。

 駅の東口から出て、はなまるうどん、ドン・キホーテ、トーホーシネマ、吉野家等を通過して、Cホテルの前に辿りついた。

 Cホテルは大きく、見上げても屋上が見えないほどだった。確か二十八階建てだったか。

(よし……)

 ここで俺はワイパックスを飲んで、近くのゲーセンに入った。面接の時間まで、あと十五分。

(大丈夫……大丈夫……)

 クレーンゲームのヌイグルミを見ながら、俺は何度も深呼吸をする。

(大丈夫……倒れそうになったら『お腹が痛い』とか言ってトイレに逃げ込めば……)

 ゲーセン内のガチャガチャや太鼓の達人の辺りを徘徊しながら、時を待つ。

(大丈夫……今日は面接だけ……)

 あっという間に面接五分前になってしまった。もう電話をかけたほうがいいだろう。

「あの、もしもし……」

 ゲーセンの外で、俺は昨日かかってきた電話番号にかけた。

『はい沢井さわい

 昨日のオバサンが出た。沢井という名らしい。

「あの、面接することになった――」

和泉いずみさんね』オバサンは俺の言葉を遮った。『今からホテルの裏口まで来てくれる?』

「裏口ですか?」

『そうそう。交番がある方向ね。ちょっとサヤシくーん!』

 と、オバサンは電話の向こうに居る人物に話しかけた。

 ……サヤシ? 名前だろうか?

『今から面接する子が来るから、外で待っててくれるかな? うん、そう、外で待っててくれれば良いわ。うん、ありがとー』

 オバサンとサヤシ(?)さんとやらのやりとりが終わったようで、

『ちょっとサヤシっていう人が外で待っててくれるから、とにかく裏口まで来てちょうだい? 交番がある方角ね』

「あ、はい、分かりました」

 

 
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